宇宙細菌は地球の環境に馴染めず、数日の後には死滅した。

だが、その数日の間に、ミサイル攻撃を受けた地域では億単位の人口が犠牲となった。

しかも、ミサイル攻撃が一回限りという保証はない。

どこから飛んできたミサイルなのかも分からないのだ。

世界中が見えざる恐怖に恐れおののいた。

 

   

 

やがて、世界の疑惑の目が、先進国で唯一ミサイル攻撃を受けなかった

日本に向けられるようになる。

一方、日本ではタカ派が危機感を煽って急速に台頭し、

一触即発の事態となった。

 

   

 

ミサイル発射から一ヶ月が過ぎた頃、慎也は防衛隊参謀の木村拓也からの電話を受けた。

「いよいよコリア半島への出動が決まったよ」

「おめでとうございます。さしずめ閣下は豊臣秀吉というわけですね」

「おいおい、あくまでも防衛出動だよ。

 あそことは領土問題があるから、やりやすいんだ。

 だいたい、豊臣秀吉だと負け戦になりかねない」

「いえ、そういう意味ではなく、閣下には天下を統一していただきたく思いまして」

「まぁ、気位ばかり高いコリア半島など屁でもないが、

 近くには人間の頭数だけで大国を気取っている国もあるのでな。

 細菌ミサイルでだいぶ死んだとはいえ、まだまだ油断できんわ」

「その時は、クレージーゴンでもキングじょーでも、お好き方をお使い下さい」

「あぁ、その時は頼む。

 それはそうと、参謀本部で前祝いをするんだが、君もどうだ」

「いえ、私は黒子に徹するつもりです。

 それに、私には私の楽しみもありますので」

 

 

慎也は電話を切ると、基地内の講堂へと向かった。

「皆様、あわただしい世の中になり、開催が遅れておりましたが、

 ユニレンジャーのオークションを再開したいと思います」

ステージに立った慎也は、会場に集まった各界の名士に向かって

晴れやかにオークションを宣言した。

ステージの幕が開く。

そこには、サッカーゴールに両手両足を縛り付けられたRYOの姿があった。

(了)