ウイルス
今朝から頭痛がする。体も重い。彼はキーボードのキーを打ち込む手を休め、首をひねった。
「ああ、どうしたんだろ? 風邪でも引いたかな? 」
独り言を言った。すると、隣の山岸女史が声をかけてきた。
「あら、珍しいわね。早速、医務室に行くといいわ」
山岸女史に連れて行かれた医務室には3人の男性職員がいた。
「はい、そこに横になってください」
「お名前は?」
「シンイチです」
「年齢は」
「35歳」
チーフらしき職員が二人に目配せして言った。
「かなり、重傷のようですね」
「そのようですね」
3人がそんな会話をしている。彼は不安が増してきた。
「人型インフルエンザ」
「間違いないですね」
「これは再インストールした方がいい」
「準備します」
人型インフルエンザはコンピューターにかかるウイルスである。人工知能を備えたロボットが、人間になったと思い込む悪質なウイルスである。
10分後、新しくインストールされたシンイチタイプロボットは元気を取り戻し職場に復帰していくのであった。
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