「落ち着けよ、コウ!!」

そう言った大下の手を、功は振り払った。

「これが落ち着いていられるかよっ!! ハトさんの行方が分からないんだよっ!!」

「だからといって、突っ走って行って、ハトの行方が分かるって限らないだろ!!」

「でも、何かしてないと、不安なんだよ・・・」

「コウ・・・」

大下は、暗い目を向けた。

「分かるけど、お前がそうやって、もし、万一のことがあったら、あいつは、
戻る場所がないんだぞ・・・。お前の良い所は、冷静なところだろ。
自分の事でも、客観的に把握して、対処が出来るって、鳩村、褒めてた。
だからこそ、背中を預ける事が出来るって。

もう一度、考えてくれ。

あいつの居場所の手がかりを掴む為に、何をすればいいのかを・・・」

大下の、静かな問いかけが、功のヒートアップした感情を、醒して行く。

功は、一つ、深くため息をついた。

「わかった。大下さん、もう一度、最初から、考えてみる・・・」

そういうと、功は考えを纏める為、静かに瞼を閉じた。


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