GUN S' N ROSES/APPETITE FOR DESTRUCTION(1987)


官能を刺激するロックを総合的に提供出来た奇跡のアルバム。デビューアルバムのためか、発売当初は全米ビルボードチャートにかすりもしなかったが、発売50週目にして1位を獲得するという、今となっては珍しい売れ方であった。アクセル・ローズのメタリックな高音と渋い低音を見事に使い分けるボーカリングと、スラッシュ、イジーのツインギターが放つ絶妙、かつ見事なコンビネーション。理屈抜きで格好良く高次元で完成された曲が次々と脳を貫く。一見すると、単なる不良集団であり、常に世間を騒がすカリスマ性を持つが、音楽に関してはいたく真面目。この後、アウトテイク色の強い2枚のアルバムを同時に出すが、アクセルとスラッシュの確執により、バンドは空中分解する。以降、各々のメンバーの活動はパッとしないが、2004年にスラッシュが中心となって結成されたバンド「ヴェルヴェット・リボルバー」のアルバム「コントラバンド」は全米初登場1位、おまけにグラミー賞受賞と、未だにガンズ崇拝者は多い。ガンズの名を裁判で勝ち取った本家のアクセルは、既にアルバムを完成させてはいるが、セールには踏み切っていない。期待は高まるが、「コントラバンド」の質を越すのは容易ではないし、こんな人達が路地裏から出てきたら財布置いてダッシュで逃げるな、というメンバーの面構えの怖さを越すのも容易ではない。60年代のビートルズ、ビーチボーイズのように,、お互いに刺激し合い、士気を高めて双方素晴らしいアルバムを提供してほしいが、間違いなく叶わぬ夢だ。