SEX PISTOLS/NEVER MIND THE BOLLOCKS(1977)


一発KOされてしまった。ジョニー・ロットンのヤンチャな、いや、アクの強い声と歌いまわし、荒削りでスカスカな音の中にもそれぞれのパートの自己主張が明確な曲。アルバム自体がしっかりと枠組まれ、がっしりしている。曖昧、迷い、一切感じられない。「良い曲」でもなく、「格好良い」でもなく、「かっちょええ」のだ。これを聴かずしてロック(パンク)は語れない。歌詞も思い切っており、直球でとても分かりやすい。ピストルズのオリジナルアルバムはこれ1枚であるが、それで正解。恐らく、これ以上の内容を求めるには厳しかったであろう。それに、ジョニーには先見の眼があった。時代もそうであるが、メンバーであったミスターパンク、ミスターマイウェイ、シド・ヴィシャスは典型的な人生破滅型の人間で、世界中に話題を提供したが、音楽的才能は皆無であったし、このジャンルが短距離走だということも肌で感じたのだろう。他のメンバーやプロデューサーとの確執の溝が深かったのは事実だが、一世を風靡しているにも関わらず、潔く、あっさりと脱退する。詳しい事は「シド&ナンシー」というタイトルで映画化されているので興味ある方は是非、観てほしい。因みにシド役には若きゲイリー・オールドマン(レオンで悪徳麻薬取締刑事の人ね)で、シドそのものにしか見えないので、ゲイリーファンの方は必見です。しかし、悲しいかな、今では英雄ジョニー・ロットン、本国イギリスではガッツ石松のような存在らしいです。時の流れと女の嫉妬は怖いものです。