メロトロン





1960年代に出現したメロトロンという楽器!
ロック界では、スタジオで使用されたり、ステ−ジ上で演奏される鍵盤楽器はオルガンやピアノが主流であった当時において、このメロトロンの出現は革命だったかもしれない。
事実、このメロトロン無くしては、この世に送り出されなかったであろう名盤の数々!
但し、鍵盤の下にテ−プが据え付けられた原始的な装置故に、音もエンドレスでなく、押す鍵盤の数によって音のピッチが早くなったり遅くなったり、時には不安定な音になったりと、楽器としてはかなり問題児ではあったようだ(;^_^A
そんな欠点があっても、ストリングスやフル−トやコ−ラスサウンドにより、オ−ケストラの代役をもこなしてしまうこのメロトロンは、数多くのキ−ボ−ド奏者によって演奏されていた。

楽器の性質故に、早弾きの曲には向いてなく、ゆったりとした曲をより壮大にアレンジする効果があったようだ♪

近年における画期的なキ−ボ−ドでも、ストリングスや素晴らしいサウンドが出せるのだが、メロトロンはそういうコンピュ−タ−で打ち出したようなサウンドではなく、もっと人間くさい温かさが感じられるのだ。

下記は私が今まで聴いて来た中で、メロトロンを効果的に使って名盤に仕上がっているものを紹介しています。
今後、友達や知人に色々な音源を教えてもらいながら、ここで紹介させてもらうアルバムが更新されるかもしれません(^^)


 クリムゾンキングの宮殿 / King Crimson
01 21st Century Schizoid Man
02 I Talk to The Wind
03 Epitaph
04 Moodchild
05 In The Court Of The Crimson King

メロトロンと言えば、先ずこの名盤が思い浮かびます。
メロトロンなくしては、「エピタフ」や「クリムゾンキングの宮殿」と言った名曲は生まれなかっただろうし、作曲されてても、あそこまで壮大なアレンジはされなかったでしょう!
このアルバムに関しては、イアン.マクドナルドとピ−ト.シンフィ−ルドが主導権を握っているようです!
そして、忘れてはならないのがグレッグ.レイクの存在!
メロトロンをバックに壮大に歌い上げています♪


 ポセイドンのめざめ / King Crimson
01 Peace (A Beginning)
02 Pictures of A City
03 Cadence and Cascade
04 In The Wake of Poseidon
05 Peace (A Theme)
06 Cat Food
07 The Devil's Triangle
08 Peace (An End)
09 Cat Food (Single Version)
10 Groon

キング.クリムゾンのセカンドになる本作品は、タイトル曲の「ポセイドンのめざめ」に尽きると思います。
イアン.マクドナルドの代わりにリ−ダ−のロバ−ト.フィリップがメロトロンを弾き、それに併せてグレッグ.レイクが伸びやかに歌い上げます。
上記の「Epitaph」や「In The Court Of The Crimson King」は近年になって、そのライヴ音源が発掘され、陽の目を見てますが、この「ポセイドンのめざめ」はグレッグ.レイクが脱退直前だっただけに、ライヴで演奏されていないか?若しくは、本当にライヴ音源が無いのか?
もし何処かに「ポセイドン」のライヴ音源が眠っているのであれば、一ファンとしては、是非とも聴いてみたいですo(^-^)o


 セブンス.ソジャ−ン / Mooody Blues
01 Lost in A Lost World
02 New Horizons
03 For My Lady
04 Isn't Life Strange
05 You And Me
06 Land of Make Believe
07 When You're A Free Man
08 I'm Just A Singer In A Rock and Roll Band

ロック界で初めてメロトロンを使ったグル−プは、ム−ディ−.ブル−スかもしれません。
結成当初からメロトロンを使い、「世界で一番小さなオ−ケストラ」とまで言われるグル−プに!
私個人としては、この『セブンス.ソジャ−ン』が彼等の作品の中では一番のお気に入りです♪
マイク.ピンダ−の音楽センスで、メロトロンを効果的に使って、小曲集のようなアルバムですが、全体が一本の線で繋がっているような物語になっています。
「音楽で革命なんかあり得ない。 だけど、我々は音楽を通じてみんなを楽しませることができるんだ♪」
「我々はただのロックルロ−ルシンガ−にすぎない」というメッセ−ジソングで締めくくっています。


