2004-01-04撮影 神山集落の端に位置する、信楽神山簡易局跡。 ポストが無ければ普通の民家にしか見えない。

　滋賀県甲賀郡信楽町。信楽焼で知られるこの町の、中心部から少し外れたところに神山（こうやま）という集落がある。

　神山地区は三つの細長い集落に分かれているが、そのどこかに一昔前まで郵便局があったという。一通り探してみると、なにやらそれらしき建物があった。一見したところ普通の民家。それだから、その家の横にある鮮やかな赤いポストは、いかにも不自然に思える。

　しかし、家の前にポストがあるからといって、そこが以前郵便局だったとは限らない。家の玄関も、道路から見える勝手口も、ただの一軒の家のそれである。
　何か無いだろうか。ふと顔を上げてみると、一本の金属の棒が壁に取り付けられているのが目に入った。片側は壁から大きく飛び出していて、しかも穴が二つ開いている。ここに「〒」マークの入った鉄の看板が吊り下げられていたのだろう。

　頭の中で、目の前の家と、今は無い看板を重ね合わせる。そしてその瞬間、すべてが繋がった。その画像は、もちろん直接見たことはないけれども、どこか懐かしい郵便局の風景そのものだったからである。

2004-01-04撮影 まだ塗り直されて間もないのか、 ポストだけが非常に鮮やかな色をしている。

2004-01-04撮影 斜めに曲がってしまった金属の棒。 看板が外されてから、もうすぐ１５年が経とうとしている。

φ．．）ＭＥＭＯ
　信楽町神山。国道４２２号の南側、神山神社の近くにある。目の前のバス停を通過するバスは１日１本のみ。

訪問日：2004-01-04