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■緑色電気集■ | ||||
◆ | 【ノート】 「空に抱かれたギンガル王の話」はノヴァーリスの青い花を読んだあとに 書いたもの。それまで幾つかの作品を書いていたが、都市を離れ架空の場所で 王の登場する物語は初めてだったと思う。 この時書くべき宿命の元で物語り作家が生まれたことを 僕の星辰の血は確かに感じていた。 「地球のネジをまく人」は僕の中では「貢献に関する神話」と位置づけている。 ある神秘的なしかし確実なプランを表している。 「三匹の彼女」を見れば、作品とは作家の知らない未知が内蔵された予告 ということが、その後の作者を見れば明らかだろう。 作品は「天来の妙着」であり、作家はただ受信者に過ぎない。 これは古来からの詩人達の共通意識であったし、理解できぬものは どんなに技が立とうが詩人にはなれなかった。 「流れ星整備工場」はあるリアルな物語だった。 あまりにもリアルな出来事は「夢のような印象」を与えてしまうものかも知れない。 巨大資金を調達し最新の科学で武装し圧倒する機械で登場した先にしか 《宇宙》は存在しないものだと人は思いこんでいる。 一角獣の出現する 「栄光と戦い」は「三十を過ぎて夢を語れぬものは信用するな」であり 「サボテン男の魔術」では「春」が 「賢者の岩」では「言語論」に挑み、 早くもそのつむじ風が舞っている・・・・・・ あまり解説しても 作品の香りをなくすことになるので、あと少しだけ。 「新しい時代の王」はダンセイニ卿の一行を 冒頭にはめ込んだことに気づく者はいないだろう。 「五月の古代」は福生時代16号線のあたり、 基地の向こうの狭山丘陵のことを、 「存在の箱」は二十五年後に続いていることをお忘れなきように。 そして僕はこの本を手にしてくれた少数者のために 本の後ろに「銀河合流」というサインをすることにしている。
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