 ヘンリ−8世の6人の妻 / Rick Wakeman
01 Catherine of Aragon
02 Anne of Cleves
03 Catherine Howard
04 Jane Sevmour
05 Anne Bolevn
06 Catherine Parr

リック.ウェイクマンの初ソロアルバムである本作は、丁度本家イエスがイエスソングスをリリ−スした時期でもあり、キ−ボ−ドのセッティングもアルバムの裏ジャケを開けると、イエスのライヴセットと同じようです。
ジャズを好むキ−ス.エマ−ソンに比べ、リック.ウェイクマンはもっとクラシカルな面が強く、ソロにおいてもイエスにおいても、オ−ケストラの要素を吹き込もうとしてたようです。
この頃の彼は、ライヴでもハモンドオルガンやピアノやミニム−グ、そしてメロトロンを2台操り、ストリングスサウンドやコ−ラスサウンド、そしてフル−トサウンド等メロトロンの特性を上手く引き出していました。
その様子は、イエスのライヴ『イエスソングス』でも聴くことができ、彼のソロコ−ナ−でも、「ヘンリ−8世と6人の妻」の抜粋を披露!
中間において、ミニム−グとメロトロン(コ−ラスサウンド)を使って「ハレルヤコ−ラス」をアレンジしたりなど、当時のロックコンサ−トでは考えられない演出をしています。


 海洋地形学の物語 / Yes
01 神の啓示
02 追憶
03 古代文明
04 儀式

2枚組のアルバムであるにも拘らず、収録曲は4曲という、つまりアナログ時代ではLP片面に1曲ずつという、とんでもない大作主義の作品です。
リック.ウェイクマン自身は、本作品を徹底的に嫌ってはいますが、アルバムを聴く限りにおいては、彼のム−グやメロトロンが大活躍しています!
聴き方によっては、イエスのメンバ−がフルオ−ケストラと共演してるようにも感じられます。


 幻の映像 / PFM
01 人生は川のようなもの
02 セレブレイション
03 幻の映像
04 オールド・レイン
05 晩餐会の三人の客
06 ミスター9~5時
07 プロムナード・ザ・パズル

元々、イタリア盤がリリ−スされてた本作品でしたが、ELPのグレッグ.レイクに見出され、再編集してマンティコアレ−ベルからリリ−スされました。
オ−プニングナンバ−「人生は川のようなもの」を初めて聴いた時の感動といったら♪
曲の途中からメロトロンが入り、ジワリジワリと盛り上げて感動させられます!
曲の構成が、イエスの「同志」に通じるものがあります。
事実、PFMの何人かのメンバ−はお気に入りアルバムにイエスの「危機」を挙げていました。


 USA / King Crimson
1 Walk On ... No Pussyfooting
2 Larks' Tongues In Aspic Part U
3 Lament
4 Exiles
5 Asbury Park
6 Easy Money
7 21st Century Schizoid Man
8 Fracture
9 Starless

『キング.クリムゾン』のコ−ナ−でも紹介してるライヴアルバムですが、メロトロンの使い方で見事なのが、Exiles「放浪者」。
ギタ−のロバ−ト.フィリップとバイオリンのデビット.クロスが交互にメロトロンを弾き、切れ目なくストリングスサウンドを聴くことができます♪
そして、極めつけが、Starless「暗黒」!
この物悲しげな音は、最新のシンセでも出せない、メロトロンだからこそ出せる味です。


 Voyage Of The Acolyte / Steve Hackett
01 Ace Of Wands
02 Hands Of The Priestess Part 1
03 A Tower Struck Down
04 Hands Of The Priestess Part 2
05 The Hermit
06 Star Of Sirius
07 The Lovers
08 Shadow Of The Hierophant
09 Ace Of Wands (Live)
10 Shadow Of The The Hierophant (Extended playout version)

