どこを見てるのか…。
何を見てるのか…。
私には分からない。




遠い場所





「ルフィの奴、また?」
「うん、みたい…。」
船首の先、ゴーイングメリー号のシンボルと言える羊の飾りの上に座る船長のルフィを見たナミは、溜め息と一緒に苦笑を漏らした。
私もナミと同じように苦笑を漏らして、ルフィの背を見つけた。

ルフィは時々何かを見ているようで、何も見ていない目で海を見ている。
この麦わら海賊団に入り、この船に乗って、ルフィと一緒にいる時間が増えて気付いた。
先にクルーとして残りこんでいたメンバーは当たり前のようにその事実を知っていt。
それどころか、『しばらくしたら、またいつものように“飯、飯”って言い出すから気にする必要はない』と皆口を揃えて言った。
確かに時間を置けばいつもの調子に戻っている。
でも、その背を見るのは少し寂しい。
船に乗って日が浅いとはいえ、ルフィに半ば引っ張られるようにこの船に乗った私としては、この船の上ではルフィが全て。
その全てであるルフィの全てを拒絶するような背中を見ること。
それはまるで、この船の上で自分が必要とされていないような錯覚をしてしまう。
違うとわかっている。
でも…何も出来ない自分がいることも事実で…。

「ね、。」
物思いに耽っていた私にナミが声をかけ、私はその声で我に返った。
「何?」
横にいたナミはいつの間にか後ろにいて、私は振り返って答えた。
ナミはすでに私に背を向けてキッチンの方に歩いて行っていた。
「そろそろ昼食の時間みたいだから、あの馬鹿連れてきて。」
ナミは手を振りながらそう言って歩いて行った。
その背の先でサンジ君の昼食の完成を知らせる声が聞こえてくる。
それに小さく笑みを溢して、ルフィのほうに向き直った。
普段、サンジ君のご飯の時間を知らせる声を聞き逃すことなどありえない。
でも、その背は今も海の先のどこかを見ている。
「了解。」
もう、この場にいないだろうナミに一応の返事を返し、私はルフィの背に一歩踏み出した。

「……。」
無言でルフィの傍まで近付いてもルフィは気付かなかった。
だからしばらく近くでその背を眺めた。
ゾロなんかと比べたら格段に小さいその背。
けれど、どうしてこんなに広く、大きく感じるのだろう…。
まっすぐ…。
ただ、まっすぐ…。
前を見据えるその背。
どうしてそこまで強く慣れるんだろう…と不思議に思う。
「…ルフィ。」
小さな声で名前を呼ぶ。
何を見ているの?
どこを見てるの?
その先に何が見えるの?
アンタは一人でその先に行くの?
私はいつもその背を見ていることしか出来ない。
横に並びたいと思うことは間違いなの?
「どうかしたか?。」
「え?」
海を見て考え込んでいた私にいきなり声がかかって、顔を上げるとルフィが私のほうを向いて首を傾げていた。
まさか、さっきの小声で名前を呼んだのが聞こえたのだろうか?
サンジ君の昼食の呼び声も聞こえないほどだったのに、あんな小さな声が聞こえたのだろうか?
キョトンとしてルフィを見上げていると、ルフィは首をかしげたままでニカッといつもの笑顔を浮かべた。
「…ルフィ…。」
「ん?」
ルフィは変わらず笑っていて、私はそれを見返すことしか出来ない。
まっすぐ前を見ていたと思えば、ふとたまに振り返って見たりする。
気まぐれなルフィに私は振り回されている。
でも、それが自然に感じるのは何故なんだろう…。
「…何見てたの?」
「んー?わかんね。」
誤魔化すわけじゃなく、ホントにさっきまで何を見ていたのかわからないと言うように笑うルフィ。
それに私も呆れたような笑顔を向けた。
「でもな、ちょっと考えてたんだ。」
「ん?何を?」
ふいに真面目な声で言うルフィは、また海の方を向いて、私に背を向けていた。
海風が頬を撫で、私の長い髪を揺らした。
「俺が前向いてられるのは、皆がいるからで、お前が後ろで見ててくれっからじゃねェーかなって。」
「…私が?」
「おぅ!後ろにお前がいてくれっから安心して前向いて進んでけると思うんだ。」
「…ルフィ……。」
前を見たままで、いつもより少しは真剣に言うルフィの背を私は見つめた。
長い時間を共にしてきたわけじゃない。
けrど、ただその背は静かに教えてくれていた。
そこでこの背を見ていろ、と…。
前を向いて進んでいる背を見ていてくれ、と…。
それが私の役目だ、と…。
それだけでホッと安心する自分がいた。
これから来る長い航海と冒険と死線を越えていける気がする。
「まっ、わかんねェーけどな。」
「…あっそ。」
振り向いてニカッと笑うルフィに私は呆れた溜め息を吐いた。
「おい、ルフィ!お前、飯喰わねェーのか!?全部喰っちまうぞ!」
そこでいきなりサンジ君の声が飛んできて、振り向くと呆れ顔で咥え煙草のまま立っているサンジ君の姿があった。
「あぁ!!もうそんな時間か!?喰う、喰う!俺の分の残しとけー!」
「残してるっての。お前が飯喰わねェーなんて事が起きたら世界が破滅するだろうが。」
ルフィは食事を聞いて一目散にキッチンの方に向かい、それをみていたサンジ君は、煙草の煙と一緒に溜め息を吐いていた。
それに苦笑をしながら私もサンジ君のほうに近寄った。
ちゃんも食べるだろ?」
「うん。食べますよ。」
笑って答えると、サンジ君も笑った。
ルフィはさっさとキッチンに入って、先に食べていたのだろうゾロとウソップに何やら文句を言っている。
それに溜め息を吐いて、エスコートしてくれるサンジ君と一緒に私もキッチンに向かった。



わからないけど…。
まぁー今はそれでもいいと思う。





END-→







+++++++++++
初ワンピ夢ー!
なんかおかしい…。
キャラがつかめない…。
難しいです…。



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