もう二度と離れないように。
私はね、あの時に思ったの。
貴方達二人が、私の前から姿を消した時に。
どうして、私を置いて行くの?って。
その悔しさ、わからないでしょ。
二人で勝手に決めて、勝手にいなくなって。
けど、松村さんは知ってたのよ?
それってどういうこと?
だから、決めてたの。
私、貴方達に会ったら、こうしようって。
「カオル? 何でここに?」
「あんたたち、二人だけにとしくと、何しでかすかわからないから」
「ヒッデェ言い方」
大下さんは、いっつもの様に、軽口叩いて。
鷹山さんは肩竦めて。
「二人が変わらなくてよかった。これで、私の思いは遂げられるわ」
「思い?」
私の右手が、すっとあがる。
二人の表情が凍り付いた。
そうよね。私が貴方達に向けたのは指じゃなくて、銃口だから。
貴方達の知ってる、真山薫はこんなことしないわよね。
けど、ごめん。
もう、私・・・我慢の限界だから。
私の視線で、本気を悟ったんでしょうけど。二人同時にしとめるなんて、無理。
けど、片方をしとめれば、 必ず片方は止まる。
ワタシハ、タカヤマサンヲ・・・。
虚空に響く、乾いた破裂音。
頭を撃ち抜いたのは、下手な所を撃てば、必ず反撃するから。
「タカ!!!」
ほら。大下さんは必ず、鷹山さんの所に来るってわかってるから。
「あ・・・」
大下さんは弱々しく首を振った。
飛び散った赤いもの。自分の相棒のそれを見て、正気を保ってられるのは、すごいと思う。
「・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
怯えと怒りと、悲しみの視線。
叫びは空気に混ざり消え去る。
「ぁぁぁあ・・・・・」
私は、容赦なく・・・。
二人の体を見て、私はこれで安心した。
もう、勝手はさせない。
仕上げは、私の血肉。
二人に混ざり、溶けて行く。
ためらいは、なかった。
もう、離れない。