スティ−ヴ.ハケットのコンテンツでも紹介してる作品ですが、彼がまだジェネシスに在籍してた頃にリリ−スされた初ソロアルバムです。
ロックギタリストであるにも拘らず、クラシックの教養がある彼はオ−ケストラにも興味をもち、ジェネシスのメンバ−に「メロトロンを取り入れよう!」と強く力説し、当時のキング.クリムゾンからメロトロンを1台譲り受けたというエピソ−ドがあります。
結果的にはそれは大成功し、ジェネシスは名実共にプログレッシヴロック界を代表するス−パ−グル−プになりました。
そんな彼が作ったソロアルバムなので、当然メロトロンが随処で大活躍してるわけです♪
とりわけ、あのマイク.オ−ルドフ−ルドの実姉のサリ−が美しく歌う「Shadow Of The Hierophant」は、もしジェネシスのアルバム曲として世に出ていたら、プログレの名曲として後々まで語り継がれていたことでしょう。


 哀愁の南十字星 / Sebastian Hardeie
01 Glories Shall be Released
02 Dawn of Our Sun
03 Journey Through Our Dreams
04 Everything Is Real
05 Rosanna
06 Opennings

オ−ストラリアが生んだプログレッシヴグル−プで、1976年にリリ−スされた歴史的名盤。
リ−ダ−であるマリオ.ミ−ロのギタ−にメロトロンが被さり、アルバムタイトルどおり『哀愁』が漂う作品に仕上がっています。
数年前に、突然、オリジナルメンバ−が再結成し、それも初来日してしまったのには驚きました!
勿論、『哀愁の南十字星』の再現で感動物でしたが、欲を言うと、ステ−ジでメロトロンを使用してもらいたかったかな(;^_^A


 Stratosfear / Tangerine Dream
01 Stratosfear
02 Big Sleep In Search Of Hades
03 3am At The Border Of The Marsh
04 Invisible Limits

エドガ.フロ−ゼ、クリス.フランケ、そしてピ−タ−.バウマンという全盛期のメンバ−で作られた本作品は1976年にリリ−スされ、随処でメロトロンが大活躍。
1982年に初来日しましたが、正直な感想は、コンピュ−タ−が勝手に演奏してるよう?にも感じられ、本来のロックコンサ−トの興奮や感動が味わえなくて、ちょっと残念でした(;^_^A
この『Stratosfear』がリリ−スされた頃までのタンジェリン.ドリ−ムはコンピュ−タ−に支配されることなく、例えて言うならアナログさが感じられ、メロトロンを使用してたことも、何処か「人が介入して作った作品」みたいに感じられていました。


 Timeloss / Paatos
01 Sensor
02 Hypnotique
03 Tea
04 They Are Beautiful
05 Quits
06 Hypnotique - Video Clip

正直言って、21世紀になって、メロトロンを使ったアルバムがリリ−スされるとは思わなかった!
このグル−プは女性ボ−カルですが、またメロトロンサウンドが女性ボ−カルに上手くマッチしてます♪
サンプリングキ−ボ−ドや画期的な電子楽器が開発されてるこの21世紀で、あえてメロトロンという原始的な楽器を使ってくれたことにファンとして感謝(^o^)


 Vemod:暗欝 / Anekdoten

01 Karelia
02 The Old Man & The Sea
03 Where Solitude Remains
04 Thoughts in Absence
05 The Flow
06 Longing
07 Wheel
08 Sad Rain (Bonus Track)

早速、友達から教えてもらった音源です。
「『宮殿』の曲を『戦慄』クリムゾンが演奏したような感じ。
メロトロンがバリバリ鳴っててウェットン風ベースがヘヴィで
ロバート・フリップってこういうのやりたかったはず。」
これが友達のコメントでした。
まさにその通り(^^)v
メロトロンが大好きなプログレ小僧だったら、絶対に気に入るぞ♪