ハスター(ハストゥール)
Hastur
オリジナル
クトゥルー神話に登場する風の邪神です。
ハスターや、ハストゥールなどと呼ばれます。

「名状しがたい者」と言われ、謎の多い神だとされます。
また、「星間宇宙を歩く者」とも言われ、ヒアデス星団のアルデバラン(牡牛座)近くにある、暗黒星の湖、「黒きハリ湖」に幽閉されています。

クトゥルーと対立するとされ、クトゥルーの復活を阻止するため、人類を援助したことがあります。

配下にバイアクヘーを持ち、援助に使ったりするようです。

その姿は、黒い鱗のある体、骨のない腕、鱗の下に沈みこんだ目のある、魚に似た頭を持つとされます。

魔術などで呼ばれれば宇宙のどこにでも出現するとされ、人間や、その他の生物、死体などに乗り移り、行動する場合もあるようです。
乗り移られた場合、その身体は変形してしまい、膨らんで鱗に覆われた醜い姿になり、手足は骨がなくなり、流動体のようになるそうです。
そしてそれは、ハスターが去った後でも治りません。

参照作品
「カルコサの住民」/アンブローズ・ビアス
「闇に囁くもの」/H.P.ラブクラフト
「ハスターの帰還」/オーガスト・ダーレス




そういえばノーラに邪神伝説シリーズとして、クトルゥー神話の漫画が掲載されていました。
ノーラというのは、月刊コミックNORAのことで、学研(学習研究社)が、1986年から1998年まで刊行していた少年漫画雑誌です。
もともとは初心者向けアニメ雑誌「アニメディア」の増刊である、SFアニメディアが独立して月刊誌になったものです。
代表的な掲載作品としては、「サイボーグ009」(石ノ森章太郎)、「マップス」(長谷川祐一)、「ヴィイナス戦記」(安彦良和)、「おざなりダンジョン」(こやま基夫)、「NERVOUS BREAKDOWN」(たがみよしひさ)等々があります。
邪神伝説シリーズは、そのコミックノーラに不定期で1987年から5年掲載された漫画で、ハスターの精を受けた娘、“渚”がおおむね主人公になっています。
この漫画を描いたのは、数学者や、サッカー選手ではない、漫画「ネコじゃないモン!」を描かれた矢野健太郎さんです。
もともと、ペンネームと同姓同名の、数学者の矢野さんの名前を、学生時代に恩師からあだ名としてつけられており、それを使用したらしいので、同じ名前になるのもしょうがありませんが、本屋に言った時、数学者の矢野さんの本にも、背表紙で反応してしまうので、ちょっと疲れます。
ちなみに毛野揚太郎(けのやんたろう)というペンネームで18禁漫画も描いておられます。
とにかく、クトゥルー神話漫画として、すばらしい描写でその世界を表現しており、ハスター(漫画ではハストゥール)はもちろん、他の邪神等々、かなりカッコいいデザインで描かれております。
中でも、ハスターは登場しませんが、「ダークマーメイド」(邪神伝説シリーズA巻、1989年4・5月号ノーラ掲載)は、日本版「インスマスを覆う影」とも言えるものなのですが、さらに練りこまれたストーリー、美魚(みお)という女性が登場し、主人公と惹かれあうところ、“海神ダゴン”をもじって堕魂と書いて、生贄を海に落とす儀式の名称としたところなどなどが秀逸で、私が特に好きな作品です。
ちなみに、「インスマスを覆う影」(H.P.ラブクラフト)は、1992年にTBSの「ギミアぶれいく」の番組内において、佐野史郎主演で映像化されています。
ビデオ化もされています。
こちらも女性が登場し、主人公がその女性に惹かれていくという場面があり、ネタは矢野さんの「ダークマーメイド」かもしれません。(原作には女性と出会うシーンはない。)
佐野さんの顔が怖いパッケージでした。
ダークマーメイドの他、ラミア(1987年3月号)、ケイオスシーカー(1988年3月号)、コンフュージョン(1988年9月号)、ラストクリエイター(1990年11月号〜1991年1月号)ネフェルティティ(1991年5月号)、サマー・ウインド(1991年10月号)、リ・バース(1991年6、8、9月号)等々、どれもクトゥルー神話らしい、神の前に人類は無力であるという恐怖をかもしだす作品になっており、面白く読ませていただきました。
もちろんダークな内容なのですが、矢野さんもあとがきに書いておりましたが、NORAの方針により、それなりにギャグなども入って明るい部分もあり、あまり暗すぎず、読みやすいクトゥルー神話になっていたと思います。
単行本は、1巻「ラミア」(1988年)、2巻「ダークマーメイド」(1990年)、3巻「ラスト・クリエイター」(1991年)、4巻「コンフージョン」(1993年)、5巻「リ・バース」(1993年)の名前でそれぞれ発行されています。
最後のまとめの作品「リ・バース」もどちらかと言えば、不安を残しつつもハッピーエンドな感じでした。
内容自体の暗さと、絵柄や、キャラの明るさが両立し、混沌としているところが、この漫画を魅力的な漫画としているのかもしれません。

結論:漫画、ノーラコミック「邪神伝説シリーズ」(矢野健太郎)はステキです。

この世に妖怪のいるかぎり。
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