久しぶりに買い物に来たデパートで、浩志(当然B’zの稲葉さんです。趣味に走った配役)は

人待ちをしていた。すでに約束の時間を15分ほど過ぎている。

「暇だなあ・・・」

携帯の着メロが鳴り、電話をとる浩志。

「は?渋滞で後1時間遅れるっ?」

ああ、まあ、しょうがないよな、と電話を切りつつも。

1時間・・・すでにあらかた自分の物は見てしまった後である。暇だ。

ふと視線をやったその先に、催し物会場のお知らせを見つけた。

 

「不思議の国の万華鏡 カレイドスコープシンフォニー展」

 

「万華鏡か・・・嫌いじゃないな。暇だし、行ってみるとするか」

喫茶店で待つといっても、1時間はちょっと長い。なに、つまらなかったら早々に引き上

げて喫茶店で待てばいいさ、と。

しかし、それは浩志の不幸の始まりだった。

 

「どうぞ、こちらが眼鏡になっておりますので、中の指定のあるお部屋でおかけください」

よくある紙でできた眼鏡だが、いわゆるレンズの部分はプリズムのようになっていて、光

を屈折させるようになっているらしい。

平日の昼間のせいか、人はまばらである。もともと混んだ場所が苦手なので、わざわざ平

日に買い物をしているのだ。

いくつかの部屋を進み

「カレイドスコープの世界」

と書かれた扉を開け、閉めるとそこは六角形の鏡張りの部屋だった。

なるほど、確かに万華鏡は鏡張りの筒である。三角形ではあるが。

指定どおり、眼鏡をかける。

プリズムのように光が屈折して・・・ゆがみ始めた。

「!!!???」

おかしい、と思う間もあらばこそ。

浩志は、ぐらりっと世界が揺れる感覚とともに意識を失った。

 

くすくすくすくす。

横から聞こえる笑い声に、浩志は目を覚ました。

「カレイドスコープ、鏡の国へようこそ、レッドロッカー、いや、浩志さん」

「貴様は・・・しょこら!!」

敵の幹部のしょこらが笑いながら、浩志を見ていた。

「いつ見てもかっこいいねえ。ふふ。僕の世界へようこそ」

「は、来たくて来たわけじゃないさ。さっさとここから出してもらおうか」

「あれえ?そんな強気なこと言っていいのかな?この空間は亜空間。僕の呪法無しでは出

ることはできないよ」

「ならば・・・腕ずくで!!」

浩志はしょこらめがけて突進した。

このしょこらという敵は、呪術を扱うことには長けているが、肉弾戦は限りなく弱い。も

ともと人間であることと、呪術を扱うが故に、肉弾戦の経験が浅く、また男性ではあるも

のの女性的な性格をしているため、そもそも肉弾戦を嫌う傾向があった。

普通なら変身して戦うところだが、こいつなら大丈夫、そう踏んでの攻撃だった。

そう、それはあっていた。ただし、それはここがしょこらの創った亜空間でなければ、の

話であるが。

ごす。

鈍い音と共に倒れたのは浩志の方だった。

「な・・・なにぃ・・・」

しょこらはにっこり笑った。

「どうしたの?いつもの元気はどこいっちゃったのかなあ?ここは亜空間だから、もとの

世界においてきちゃったのかな?」

浩志が、にらみつける。

「貴様・・・いったい・・・何を・・・」

「さっきいったよね?ここは鏡の国だって。ちょっとここを創る時に細工をしたんだ。鏡

の属性をいかすようにね」

いぶかしげに眉をひそめる浩志に、しょこらは続けた。

「鏡は全てを逆に映す。この亜空間の中では僕と僕に敵対するものの物理攻撃の関係は正

反対になる。君達ロッカーレンジャーは一まとめとして考えてあるから、仲間が救出しに

くれば来るほど、君達の力はどんどん弱くなっていく。現実世界では強くなるんだからね、

その逆さ」

「!!」

「ついでに言っておくと、変身もしない方がいいよ。余計弱くなるだけだから」

呆然とする浩志を目の前にしょこらは微笑み、呪文を唱えた。

闇の中から紅の十字架が現れ、浩志は、十字架からの力に吸い寄せられ、磔にされた。

ぱちん、としょこらの指が鳴ると、ずるり、と十字架からゲル状の生物が現れた。

「ひ・・・」

ぬらり、とした感触が浩志の肩に服越しに伝わる。しかし、その感触が、直に肌に触れる

のにそう時間はかからなかった。

「僕のペットだよ。可愛いでしょう?安心していいよ。ちょっと服が溶けるだけだから」

「ふ・・・服がって・・・ちくしょう!!この変態!!」

「あはは、変態かぁ。いいねぇ。・・・もうすぐしたらその『変態』なしでは生きていけ

ない体にしてあげるから」

「!!」

さっと、浩志の顔が恐怖にひきつる。

 

