Yu&Me
〜ナースステーション〜
*不妊・不育症*


*不妊治療

原因により、様々な治療方法があります。
同じ原因であっても治療を受ける方の状態によって、治療方法は個々に異なります。
医師より十分な説明をうけ、理解、納得した上で治療を受けることをお勧めします。
排卵障害
基礎体温上、無排卵または黄体機能不全などの排卵障害が疑われる場合には、ホルモンの検査を行います。
排卵障害は黄体機能不全のような軽度のものから無月経と高度な障害とに分けられます。
血液検査でホルモン状態が良くない場合は、ホルモンを整える必要があります。
ステロイドホルモン療法
ホルモンバランスの乱れによる排卵障害の場合、ホルモン療法が行なわれ行なわれます。
軽度であれば、低用量ピルなどの卵胞・黄体ホルモン配合剤を使用することがあります。
これは、およそ3周期ほど服用し、薬による作用でホルモンでバランスを整え、周期も調整します。
この服用期間中は脳からの性腺刺激ホルモンが抑制されています。
ピルの服用を止めると、抑制されていた脳からの性腺刺激ホルモン分泌が、いままでよりしっかりとなり、改善されることがあります。
その結果、黄体機能不全などの軽症例では、妊娠に結びつくことがあります。
これを跳ね返り現象による治療ともいわれます。
カウフマン療法
生理がまともに来ない、無月経状態が続いている、不正出血が続いているなどの場合
に、行われます。
この治療は、ピルよりもホルモン量も多くなり、子宮の反応もしっかりしてきますので、子宮が小さい場合ホルモンの反応性の悪い方にも用いられることがあります。
卵胞ホルモンの注射剤や飲み薬を、1週間投与し、次に黄体ホルモンと卵胞ホルモン剤を2週間投与します。
これを数周期繰り返し行います。(3〜6周期)
抗エストロゲン療法
無排卵周期症や第一度無月経などには、クロミフェンなどの抗エストロゲン作用を有する薬剤を使用することがあります。
これは月経5日目より5日間薬剤を服用し、その後の排卵を促す方法で、クロミフェン服用中、抗エストロゲン作用により性腺刺激ホルモン分泌がよくなり、排卵が促される作用を利用したものです。
内服による排卵誘発剤と呼ばれています。
クロミフェン(クロミッドやフェミロン)サイクロフェニル(セキソビット)と言う薬が使用されます。
どの薬を使用するかは医師の判断となります。
一般的にクロミフェンは排卵誘発作用は強いが頚管粘液を抑制してしまう副作用が強いと言われています。
サイクロフェニルはクロミフェンに比べ、排卵誘発作用は劣りますが、排卵した場合の妊娠率が高いのが特徴です。

ゴナドトロピン療法性腺刺激ホルモン療法
第二度無月経などの重症な排卵障害に対しては、hMG製剤(ヒュメゴン、hMGテイゾー、ゴナドリール、HMG日研、フェルティノームなど)が用いられます。
この製剤は閉経後の女性の尿を抽出して精製したもので、その尿中には卵胞刺激ホルモンが多く含まれています。
これを筋肉注射し、卵巣に直接働きかけ、卵胞の発育を促し、排卵させる方法です。
エコーで十分に成長した卵胞を確認したら、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)と使用します。
この注射後、35〜36時間で排卵が起こります。
この方法は、卵巣を強く刺激しすぎて【卵巣過剰刺激症候群(OHSS)】となることがありますので、医師は卵巣の管理を行いながら慎重に投与していきます。
排卵誘発剤の問題(多胎妊娠や命に関わる副作用)はほとんどこの注射剤によるものです。
それほど効果は絶大ですが、重症の副作用が起こることを医者のみならず患者さん自身も理解しなければなりません。
異常があった場合はすぐに病院に問い合わせること、不明な点はしっかりと確認することが大切です。

高プロラクチン血症性排卵障害
プロラクチンは、お産後の授乳時に分泌されるホルモンです。
このプロラクチンが分泌されている間は、エストロゲンなどの周期的な分泌が消失し、排卵が起こりません。
授乳期間中に無月経となっているのはこのホルモンのためです。

