「いくぞ、メデューサ!。ユニキックだ!」

RYOは高くジャンプすると、メデューサめがけてキックを見舞う。

避けようとするメデューサだが、カーネルサンダーの直撃と

テレポートによるエネルギーの消費で、いつもと比べて動きが鈍い。

「いけません」

シオンがメデューサを庇って、メデューサの前に立った。

バシッ!。

RYOのキックがシオンに炸裂する。

もんどり打って倒れるシオン。

「大丈夫か、シオン」

メデューサが駆け寄って、シオンを抱き起こした。

「ぎゃはは。勝負にならへんやんけ。

 婆さんと坊主がいたわり合う姿は痛々しいだけや」

「黙れ、虎仮面」

メデューサは蛇の髪を槍に変えて、虎仮面に放ったが、

虎仮面のカーネルサンダーに叩き落とされてしまう。

「もう勝負はついたやろ。

 さぁ、オシン。バリアを解除してミサイルのタイマーを止めろや」

「できません!。僕には数千兆の人の命を守る義務があるんです!」

「お前が止めへん言うんなら、俺が力ずくで止めるまでや。

 カーネルサンダー」

虎仮面のカーネルサンダーがミサイルのコントロールパネルを襲う。

カーネルサンダーはバリアに跳ね返されるが、

虎仮面の連続攻撃は続き、バリアも突破されそうだ。

だが、その一方で、大量のエネルギーを使った虎仮面も

カーネルサンダーの威力が低下しつつある。

「こら、猿レンジャー。

 ボーっとすんな。ユニシュートや。

 カーネルサンダーとユニシュートやったら、バリアを破壊できる」

「ヨシ。ユニシュートだ!」

RYOの足から放たれた炎のサッカーボールは、

火を噴きながらバリアに迫った。

「だめだー」

その時、シオンがユニシュートの前に立ちはだかろうとする。

「やめろ、シオン」

後からメデューサがシオンの手をつかみ、押しとどめる。

しかし、ユニシュートはシオンを弾き飛ばして、バリアに命中し、

さらにコントロールパネルも破壊した。

ミサイルの発射を止める事は出来た。

だがRYOには、むしろユニシュートでシオンを倒した衝撃の方が大きい。

「ユニレンジャー。きっ、貴様、許さん!!」

激怒したメデューサが全ての髪を槍に変え、

RYOに襲いかかろうとする。

だが、瀕死の重傷を負ったシオンがメデューサを止めた。

「も、もうやめて下さい。メデューサさん。

 ミサイルはもう撃てません。

 ミサイルが撃てない以上、これからの戦いは無意味な殺し合いです」

「・・・」

「あなたには・・、あなたには生きて欲しい。

 生きて、平和な世界を作って欲しい。

 ユニレンジャーさんも、虎仮面さんも・・、そして僕も、

 それぞれ立場は違うけど、自分の寄って立つものを守る為に戦いました。

 でも・・、でも、あなただけは22世紀からの平和という、

 自分を含まないものの為に戦ったんです。

 だから・・、だから・・」

シオンはそこで息切れた。

「婆さん。これからどうするつもりや」

しばらくの沈黙の後、虎仮面が口を開いた。

「国に帰ろうと思う。

 シオンの言うような、平和な世界を作れるかどうかは分からんがな」

「うん。まぁ、それがえぇやろ。

 あんな阪急ファンの下におったって、ろくな事はないぞ。

 RYO、お前もや。

 ここから帰ったら、大学生活をしっかりやれ。

 シオンの事は気にするな言う方が無理やろ。

 そやけどな、これからの人生、後悔する事はいろいろある。

 やらんかった事を悔いる人生にするな。

 やった事を後悔せぇ。

 ええな、RYO」

「虎仮面はこれからどうするんだ」

「んっ?。俺か。

 俺はこれから新庄のドタマかち割ったるつもりや。

 あのガキ、阪神に後ろ足で砂かけよったからな。

 ただじゃおかん!。

 ほんならな」

RYOは立ち去っていく虎仮面の後ろ姿を見ながら、

やりかねない男だと思った。

 

21世紀。

虎仮面が命を賭けて守り、メデューサが命を賭けて変えようとした

新世紀の幕が開いた。

シオンの言葉によれば、22世紀に起きる大戦争に人類を導く100年になる。

 

だが、RYOは思う。

歴史は変えられないのだろうか。

いや、変えねばならない。

シオンの死を決してムダにしてはならないのだ。

(了)