プリンス オブ スレイブ

 

第 4 話

 

 光の国のプリンス・タロウ。

 ゾフィーからのウルトラサインを受け、駆けつけた月面で兄弟達の惨めな姿を見せつけられ、

呆然と立ち尽くしている間に自らも敵に捕獲されてしまったのだった。

 時間が経てば経つほど体の自由はなくなり、次第に希望がなくなっていく

焦燥感に襲われていた。 

 つれて来られた実験室はさらに奥があった。

 装置こそ止まっているものの、ブロンズに加え装置につながれた

哀れ極まりないマンとセブンが気になりはするが、

選択の自由がないタロウは2人をを置き去りに奥へと進むしかなかった。

ヒッポリト「ここでは2人に精神の強さを測らせてもらっているんだ」

タロウ「な・・・・・何を・・・・しているんだ?」

 巨大な虫のような生き物の腹の中に飲み込まれているジャック。

 そして、タイマーや片目など、体の一部分だけが元に戻され

そこに刃物が迫るゾフィーが奥の部屋には鎮座していた。

ヒッポリト「この虫は精神を蝕む凶悪な虫なんだ。

        今頃、徐々にジャックの精神は汚され、食べられていることだろう」

タロウ「ジ、ジャック兄さん!しっかりしてくれ!」

ヒッポリト「無駄無駄・・ブロンズに体は侵されているんだ、聞こえはしないよ」

タロウ「くっ・・・」

ヒッポリト「ゾフィーは物理的な刺激にどこまで精神が壊れずに耐えられるのか」

タロウ「なんてむごいことを・・・」

ヒッポリト「助けたいですか?」

タロウ「?!・・・あ、当たり前だろう!」

ヒッポリト「もうわかっていると思いますが」

タロウ「な、何をつければいいんだ・・・?」

ヒッポリト「さぁ、ここに膝をつきなさい!」

 渋々タロウが膝をつくと、ヒッポリトはロイヤルファミリーの証:ウルトラホーンを

アンチストリウム鋼でコーティングしてしまったのだ。

タロウ「な、何を・・・はぁ・・・はぁ・・・・した・・・」

ヒッポリト「あなたの自慢のウルトラホーンをアンチストリウム鋼でコーティングしたんですよ。

       まだ終わってませんよ?動かないでください」

タロウ「・・・っ・・・・・」

 今度は立派な2枚の盾のような胸板に液体金属を塗りつける。

 塗りつけられた途端、まるで生き物の様に脈動し始め、

タロウの胸板を怪しくもみほぐし始めたのだ。

タロウ「な、何なんだ・・・はぁ・・はぁ・・・・こ、これ・・は・・・」

ヒッポリト「いえねぇ、あなたをどこまでも貶めようかと思いまして・・・

       光の国のプリンスが淫乱に喘ぐなんて・・・

       なかなか見られないでしょう?」

 タロウの体に施された数々の拘束具はエネルギーの吸収、

封印だけが効果ではなかった。

 光の戦士であるタロウの体に麻薬の様に作用し、刺激に興奮し、

快楽を求めるようになり始めていたのだ。

ヒッポリト「どうしたんです?苦しそうですねぇ」

タロウ「そ、そんなこと・・・は・・・ない・・・(くそ、反撃が出来ない・・・)」

 莫大なエネルギーを保有しているウルトラホーンを封じられた今、

ヒッポリトと戦う力は残されていなかった。

 さらに、拷問とも言える実験が止まっているとは言え、

4人が人質にいる状況ではまるで手の出しようがないのだ・・・・。

ヒッポリト「・・・?!・・・ふふふ・・・

       さぁ、タロウ・・・最初の部屋に戻るぞ・・・・」

タロウ「・・・くっ・・・・・」

 何か通信でも受けたのか、突然、部屋に戻るといい始めたヒッポリト。

