| 弾丸とヒマワリ ☆ | 講談社 |
| 第72回江戸川乱歩賞受賞作です。 野島武は陸上自衛隊第8次PKO部隊施設科の一員としてアフリカの東キアノス共和国に派遣される。ある日、道路の修復作業に出かけた野島たちは部落を襲っている兵士たちと遭遇し、その際、野島の前に現れた自動小銃を持った少女を野島は射殺してしまう。自衛隊は組織として隠蔽を決め、野島の発砲はゲリラ兵に対する警告射撃とされる。しかし、人を殺した右手で食事をとれなくなった野島は自衛隊を除隊する。その後、心を病む野島は防衛大学校の同期で任官しなかった会田から違法薬物を譲り受け、やがて薬物の売人として、そして、生きるためにクリーニング店で働く生活を送っていた。そんな野島の前に人を殺せる薬が欲しいという少女が現れる。一方、発砲事件のあった際、野島一尉、高田三曹とともに軽装甲機動車に乗っていた本庄恵梨香は、帰国後、広場恐怖症の症状が出て自衛隊を辞め、宅配ピザ店でアルバイトをしていた。ある日、刑事が恵梨香を訪ねてくる。恵梨香がピザを配達した家で、高校生の少女が射殺されたという。殺害された少女が握っていたというメダルの写真を見て恵梨香は驚く。それは東キアノス共和国のPKO活動に従事した隊員にのみ授与される国連メダルだった。恵梨香は事件が過去のPKO活動での発砲事件に関係があるとして関係者であった野島たちを調べ始める・・・。 物語の中にはミステリにはよくある読者をミスリーディングするある手法が使われています。箕輪さんにうまく騙されました。ただ、犯人がなぜ女子高校生を殺害し、更にその手にメダルを握らせたのかが、いま一つ理由が理解できません。犯人がサイコだと言ってしまえば簡単ですけど、この辺りは個人的にはすっきりしませんでした。 物語では野島と恵梨香が主人公ですが、恵梨香の方がキャラ立ちしているのは、そういうことだったのかあと最後まで読むと納得です。とにかく、自衛隊で鍛えられただけあって、格闘技は強いし、カッコいいですよね。 ところで、物語は、もちろん女子高校生を殺害した犯人は誰なのかを突き止めることと、それに伴いPKO活動中の発砲事件の真相を明らかにすることですが、ミステリとしての謎解きとは別に、野島も恵梨香も精神を病んだように、自衛隊のPKO活動が非常に過酷であるということも描かれます。自衛隊という憲法上その存在があやふやな状況で、PKO活動の中で銃を使用する、そして、相手を銃殺するということがあれば、きっと大きな問題になってしまうのでしょうね。 |
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