山野井智広

 

50m自由形決勝。
彼はこのレースに賭けていた。
「世界水泳には出られない。けど、この人と泳ぐ事ができるのなら・・・」
切れ上がった眼差し、しかし、優しさがにじみ出るその眼差しの先。
あの人がいる。イトウシュンスケ。大学の一緒に泳いでいたあの人。
何時の間にか"尊敬"から"愛"に変わろうとしていた。

「え!? お前なんでタイツ方の水着にしないの?」
決勝前日、彼は同僚達にこう言われた。
「いいんだよ。俺、決勝ではこれを着て出るつもりなんだから」
そう、あの人と一緒に出るレースは、この水着で・・・。
トモヒロはロッカーの奥に大切に閉まってあったものを取り出した。
それは、ロッカーから出てきた瞬間、ダイヤのように光った。

ビキニ型の白いadidas。
周りに誰もいないことを確認し、彼は衣服を全て脱ぎ捨てた。
分厚い胸板、割れた腹筋、引き締まった尻、男としての立派過ぎる象徴。
欠点の無い体のパーツ一つ一つにさわやかな風が通り過ぎる。

トモヒロはゆっくりとその純白のスピードを足に通し、"装着を完了"した。
なれた締め付け感は、より一層の引き締めをトモヒロに与えた。
まるでそばにシュンスケがいるかのように。

翌日。トモヒロは見事日本新記録で優勝。
表彰式を終え、彼はロッカールームに向かっていた。
あの白い水着を着たまま、彼はロッカールームに入った。
必死に誰かを探す。「シュンスケさん。何処に居るんだろ・・・」

優しく肩を掴まれる。ハッとして後ろを振り向く。
そこには大きな切れ長の瞳で優しく微笑みかけるシュンスケが居た。
「あ、シュンスケさん。」いつも優しいトモヒロの瞳が余計に優しくなる。
「おめでとう。よかったな。」シュンスケもなぜか黒いSPEEDOだった。
「あ、ありがとうございます。」緊張していた。いつも一緒に練習していたのに。
こんな近くで、暖かい眼差しでジッと見られると、トモヒロはどうにかなりそうだった。

「オレが何で今でも黒いビキニのSPEEDOきているか判るか?」
「?」トモヒロは何も言えずただシュンスケを見つめていた。
「お前が白いadidasを穿いている理由と同じだよ。」
はっとした表情をするトモヒロ。きつく目を閉じたが、溢れる涙を抑えきれない。
「知っていてくれたんだ・・・・オレの・・・思い・・・」

「見せてくれ。お前の大切なもの。」
そう言うとトモヒロをプラスチック製の長イスの上に寝かせる。
「きれいな身体。初めて会ったときとは比べ物にならない。」
ドキドキしている・・・・何年ぶりだろう。けど、うれしい。
憧れの、そして胸を締め付けられるような思いまでしてきたシュンスケが・・・
シュンスケはやさしく、トモヒロの上に覆い被さる。
互いの瞳が合う。何処までも澄んでいる、互いの瞳。
目を閉じ、唇が重なる。暖かい。舌が入ってくる。熱い。

口が離れると、シュンスケはトモヒロの首筋にも熱いキスをする。
何ともいえぬ感覚に包まれるトモヒロ。もう、何もかも任せてしまいたい・・・・。
そのキスは熱い密着を保ちながら厚い胸板の先に付いている小さな頂きを優しく包む。
「はっ、あああぁ・・・」最愛の人の前で始めてあげる声だった。身悶えるトモヒロ。
その愛撫は胸を離れ、腹筋をとおり、純白のダイヤモンドにたどり着いた。

純白のダイヤモンドの中で、シュンスケへの思いと肉柱の大きさは比例していた。
右曲がりに容積を増したモノは、熱い熱気と血のナガレを発しながら大きな逸物に成長していた。
「なんてキレイなんだ。純白の中でお前、凄く成長している。」
明らかに形のわかった鈴口の部分に競パンの上から舌を突き入れるシュンスケ。
「ああっ!」今までの優しい表所とは打って変わり、眉間にしわを寄せ、身体を反らし、愛撫を
全身で受ける。

純白の水着を下ろす。
閉じ込められていたトモヒロの分身が、開放を喜ぶかのように涙を撒き散らしながら飛び出る。
それはプールの塩素と男特有の匂いを放ちながら、現われた。
シュンスケはジッとソレを見つめる。「こんなんだったのか・・・」やさしく、包み込むように
トモヒロを触る。ドクッドクッと脈打つ感覚と、両手交互に掴んでもはみ出てしまう大きさに、
シュンスケはトモヒロのモノを口で包み込む。
「はぁあああーーっ・・・」再び身体を反らすトモヒロ。
おいしそうな果実を心を込め、まんべんなく愛撫するシュンスケ。

愛撫を終えると、トモヒロの水着を摺り下ろし、片足から脱ぎ始めたが、もう片方を太腿の
途中に絡ませたまま、四つんばいにさせると、シュンスケは自らの肉柱を突き入れた。
「あああっ!」トモヒロは今まで上げた事の無い切なげな声を上げた。
シュンスケはイスに座り、トモヒロを抱えたまま、向かい合う形になった。

一つになった状態で再び目を合わせる。
「ヒデアキ・・お前の中・・・・あったかい」
お互いうつろな目をしながら見詰め合う2人。
身体を揺らし始める2人。
身体を仰け反らす2人。
ビクッビクッと身体を一層仰け反らし、動きが止る2つの陰。
薄暗いロッカールームに浮かぶ逆三角形のシルエットは、全てを終えたのか、ゆっくりと横になり始めた。


シュンスケの"白いエナジー"を受け入れたトモヒロの肉体は一層の輝きを見せたように見えた。
「メダルも、栄誉も、いらない。この人の、何かが、欲しくて、水泳続けた・・・」
そう、彼は今回、勝利と共に、今までの人生の中で、かけがえの無いものを手に入れた・・・・。