 その行動よりも、今のタロウにはこの実験室にいる4人のことが気がかりで仕方がなかった。

 ヒッポリトに鎖を引かれ、実験室を出た途端、タロウが身の自由を賭して

結んだ約束がなかったかのように実験が開始されてしまったのだ。

 マンやセブンは股間部から強制的に種を搾取され、

エネルギーと共に機密情報が抜き取られ始めた。

 ジャックは精神を犯され、ゾフィーは体のいたる部分に拷問とも言える

攻撃を加えられ叫び声さえもあげることを許されず、精神を責め続けられていた。

 そんなこととは知らず、部屋に戻ったタロウの前にはあの悪魔のカプセルが

2つ用意されていた。

 中が見えないカプセル・・だが、中にはおそらくウルトラ戦士がいるだろうことは

誰の目にも明らかだった。

ヒッポリト「あなたを追ってきたところを捕らえたんです」

 言葉に合わせて1つだけカプセルの中が透けて見え始めた。

 タロウ「・・・メ、メビウス・・・・メビウス!」

メビウス「・・・・・(何か、脱出の手がかりは・・・)」

ヒッポリト「あなたの声は届かず、中からは何も見えていませんよ」

タロウ「ど、どうするつもりだ・・・・」

ヒッポリト「そうですねぇ・・・

       あなたが私たちの奴隷になると言うのなら助けてあげなくもないですが?」

タロウ「?!ど、奴隷だと!」

ヒッポリト「えぇ、確かにそう言いましたが?」

タロウ「(光の国のプリンスであるわたしが・・言えるわけがない・・・

     それに私までもが人質になるわけには・・・・・・)」

 弟子の命を助けたい、だけど条件は飲めない・・・そう思い始めた矢先だった。

 ヒッポリトの触手が2つ光り、カプセルが作動し始めた。

メビウス「な、なんだこれ・・・ぐ、苦しい・・・・ち、力が抜けて・・・いく・・・」

タロウ「な、何を・・・」

ヒッポリト「あなたが迷っているようなのでブロンズ化を開始したんですよ」

 話をしている間にも、メビウスのカプセルの壁面には深緑色の液体が流れ出していた。

 タロウが迷っている間にメビウスの動きが緩慢になり、

着実に接着液で固められてしまっていた。

メビウス「か・・らだが・・うご・・・かない・・・・」

タロウ「メ、メビウス・・・

     わ、わかった、奴隷になる・・・だから・・」

ヒッポリト「では、光の国と地球にその中継をしましょう」

タロウ「・・・?!・・・わ・・・・わかった・・・・・・」

メビウス「・・から・・・だ・・が・・・かた・・められ・・・て・・・」

ヒッポリト「急いだほうがいいようですよ?」

タロウ「わ、わかった・・・・・

     わ、わたしは・・・ヒッポリト星人の・・・奴隷として・・・一生を・・・捧げます・・・」

 モコモコモコモコモコモコ

メビウス「ぁぁぁぁぁぁっ・・・・・っ・・・・」

ヒッポリト「一足遅かったようですね・・・」

タロウ「メビ・・・ウス・・・・・」

 タロウが奴隷になると宣言した直後、メビウスのエネルギーは底をつき、

完全に接着液に固められた体にはヒッポリトタールが降り注いでいた。

 そして、仕上げのガスがカプセルに充満しブロンズへと姿を変えられてしまったのだ。

 兄弟も弟子も救うことが出来ない・・・

失意のどん底に沈むタロウ。

 落胆するタロウを待っていてくれるほど優しいご主人様ではなかったのだ。

 徐にタロウの後頭部を掴むといつの間にか用意されていた液溜まりに顔を移動させていく。

タロウ「・・・な、何を・・・する・・つもりだ・・・」

ヒッポリト「あなたはもう奴隷なんですよ?

