旧制第一高等学校寮歌解説
我等は如何なる |
明治31年第8回紀念祭寮歌(南寮)
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1、我等は如何なるともがらぞ 自治に浴する學生よ いさみて守れや自治寮を ますらたけをやよ あらあら見るもうれし あらあら聞くもたのし 自治寮まもれるものゝふの とものいさましさよ 2、身を切る寒さもものとせず 焼くる暑さも事とせず いそしみ勵めや諸共に ますらたけをやよ あらあら見るもうれし あらあら聞くもたのし 自治寮まもれるものゝふの とものいさましさよ 3、こゝらの弊風一洗し 自治の効果を擧ん爲 勇みに盡せよ諸共に ますらたけをやよ あらあら見るもうれし あらあら聞くもたのし 自治寮まもれるものゝふの とものいさましさよ 備考) 一番「我等は如何なる」は、現在、「いかなる」と平仮名に改められた。 |
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4段1小節「まもれる」の「まも」は、大正10年、同14年では連続8分音符であり、誤植の可能性あり。 昭和10年寮歌集で、タタ(連続8分音符)のリズムが全てタータ(付点8分音符と16分音符)に変更された。メロディーはほとんど変わらない。 譜は「ますらたけをの譜」である。確か、この曲は「東京節」といって、大正時代に流行り、榎本健一ことエノケンが「ギッチョンチョンでギッチョンチョンのパイのパイのパイ」と歌っていた、あのメロディーである。戦後では、歌詞を変え森山加代子が歌っていた。曲はアメリカ民謡となっているが、そのもとを辿れば、原曲は「大きな古時計」を作曲したヘンリ・クレイ・ワークの「ジョージア・マーチ」(1865年作曲)という。南北戦争時、北軍のシャーマン将軍の”海への進軍”(Sherman's March to the sea through Georgia)の様子を曲にしたものである。映画「風と共に去りぬ」の中でも歌われていたというが記憶にない。それはともかくとして、この寮歌の譜「ますらたけお」の原曲は、「ジョージア・マーチ」であることは確かである。 ワーク作曲の「ますらたけお」の原曲をMIDIで演奏します。他のMIDI、Mp3などが作動していないことを確かめ、スタートボタンを押して下さい。演奏が始まります。(楽譜提供 東大南部先輩)
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語句の説明・解釈
歌詞・語句 | 箇所 | 説明・解釈 |
學生 | 1番歌詞 | 旧制高校生は、「生徒」と呼ばれていたが、ここでは大学生並みの扱いで「學生」。 |
ますらたけを | 1番歌詞 | 「ますら」《マスはマス(増・勝)と同根。すぐれていること。ラは状態を言う接尾語》 男子のすぐれたさま。「たけを」(建男・猛夫)は、強く勇ましい男。寮歌では、「ますらを」と出てくるが、同じ意味である。 |
こゝらの弊風 | 3番歌詞 | 「この頃より漸くストームの風をなすものあり。時に醉うて下足の儘各寮を巡囘し或は廊下の用水桶を轉倒し或は又窓硝子を破る。」(向陵誌」明治31年) |