しょこらは、浩志の近くで話し始めた。

「あるところに少年がいました。少年はいつもいじめられていました。理由はことば遣い

が女の子っぽいことや仕草が女の子っぽいことでした」

ふわり、宙にしょこらが浮いた。

「少年は、先輩に憧れていました。いつも強くて優しい、そんな先輩。そうだね、さしず

め、君みたいな」

しょこらは、浩志の目の前で、まっすぐ彼の目を見つめた。

「そして、ある日少年は先輩に告白をしました。憧れは、恋愛に変わっていたから。返っ

てきたことばは『気味が悪いから、もう二度と話し掛けないでくれ』。そして、少年の恋

は先輩の友人から学校中に広まって、さらにいじめが激化しました」

しょこらは手袋をはずした。無数の傷跡のある、手の甲と手首。

「死のうと思ったことも一度や二度ではありません。暴力から身を守ろうとして、いつも

あざだらけになりました。少年は人を信じることはできずに心を閉ざしていきました」

しょこらのローブがさらり、と衣ずれの音と共に床に落ちた。

陶磁器のような肌がなまめかしく光る。全体を見ると、しかし、ところどころにあざがあ

った。

浩志は、息を呑んだ。

「人の世に存在する場所が与えられない少年は、幸か不幸か魔性の力を持っていました。

誰も信じられないなら、いっそのこと・・・全てを消してしまえばいい。最後に自分が消

えれば、誰も何も辛い思いはしなくなる」

浩志は、目を伏せた。

ずるり。

ゲル状の生物は、浩志の股間の部分を除き、全てをあらわにした。

「服を復元しなさい」

しょこらがゲル状の生物にそう命じると、浩志の服は復元され、しょこらの手元に現れた。

「とても、いい匂いがする。君の汗の匂い。生きている君の匂い」

服を抱きしめて、しょこらは匂いをかいだ。

「君はちょっと特別だから、殺すのは最後にしてあげる。でも、楽しませてもらうから」

ざあっと、霧が浩志を包み、すぐに消えた。

「さあ、二人だけのパーティーをはじめましょう」

 