       この星では奴隷はマスクをするキマリなんです・・・」

タロウ「マ・・・スク・・?」

ヒッポリト「えぇ、奴隷の証としてね・・一生、外せないマスクを・・ねっ!」

 最後の言葉にあわせ、力いっぱい液溜まりにタロウの顔を沈めていく。

 タロウの顔がすっぽりと沈むとそのまま腕に力を入れて固定してしまった。

 もがくタロウなどおかまいなしに一向にその手を離そうとしないヒッポリト。

タロウ「んぐ・・・んんっ・・・んぐぐっ・・・・」

ヒッポリト「・・・・これで、あなたは正式な奴隷ですよ・・・

       ふはははははは・・・・」

タロウ「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・・」

 ようやく解放されたタロウの顔。

 地面に四つんばいで息をしながら、おそるおそる自分の顔を触ってみる。

 ブロンズのマスクを装着され、起伏をそのままに奴隷の証としてブロンズにされた顔。

  光の国のプリンス・ウルトラマンタロウの端正な顔は

見るも無残なものへと変えられてしまった。

 そのマスクには見た目だけではなく、驚くべき作用があった。

 頭をすっぽりと包み込み、神経や脳をコントロールすることさえ可能であった。

 文字通り、奴隷になるのである・・。

ヒッポリト「さぁ、奴隷としての初仕事をしてもらいましょうかね」

タロウ「(仕事だと)は・・い・・・ヒッポリト・・・さ・・ま・・・・

    (な、何を言っているんだ、わたしは!)」


ヒッポリト「もう1つのカプセル・・・あの中の人を処刑しないといけません・・・」

タロウ「(だ、誰がいるんだ)はい・・・ヒッポリト・・さま・・・

     (くそ、抗えないのか・・・)」


 マスクをされてからと言うもの、言葉は完全に支配されてしまった。

 さらに、淫らに股間は振られ胸の刺激も甘んじて受けるようになり

種をどんどん生成しては貞操帯に堰きとめられる責め苦に陥れられ始めたのである。

 処刑とは言うもののカプセルは透き通らず、ヒッポリトにボタンを手渡されるだけであった。

 ヒッポリト「さぁ・・それを押しなさい・・・そして、中の人を処刑するのです」

タロウ「(わ、私が仲間を処刑?!)わかり・・・ました・・・ヒッポリト様」

 その頃、カプセルの中では変化が起きていた。 メビウスの時とは逆に外からは見えないが、

中からは見えるように細工がされていたのだ。

ウルトラの父「タ・・タロウ・・・・?!

        ・・ど、どうしたのだ・・その姿は・・・・」


ヒッポリト「さぁ、きっと最期の時をじらされて死刑囚も困っていることでしょう」

タロウ「わかり・・・ました・・・・・」

ウルトラの父「?!・・操られているのか?・・・

        くそっ・・・なんて頑丈なカプセルなんだ」


 ウルトラ警備隊・大隊長であるウルトラの父の力をもってしても傷さえもつかないカプセル。

 そして、ついに目の前で最愛の息子・タロウが処刑のスイッチを押してしまう。

 ボタンを押すとカプセルの中ではタロウにも施されたエネルギー吸収光が放出され、

ウルトラの父のエネルギーを奪い始める。

ウルトラの父「ど、どういうことだ・・・エネルギーが・・・奪われて・・・いく」

 続けざまに光を発しながら接着液が降り注ぎ、屈強な体の時間を止めていく。

 体に付着すると流れ落ちることなくそのまま体に張り付き、自由を奪っていくのだ。

ウルトラの父「・・?!・・・か・・らだが・・・うごかな・・・い・・・」

 ピコンピコンピコン・・・ピコン・・・ピコン・・・・・・ピコン・・・・・・・・

 次第に遅くなるタイマーの音。 そして、乱滅する瞳。

ウルトラの父「や・・めるんだ・・・タロウ・・・・タ・・ロウ・・・」

 ヒッポリト「さぁ・・・とどめにもう1度ボタンを押しなさい」

タロウ「わかりました・・・(や、やめろ・・やめるんだ!くそっ!)」

 ヒッポリトの命令により体をコントロールされ、

意識あるまま体が勝手にカプセルの中の同胞を処刑してしまう。

 届かない声を必死に振り絞り息子に呼びかけるが、それも虚しく、

接着液に固められた体にヒッポリトタールが降り注ぐ。

 分厚い胸板も頑丈な四肢も自慢のウルトラホーンも場所を選ばず全てを深緑色に染めていく。

 そして、ついにウルトラの父のエネルギーも底をつきかけた時、

ヒッポリトがカプセルを透き通らせた。

ヒッポリト「さぁ、最期の瞬間です・・・誰を処刑したのか顔がみたいでしょう?」

タロウ「・・・?!・・・・・(と、とうさん・・・・とぉぉぉぉさぁぁぁぁぁぁぁん)」

ウルトラの父「ウルトラの・・・星を・・・・頼んだ・・・・ぞ・・・・・」

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・

モクモクモクモクモクモクモクモク シャァァァァァァァァァァァァ・・・・・

 ヒッポリトの憎むべき相手・ウルトラ戦士・・その大隊長には特別な措置がとられていた。

 息子の手による処刑・・そして、ヒッポリトでさえも剥がすことが出来ない

コーティング剤によるブロンズの永久化である。

 カプセルが消え、メビウスと共にウルトラの父のブロンズ像が出来上がった。

 その場に立ち尽くすタロウ。

タロウ「ぼくが・・・父さんを・・・処刑した・・・・・・」

ヒッポリト「そうですよ、あなたが父を亡き者にしたんです。

       さぁ、その調子で兄達も処刑しにいきますよ」

タロウ「(兄さんたちも?!)は・・・い・・・・ヒッポリト様・・・」



 光の国のプリンスを奴隷として隷属させ、捕らえたウルトラ戦士を全滅に追い込んだヒッポリト星人。

 その後、宇宙を侵略した際も、常に傍らにはタロウとおぼしき奴隷の姿があったという・・・・。