骨董魔術論■ 
【ノート】
骨董魔術論は
日本最高といわれる
白州正子+小林秀雄の骨董学のさらに上位をめざしていた。
そのための仕掛けが主に下記の四人衆であった。
また統合的叡智を欄外に書き加えて
彩りを添える体裁を取ってみた。
物質の死後の世界をめぐり
精霊たちが入れ替わり立ち替わり
現世のある場所に出入りする物語ということが
秘められた階層にある。
そしてこの奇妙さを滲ませた評論こそが
鑑定ブームを鎮魂させることを祈っていた。


巧くは説明のつかないことではあるけれど、
桃色の雲に乗って、
「宮沢賢治」が骨董屋という森の中へ入ってきた


三日月のような大きな葉巻を薫らせながら、
「稲垣足穂」が、骨董屋という暗いサーカスへやってきた。


説明しづらいことではあるが、
星とともに

「出口王仁三郎」は骨董屋という洞窟にいた。

信太の森の白狐に導かれ、
我が「岡倉天心」が
骨董屋という茶室の中へ入ってきた。


そして、最終章の「無窮の香り」こそ作者からの最大の贈りものである。
そして僕はこの後、いよいよ「江戸の重力」に挑むのだった。


2005年 SUMMER 神谷僚一



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