しょこらは手始めに、変身ブレスを浩志からはずした。

「もう、君は戦うことはない。この世界で僕と一緒に生きていくんだから」

浩志は、しょこらを見据えて、語りかけた。

「しょこら、君は間違っている」

「ふ・・・何が?」

しょこらは、あざ笑いながら浩志に返した。

「本当の問題はそれじゃ何も解決しない」

「じゃあ、誰も傷つかずに全てを解決する方法なんてどこにあるっていうの?僕が悲鳴を

あげている時に誰も助けに来なかったくせに、誰かを助けろだって?バカなことを言うな

よ」

バチンッ、浩志の頬を叩いた。しかし、浩志は怯まない。

「君には歩み寄るところはなかったのか?本当に、君は正しかったのか?」

しょこらの唇の端が歪んだ。

「そう・・・それで僕への暴力が正当化されるの?だったら、考えてみなよ。今の状況は

明らかに僕の君に対する『いじめ』、いや、奴らが僕にした『暴力』だ。そして、僕と君

は『利害の不一致で対立している』という『理由』がある。『暇つぶし』や『自己の位置

の他者への暴力による確認』よりはロジカルな理屈だ。じゃあ、君は今の僕の君への暴力

は、君が僕に歩み寄らずに、君が正しくないから起こったことだっていえるんだね?」

「そ・・・それはっ・・・」

しょこらの瞳は浩志を射抜いた。

「僕は、君が好きだよ。浩志さん。顔も、まっすぐな瞳も、優しい笑顔も、僕が望んでも

得られなかったものだ。でも・・・同時にひどく憎んでもいる。ずっと陽に当たってたか

ら、わからないかもしれないけど、君の傲慢さを憎んでいる。人がみんな平等だとか、愛

や平和を振りかざして、まるで自分が正義そのものであるかのように振舞って。理由なん

て関係なしで・・・。わかってるだろうけど、さっきの少年は僕だ。対立している敵だけ

ど、僕は君が守ろうとしている人間達よりずっと苦しんできたと思う。復讐はよくないこ

とかもしれない。少なくとも君はそう思っているんだろう。君はずっといじめられたこと

なんてなかっただろうから。そして、たとえあったとしても立ち直れるくらい強かったか

ら。だけど、じゃあ、苦痛を受けた人間はどうしたらいいんだ?この国では人を殺しても

死刑にはならない。殺した人間への更生への配慮だというけれど、殺された人間はどうし

たらいいんだ?今でも僕は夢を見る。いじめられていた時の夢を。この身体の傷と同じよ

うに、心にも傷は永遠に残り、痛むんだ。それは、僕は奴らに心の一部を殺されたからな

んだよ?強くなかったからか・u桙烽オれない。だけど、強くなかったことは罪なのか?

もし罪なら、君はなぜ『弱い人間』を守るんだ?人間のくせに平気で人間を殺す人間達を

守るのも君たちの正義なのかい?」

浩志はうつむいた。

「だけど・・・だけど・・・っ」

「まあ、いいさ」

つうっ、としょこらは浩志の身体をなでた。

瞬間、えもいわれぬ快感が浩志の身体に疾った。

「は・・・っ・・・」

思わず身をよじる浩志。

「うふふ。さっきの霧は僕のペットの粘液を洗い流すと同時に、感度を上げる効果もある

んだよ。」

しょこらはにやりと笑った。

「たっぷりと楽しませてもらうよ。ヒーローなんでしょ?いじめられた少年のために、犠

牲になってもらうよ」

「やめ・・・」

しょこらは、ちゅ、と浩志の乳首にキスをした。

「ぐ・・・あああああっ」

「最高の肌だよ。吸い付くみたいだ。乳首もぴんと立って、とてもいやらしいよね」

しょこらは、満足げに笑うと、少し悲しみを帯びた目で、浩志に言った。

「僕はね、浩志さんのことが大好きなんだ。嫌いな男なら、すぐ殺しちゃうから。で、ひ

とつゲームをしよう」

大きな砂時計がごとり、と現れた。

「この砂時計が終わるまで、僕はこのまま浩志さんを責めつづける。殺したりはしない。

でも、正気を失っちゃうくらいの快楽を与えてあげる。もし、浩志さんが壊れないままだ

ったら、そして僕を恋人にしてくれたら、僕は浩志さんを出してあげるし、味方になって

あげる。でも、もし、壊れちゃったら・・・その時は・・・一生ここにいることになる。

もっとも、その前に浩志さんの『一生』は終わっちゃってるのかもしれないけど」

「俺のことを好きだというのなら、なぜこんなことをするんだ!?狂ってる!!」

「狂ってる?・・・うん、そうだよ。だって、狂わないと僕の心が壊れてしまうんだから。

今から浩志さんが受けるのは僕の狂った愛だよ。正義のヒーローなんだよね?僕を牢獄か

ら救い出すために、君は戦って勝たなくちゃいけない」

「じゃあ、なぜその後恋人にする必要があるんだ?」

しょこらは、さっと表情を変えた。

「僕は人の愛情を知らないんだ。愛し方も愛され方も。多分・・・浩志さんが正気を保っ

ていたら、僕は浩志さんに全てをゆだねてしまうと思う。それで拒絶されたら僕はきっと

死んでしまう。すぐにね。ここは僕の世界だから、僕が死んだら、あなたも死んじゃう。

それだけ」

静かにそういった。しょこらの瞳には深い悲しみが映されていた。しかし、一瞬後、しょ

こらは、意を決した表情で浩志を見据えた。

「さあ、僕の受けてきた悲しみを全てあなたへ、形を変えて与えるよ。」

「!!!!・・・」

しょこらはゆっくりと快楽の渦へと突き落とすべく、浩志の肌に手をかけた・・・。

 

