信じる。
先に進む貴方を。




信じ合えるならば





「また、絵書いてんのか?」
「ゾロ…。」

夜、見張りの為に見張り台に上って、昼立ち寄った島のことを絵に描いていた。
下書きはさっとやっていたから、それを具体的に直していたところ。
そこで声がかかった。
声の主は顔や姿を見なくてもわかる。
ゾロ。
私が見張りのときは、よくやってくる。
そして、この見張り台でただ二人で一緒にいる。
私は見張りついでに絵を描いて、ゾロはお酒を飲む。
特別会話があるわけじゃない。
ただ、一緒にいて、たまに絵を覗いてくるゾロにちょこっと説明したりする。
特別なことじゃないけれど、私はこの空間が好きだ。

「昼間の島のか?」
まだ鉛筆で下書きをしていた絵を覗き込んでゾロは聞いてくる。
それに頷いて答えた。
「そう。頭の中にあるモノを忘れないうちに絵にしておこうと思って。」
横に座ったゾロにいいながらも鉛筆を動かした。
ゾロはまたいつものようにもって来たお酒を飲み始めた。
それを横目に見て、私もいつものように絵を描いた。
頭にある綺麗な景色。
木、葉、草、川、海、空、動物、人。
全てが形になっていく。
私が絵を描くのは、この瞬間が好きだから。
思い描いたものだけじゃない、本当の、そこに存在するものをいつでも見ることが出来るように形にできること。
それがすごく好きだから。
。」
不意にゾロが呼んだので、手を止めてゾロの方を見た。
ゾロは星の散らばった真っ黒な空を見上げていた。
「…何?」
「このまま付いてくるつもりか?」
「そのつもりだけど?」
今更何を言うかと思えば、この前も同じ話をした。
船を手にいれ、本格的に海賊として旗をあげた麦わら海賊団。
ルフィ君の野望の為。
ゾロの野望の為。
少しづつ動き出していたこの海賊団もやっと形になり、メンバーも増えた。
皆、それぞれの野望や夢の為にこの船に乗っている。
けれど、この先はいづれ偉大なる航路…グランドラインにいくことになる。
そうなれば、これまで以上に危険な状況になるし、このイーストブルーに戻ってこれるかもわからない。
絵を描きたいだけで危険を冒すのは止めろ、というのがゾロの言い分。
この前も散々押し問答をしたものだ。
だけど、その時はルフィ君は乱入してきてうやむやになっていた。
それから確かに多少考えていた。
このままこの船に乗っていれば自分の身を危険にさらすんだろうと。
でも…それなことを怖がっていたら、海なんて渡っていけない。
海賊なんてなろうと思わない。
たとえ、自分の命を懸けることになっても、悔いは無い生き方はしてきたつもりだから、大丈夫。
私は、そういう答えに辿りついていた。
「……。」
何も言わないゾロに、私は小さく溜め息を付いた。
自分事は自分で決めるべきだと思っているのだろうが、やっぱり賛成ではないらしい。
「ねぇ、ゾロ。私、別に死ぬ気は無いよ。」
「そんなもんあってたまるか。」
「そうだけど…。」
苦笑をして、スケッチブックをその場に置いて、立ち上がった。
夜風が髪をを揺らして、三つ編みを解いた長い髪が舞い上がった。
それを後ろに払いながら、海を見下ろした。
月明かりを反射して鈍い光を映していた。
「自分の意思で、ここにいるし、私にだって目標がある。」
「わかってる。」
「じゃ、信じてよ。私、これでも結構強いでしょ?」
振り返って、座ったままのゾロに笑いかけた。
ゾロは私の顔を見上げて、仕方ないと言う風に笑っていた。
長い付き合いでしょ?、とは言わなかったけど、信じてくれてるのはわかってる。
私だって、信じてる。
この先、どんなことがあっても野望だけは諦めない、と。
もしも死ぬことがあっても、それは野望為だけだ、と。
だから、月明かりの下、私は笑った。




『背中の傷は剣士の恥』
そう言っていつも敵に背を向けない人がいる。
その目はいつも遠くを見ている。
野望の為。
遠き日に別れた友との約束の為。
そして…。
守るべきものの為……。
信じ、信じられるものを守り、進むその人。
私は…。
その背を見ていたいと思います。





END-→







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うーん…微妙…。
時期的には、ウソップが仲間に入った辺りだと…。
最初の方っスね。
最後のフレーズはあまり関係ないんですけど、
思いついたので…。



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