ふわふわ君

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  番外7 大人ケルラ 途中  

 リトゥナが長い髪を風になびかせ、いつもの優しい笑みを浮かべていた。その笑顔が少しだけ寂しそうなのは、彼がこれから旅立つからだ。
「偉い人になるの。」
 お父さんが目標。お父さんが全て。リトゥナの憧れの人はお父さん。だから、かつてのお父さんの様に、自分も偉い人になるのだとリトゥナは言った。
「俺も後から追いかける。君と一緒に居たいと思ってる。」
 ケルラは答えた。幼い頃、父と共に辛い境遇から救ってもらうきっかけを作ったのは、リトゥナだったと思う。あの日、越してきたリトゥナがケルラに声をかけてくれたのが、状況を変える一歩だったと。だから、ケルラは少しでも彼の力になる為に、リトゥナと共にありたいと思ってきた。「迷惑…かな。」
「そんなことない。とっても嬉しいよ。ケルラ君、有難う。」
 リトゥナは、そうして旅立った。
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