「まずは・・・そうだね、この、割れた腹筋からいただこうかな」

美しく割れた浩志の腹筋をしょこらの指がなぞる。

時折、爪で割れ目に刺激を与える。

「魔法使いの指にはね、毒が仕込んであるんだよ」

くす、と笑って爪に力を入れる。マニキュアで強化している爪は、浩志の滑らかな肌をす

っと切り裂いた。浩志の顔は一瞬歪んだが、また意思の強い唇を結ぶ。

血がにじみ、紅の珠になり、細い筋となって鍛えられた腹部を伝う。

しょこらは、長く伸びた爪の先をかちゃかちゃと重ね合わせて、うなずいた。

「まずは、スペシャルな覚醒剤を」

そう言って、浩志の傷に深々と爪をつきたてた。

「うぐわぁっ・・・く・・・うああああっ」

そのまま、ぐりぐりと肉をえぐるように指を回し、するりと抜いた。

「ふふ・・・きれいに全部溶けたみたいだね」

指先についた血をしょこらはなめる。

「すごい力だね。こんなに力のある血も珍しい。さすが、レッドの面目躍如かな」

大きくなった傷口からは、血が噴き出して、たくましい腹筋を朱に染めている。浩志の息

は少しだけ荒い。

「もったいないなあ。全部なめてあげる」

そう言って、しょこらは血を舐めとり、啜り、腹部に噛み付いた。

「ああああああ・・・・っ」

傷の痛みと、しょこらの舌が与える快楽に、浩志は悶えた。与えられる両極端な二つの刺

激に浩志は混乱していた。

「すごく、おいしいよ。浩志さんの血液」

唇に血をつけたしょこらはにっこりと笑った。

「ご褒美に、傷を治してあげようね」

唇の端をあげ、にいっと笑うしょこら。ぞくり、と悪寒が浩志の背中をかけめぐる。

「!!??・・・く・・・かはぁっ・・・」

「ふふふ・・・傷は治してあげてるでしょう?」

そう、傷は急速な勢いで回復している。しかし、浩志の動悸はめまいがするほど速くなっ

ていた。

「あ・・・あ・・・」

目を見開き、ぼろぼろと涙をこぼす浩志。口を大きく開き、息を吸い込もうとするが浅い

呼吸しかできない。浅い呼吸を何度も繰り返し、だらだらとよだれがたれていく。

「すごいねえ、そんな恰好なのに、やっぱ、まだ普通の男より全然かっこいいねぇ」

しょこらの方を向き、何か聞きたいような目ですがるが、言葉にするだけの余裕はなく、

ただ目が恐怖の色に慄(おのの)いている。体中、びくびくと痙攣し、たくましい肉体は

張り詰め、十字架を揺さぶるほど、激しく音をたてるほど、動いた。自分の肉体に何が起

こっているのかわからず、錯乱した意識のまま、浩志はただ、金魚のように口をぱくぱく

させながら、必死に何とかしようともがいた。

「そろそろやめないと、気絶しちゃうかな」

パチン、と指を鳴らすと、動悸はゆっくりとおさまり、浩志は深く呼吸をできるようにな

った。

痙攣もおさまり、深く息をし、肩が上下する。自らの涙と唾液と汗で端正な顔と厚い胸板

はぐちょぐちょだ。

そこで、しょこらは浩志に、ねっとりと濃厚なキスをした。

先ほどの名残か、口に溜まった唾液をゆっくりと吸い上げ、舌を絡ませる。

びちゃびちゃと音がするくらい激しく、浩志の唇を吸い、舌で歯をなぞり、唇をゆっくり

と舐め、顔を離した。

「・・・な・・・なぜ・・」

「ああ、何であんなことになったのかって?簡単だよ。傷を治すために肉体の代謝機能を

高めただけさ。だから傷は治ってるでしょ」

確かに腹部の傷は、癒えていた。

「!?う・・・なんだ・・・なんか、・・・あれ・・・?」

「おおー、すごい。遅効性の毒がもうきいてきたのかなー?代謝機能高めただけあって速

いね〜」

「ど・・・毒!?」

「ああ、大丈夫。単なる覚醒剤だもの。媚薬入りの。でも・・・」

しょこらは浩志の股間を優しく手で包んだ。

浩志は恥ずかしさに顔をそむけた。

なぜなら、浩志の股間は、痛々しいくらいにぎんぎんに勃っていたからだ。溶かされて、

ホットパンツ並みの短さになったパンツの裾が引きつるほど、それは屹立していた。

「覚醒剤やってるとさあ、感覚が鋭敏になって、めっちゃめちゃ感じちゃうんだよね」

指先で浩志のくっきりと張り出たカリの部分をなぞる。

「ああああああっ・・・!!」

そのままぐりぐりと先端の割れ目をパンツ越しに刺激する。

「んっ・・・はああっ」

身を捩り、なんとか抵抗しようとするが、今度は別の理由で身体がひくつく。浩志の指先

が、何かを握り締めてこの快感に抗おうとするが、ただむなしく空を切る。

しょこらは、浩志のパンツのウエストのボタンをゆっくりはずし、股間のボタンを一つ一

つ外していく。やがて、浩志の下着が露になり、しょこらはパンツを足元まで引き下げた。

「へえ、白のビキニなんて、やーらしいんだ。薄い布地だね〜。誘ってるみたい」

浩志の下着にはすでに丸いシミがついていた。白いビキニは透け、黒々と渦巻く陰毛が透

けて見える。べとべとしたそのシミをしょこらの指がなぞる。

「あああっ・・・あっ・・・ああ」

先端を刺激され、浩志はあえぎ、大きくなった浩志自身から多量の透明な液を噴出させる。

「うわ、まるでおもらししてるみたい。こんなんだったら下着の意味ないじゃない。ねぇ?」

そう言って浩志のビキニに手をかける。

「や・・・やめてくれっ・・・っ・・・!!」

しょこらは浩志のビキニを一気にずり下げた。

屹立した浩志自身が一瞬引っかかるが、ぶるんっ、と大きく震えて、先端についた透明な

液を反動でしょこらの顔に飛ばす。

 

