妊娠がわかったら…

妊娠がわかったら出産に向けての生活準備をしましょう。
出産の手続きや赤ちゃんが生まれてくるための準備を
妊娠期間中の10ヶ月間で行いましょう。


 女性は妊娠すると、妊娠初期に妊娠を維持するためのホルモンであるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)が絨毛から分泌され、急激に増加し、尿の中に排出されるようになります。

 排卵日の頃に性行為があり受精すると受精卵は細胞分裂を行いながら3〜4日後には子宮内に運ばれ、着床をはじめます。受精から7〜14日で着床は成立し、hCGが分泌されます。このホルモンは日毎に倍増するくらいに急激な増加をします。

 妊娠検査診断キットは
尿中のhCGホルモンを検出するものです。
最近の市販の妊娠検査診断キットの感度は50IU/L程度と高感度になっていますので、月経周期が比較的順調な人の場合、予定月経2〜3日後でも
妊娠している場合は妊娠反応が現れます
(注:不妊治療でhCGのホルモン注射を使用した場合は妊娠の有無にかかわらず陽性となる場合があります。)

 妊娠検査を行う時期は排卵日を基準にし、排卵後約3週間目の頃に行うべきです。
この頃の尿中hCG値は妊娠検査薬の感度より遙かに高値になっているため、確実に検査判定できるからです。

 妊娠が思い当たる性交日がはっきりしている場合には(その日が排卵日であると仮定して)、
性交日から約3週間経過して月経がない場合に妊娠検査を行って下さい。

 基礎体温などにより排卵日がわかる場合には、
排卵日から約3週間後に妊娠検査を行って下さい。
 排卵日が不明な場合には過去の月経周期を参考にして生理予定日を割り出し、
生理予定日の約1週間後に妊娠検査を行って下さい。

生理が順調な場合
 生理が順調な場合には予定生理後1週間程度経過した頃に行って下さい。
理論的には排卵後10日目頃には陽性となる可能性が高いですが、
確実に診断するためには生理が1週間程度遅れた時期に行うのが一般的です。
生理不順がある場合
 排卵後に形成される黄体の寿命は個人差がなく約14±2日と一定です。
これにより
排卵から次の月経までの期間は個人差がなく一定であるといえます。

 このことをふまえ、
性交渉があった日から3週間後に生理がない場合は検査をしましょう。これは、性交渉があった日に排卵日であったことを仮定したものです。

 検査が陰性であれば妊娠していない可能性が考えられますが、その後も
生理がはじまらない場合は5〜7日後に再検査するか、産科婦人科を受診することをお勧めします。

 一般的には、妊娠反応が陽性である、つまりhCGが検出されるとは「hCGを分泌する絨毛の存在」を意味しています。絨毛の存在は「受精卵の存在」を意味しています。受精卵の存在は「妊娠」を意味していることになります。
 しかし、
妊娠反応陽性であっても正常妊娠とは限りません
流産子宮外妊娠の場合にも妊娠反応は陽性になります。不妊治療でhCGのホルモン注射を使用した場合は妊娠の有無にかかわらず陽性となる場合があります。また、悪性腫瘍などの場合も陽性となることがあります
妊娠反応だけでこれらの判断は出来ません。

 
正確な診断を受けるために、はやめに産婦人科を受診しましょう
妊娠部位を確認する必要があるからです。
(子宮外妊娠は全妊娠の約0.5%にみられますが診断が遅れると母体にとって極めて危険な状態になります)
 また、子宮内の妊娠であっても
正確な妊娠週数を診断したり、胎児が順調に成長しているかどうかを確認することも妊娠初期には必要です。

 妊娠検査が陰性であるとは、妊娠検査を行った日のhCG濃度が妊娠検査薬の感度以下であることを示しています。
ただし、今後hCG 濃度が上昇する可能性まで否定している訳ではありません。
検査結果が陰性でも生理がはじまらない場合には1週間後に再度検査を行って下さい。
 排卵が遅れている場合、生理不順の場合には最初の妊娠検査は陰性でも、2回目または3回目の妊娠検査で陽性になることもあります。

妊娠の有無にかかわらず
生理がはじまらない場合は婦人科受診を受けるべきです。

 妊娠反応が陽性になった数日後に自然に陰性になる場合があります。
これは妊娠のごく初期の流産です。
 妊娠のごく初期に妊娠反応を行った場合、妊娠のために妊娠反応は陽性になります。しかし、その後出血があり流産してしまうと妊娠反応は陰性になります。
月経または原因不明な性器出血として妊娠、流産に気づかないことも多くあります。
このような自然に妊娠反応が陰性となる流産は特別な対応をとる必要性はありません。
 また、水分をたくさん飲んだ後の尿は非常に薄くなり、尿中のhCGが薄まってしまうことがあります。その結果、陽性になるはずなのに陰性になってしまいます。
このような現象はhCG値の低い妊娠初期にのみ見られます。

 不妊症治療や黄体機能不全の治療で使用されるhCG製剤は妊娠の有無に関係なく妊娠反応が陽性になる場合があります。
 その他のホルモン剤(ピルなど)、風邪薬、痛み止め、抗生物質、酒、たばこ、コーヒーなどは妊娠検査に対して影響することはありません。