授乳期以外に下垂体腫瘍などなんらかの原因でプロラクチン値が高くなっている人がいます。
乳房などを刺激すると乳汁の分泌がみられることがあります。
高プロラクチン血症の方は排卵障害がみられ、プロラクチン値の分泌量などにより、その障害の程度が左右されるといわれています。
高プロラクチン血症のために無排卵の場合、プロラクチン値を下げるためのお薬を使用します。内服後、約2ヵ月目には排卵が認められるようになります。
関連疾患によるもの
不妊症関連疾患として子宮筋腫、子宮内膜症、クラミジア感染などが指摘されるようになってきました。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮に発生する良性腫瘍で単発または複数できる多発性のものがあります。
婦人科外来のおよそ5%ほどといわれ、30〜50歳の女性に多く見られます。
この発生には卵胞ホルモンの過剰分泌などが考えられ、月経時の痛み(月経困難症)や過多月経などの症状を訴えることが多いようです。
治療としては、年齢、挙児希望の有無、筋腫の大きさ、全身状態などを考慮して、手術療法や薬物療法が行われます。
子宮内膜症
子宮内膜症は、内膜組織が子宮腔内以外の組織や臓器などに存在し、増生する病態をいいます。
症状は、進行期分類により異なり、程度が重くなるほど症状は強くなりますが、主に月経時の疼痛(月経困難症)、下腹痛、腰痛、性交痛、過多月経、排尿痛や頻尿などがあげられます。
治療は、その症状の程度を判断して、薬物療法、手術療法が行われます。
子宮内膜症の薬物療法では、卵胞ホルモンの分泌や働きを抑えるホルモン剤を使い、月経を一時的に止めて病巣を小さくします
身体を閉経と同じ状態にする方法(偽閉経療法)と、妊娠に近い状態にするピルを服用する方法(偽妊娠方法)の2つがあります。
治療中は排卵は起こりません。
クラミジア感染
クラミジア感染は、最近、特に若い女性に増えてきている性感染症の1つとして注目されています。
この感染は、無症状なことが多く初期感染に気づかず、卵管癒着などでの卵管性不妊症、または急性腹症など急激な疼痛などの重篤な二次症状で診断されることが多いようです
婦人科などを受診した際、できる限り積極的に検査されることが勧められます。
クラミジア自体は抗生物質を内服することで簡単に治る病気です。

受精の問題
受精のタイミングなどにより受精がうまくいかない場合が考えられる時に行われます。
タイミング法
検査上異常がない方、排卵のない方、黄体機能不全の方は、排卵日を確実に見つけ夫婦生活をする事が重要です。
排卵期に性交渉をすることで妊娠の可能性を高めるものです。
基礎体温表やエコーの所見を元に性交渉の時期を告げられます。
弱い排卵誘発剤を使用してタイミング法を行う病院もあります。

ART(生殖補助医療技術)
最先端の不妊症治療の総称です。
これらの治療により、これまで妊娠が困難とされていたご夫婦にも充分妊娠可能な状況となりました。
そのような意味から、これらのARTは妊娠を望まれるご夫婦にとっての究極の治療法と言えます。
しかし、これらの治療は高度の専門知識と経験や技術、さらに施設を必要とし、その質が妊娠成績を大きく左右することも確かです。
人工授精
人工的に卵子と精子を出会いやすくするための治療です。
実際には精子を子宮内に注入する以外は、排卵・受精・着床には何ら人の手を加えられる事がないため、全く自然な治療法です。
タイミング法で妊娠に結びつかなかった場合、精子の状態が良くない場合に行われます。
AIH(配偶者間人工授精)
夫婦間の人工受精を言います。
排卵日に合わせてご主人の精子を洗浄・濃縮して子宮内に注入する方法です。
AID(非配偶者間人工授精)
旦那様以外の精子を使用した人工授精
無精子症や乏精子症などで旦那様の精子での妊娠の望みがない場合、他社の精子を使用して人工授精をするものです。
慶応義塾大学病院を中心に行われています。
精子提供者には条件があり、生まれてくる子供が、そのご夫婦の子供として矛盾しないように、 血液型を合わせておかなくてはなりません。
さらに、遺伝性欠陥、肝炎、性病などの罹患、エイズなどの検査などをして、 安全で妊娠させる能力が十分にある精液を提供できるかをチェックします。
また、精子提供者は、提供を受けたご夫婦で知ることは不可能で生まれてきた子供について何の義務も権利も持つことはできません。
一般的に精子提供者は医学部在学中の学生さんとなります。

体外受精(IVF-ET)
卵子と精子を体外で人工的に受精させ、受精卵を子宮の中に戻すものです。
卵管が障害を受けている方、重症男性不妊症の方、長期原因不明の不妊症の方、抗精子抗体陽性の免疫異常の方などが対象となります。
膣から針を刺して成熟した卵胞から卵子を取り出します。
採取された卵子を状態の良い精子と一緒に培養して受精させます。
状態の良い受精卵を数日後に子宮内に戻します。(胚移植)
子宮に戻す受精卵は胎妊娠を防ぐため、は3個以内と決められています。

顕微授精(ICSI−ET)
顕微授精は顕微鏡下で細いガラス管を使用して1個の精子を1個の卵子に注入し受精させる方法です。
適応はIVFまでの不妊治療で妊娠不可能な方、重症の男性不妊のご夫婦です。
採卵した卵子に、顕微鏡を使用して小さな穴を開け、そこから精子を直接注入させます。
良い状態に分裂した受精卵を後日子宮内に戻します。

TESE(精巣内精子採取法)・MESA(精巣上体精子採取法)
無精子症の男性の睾丸から、極わずかな精子を見つけ出す方法です。
従来、妊娠することは不可能と考えられていた無精子症のご夫婦でも、 この方法とICSIを組み合わせて、極めて良好な成績が得られることが明らかとなっています。
精巣から、精子の元となる細胞と取り出し、その細胞と卵子を顕微授精させます。

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