とうとう、全てを剥ぎ取られ、丸裸になってしまった浩志は恥ずかしさに目を瞑った。

その大きさに不似合いな、きれいなピンク色をした浩志の秘部は、とろとろと液を出し、

切なそうにひくつく。

「顔射なんてやるんだから、誘ってるんでしょ〜?お誘いには乗ってあげないと、ねえ?」

成熟した雄の匂いがたつ浩志の股間に、しょこらは顔を近づける。

先走りの匂いと、先ほどの「代謝機能の高まり」のせいか微かにアンモニアの匂い、そし

て汗の匂いがしょこらの鼻腔をくすぐる。

「やめ・・・見ない・・・で・・・」

切ない声を出して懇願する浩志の声など無視して、しょこらははぁっ、と息を吹きかけた。

びくりと波打ち、切なげに液をたらす浩志自身を、しょこらは口に含んだ。

「!!!!?????」

舌を使って先端部分をきれいに舐めとり、ぐりぐりと刺激し、割れ目に舌を入れ、ぬちゅ

ぬちゅと音を立てて先走りを絡めとる。際限なく溢れ出してくる先走りを啜りながら、浩

志自身を口腔内にぴったりとくっつけ、全体にも刺激を与える。

ぐちゅぐちゅといやらしい音をたてて、攻め立てられ、浩志は声にならない叫びをあげた。

「や・・・・」

涙を再度ぼろぼろと流し、身を捩るが、浩志の一番敏感な、そして一番奥深くに隠してい

た場所に与えられるしょこらの責めは一向に容赦なく続く。身体をねじり、よじり、身も

だえするが、そんなことでは到底収まらない快楽。息を吸う暇もなく、荒い呼吸を続け、

声を出すこともできず、ただ身悶えることしかできない。

そんな時間が、約10分ほど続いただろうか。

媚薬のせいで極度の過敏症になっていた浩志は、精力剤の効き目で股間を屹立させながら

も、半ば白目をむいてぐったりとしていた。口をあんぐりとあけ、筋肉は弛緩している。

「真面目に生きてきただけのことはあるなあ。さすがに快楽には弱いんだ」

浩志からあふれ出るエキスを堪能したしょこらは、小休憩とばかり、浩志の股間から口を

離して呟いた。

しかし、まだ、浩志は白濁した液を放出してはいなかった。

覚醒剤は、感覚を研ぎ澄まさせる一方、射精を阻害する効果もある。

つまり、浩志は通常よりも何倍もの快楽を与えられているものの、それを放出できず、た

だ溜め込んでいるのである。

「せめてイッちゃえたら楽なのにねぇ?」

体力を消耗して、もはや何も応えられず、外界からの刺激の中、生命活動を保つのに精一

杯の浩志に、まるで張本人とは思えないような無責任な言葉をなげかけるしょこら。

「・・・」

応えない浩志に肩をすくめ、仕方ないなあ、と呟いて、しょこらは体力を回復させる呪文

を唱えた。

「う・・・」

「気が付いた?こんなんで気絶しちゃうなんて情けないなぁ。正義のヒーローでしょ」

浩志は、自分の姿を見た。

すでに、布キレ1枚身につけず、自分が出した唾液や汗で、身体はぐちょぐちょ。

そんな満身創痍の状況の中で、唯一別の生物のように屹立する薄紅色の肉棒がてらてら光

る。

「ねぇ、君たちの口上こうだっけ?『聖なる調べで闇より来たりし者を封印す。ロッカー

レンジャー、参上!!』『聖なる調べ』じゃなくて『性なる調べ』の間違いみたいだよね」

余りの情けなさに、口もきけない浩志を嘲笑するしょこら。

「こんな・・・こんな辱めを受けるくらいなら・・・畜生・・・死んだ方がましだ!!」

