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中山七里の本棚

  1. 連続殺人鬼カエル男

連続殺人鬼カエル男  ☆  宝島社文庫 
  初めて読む中山七里作品です。「殺人鬼カエル男」というちょっと奇をてらったような題名に、評判がいいのは聞いていたのですが、これまで手に取ることはありませんでした。今回、8月にシリーズ最終巻が文庫化されるという情報を得て、これを機会に読み始めました。
 マンションの13階の非常階段に吊り下げられていた女性の死体が発見される。現場には幼い子どもが書いたような犯行声明が残されていた。続けて廃車工場のプレス機で押しつぶされた老人の遺体が発見され、現場に同じ犯行声明が残されていたため、同一犯の犯行と思われた。過去に性犯罪や殺傷事件を起こした者を調べる捜査方針のもと、県警捜査一課の渡瀬と古手川は幼女殺害事件を起こしたがカナー症候群と診断されて不起訴となった当真勝男の保護司・有働さゆりを訪ねて当真の状況を聞く。ところが、それからしばらくして、さゆりの息子、真人がカエル男の犠牲となってしまう。渡瀬は被害者のルールに気づくが、やがて、新聞記者の〇がこのルールに気づいて報道したため、世間は大騒ぎとなる・・・。
 この作品の連続殺人の形態としてはある有名なミステリーを踏襲していることはミステリー好きならわかります。大きく前面に打ち出されるのは精神鑑定の結果、心神喪失者であれば罰せられず、心神耗弱者であれば減刑されるという刑法39条の問題です。被害者や被害者家族にとっては法的にはそうでも納得いくものではないでしょうね。裁判では時に検事側と弁護士側の鑑定人の鑑定結果が異なるということも出てきますので、猶更です。
 そのほか、物語の中では刑法39条の問題だけでなく、マスコミの報道の在り方、また、その報道を受け取る市民側のとらえ方などいくつかの問題を提起しています。
 それにしても、この作品、犯人が明らかとなったと思ったらラストでもうひとひねりあり、なかなか読みごたえがありました。
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