「あっれー?正義の味方らしくないじゃんー?しょこらもさー、トイレの雑巾を羽交い絞

めにされて顔につけられたり、口に突っ込まれたりしたし、ドブの中や便器の中に顔突っ

込まれたりしたよ?それに、それだけじゃなくて、身体中ぼこぼこにされたりしたよ?で

も、そういう時、そういういじめを受けてる子が、もうこんな辱めを受けるくらいなら死

にたいって言ったら、君はそうだねって納得するの?」

浩志の顔に戸惑いの色がはしる。

「どんなに辛くても、必ず朝は来る。そんな言葉をかけるよね。何年もそういういじめを

受けて、傷ついている子にそんな言葉をかけるくせに、自分はほんの数時間でギブアップ

で人生やめちゃうって言えるんだ。それで間違ってるだとかよくそんな偉そうな台詞が吐

けるよねー。結局、浩志さんも他のやつらと一緒だよ。ばかばかしい」

浩志は、うつむいて黙った。

「あーあ。ま、いーや。次、うしろ使えるようにしてあげる」

「!!!」

「あ、邪魔だしこの十字架やめよ」

しょこらは自分の指から、ピンクゴールドの指輪を外した。

指輪は4つのパーツに分かれ、両手足首に装着された。その瞬間十字架は消えたが、浩志

は、リングに操られた。

大きく股を開かされ、きゅっと引き締まった形のいい双丘と、その間にある茂みと紅色に

ひくつく菊座が惜しげもなく披露される。

「よかったねー、ギャラリー一人で。私なんか何人に見られたことか」

「く・・・見たいなら・・・見ればいいっ・・・」

浩志は恥ずかしさに顔を背けながらも、そう言った。

しょこらは、くすくす笑った。

「いくら浩志さんが見られんの嫌でもさー、こんなかっこで『見たいなら、見ればいい』

もないよね。立場わかってないんじゃないの?」

そう言って。カメラを取り出した。

「!!!いっ・・・いやだ!!お願いだからやめてくれ!!こんな・・・こんな・・・」

見る見る内に、目に涙をいっぱいためて浩志は哀願した。

「んー?どうしよっかなー。見たいなら見ればいいんでしょー。なら、撮りたいなら撮れ

ばいいんじゃないのー?ねー?」

「お願い・・・だから・・・」

ふっと涙を出した美しい横顔に、しょこらはどきりとし、にやっと笑った。

「そっかー、じゃあ、しょうがないよね。かわいそうだしー」

「じゃ・・・」

「おっと、ただでとはいかない。ここで、この体勢でおしっこしてくれたら、ね。ついで

に言うと、その後、このリングはじょろじょろ垂れた浩志さんのおしっこの中に突っ込ん

でいって、浩志さんをおしっこまみれにしちゃうけどさ」

「ぐっ・・・」

「さらにいうとー、浩志さんが床に撒き散らしたおしっこをきちんときれいに舐めとらな

いと、リングはあがってくんないんだー。ほら、『おかたづけは大切』でしょー」

長い沈黙が流れた。浩志は悩んでいた。しかし、しょこらが再びカメラを構えると、浩志

は叫んだ。

「わかった!!ここでおしっこをするから、やめてくれ!!」

「えー?そういう言い方〜?私はおしっこを舐める変態です。こんな淫らで変態な人間は

写真に写る資格などございません。どうか何卒お慈悲を下さいって言ったら、考えてあげ

てもいいけど?」

「・・・わ・・・私は・・・おしっこを舐める・・・変態です。こんな・・・淫らで変態

な人間・・・は・・・写真に写る資格など・・・ございません。な・・・何卒お慈悲を下

さい・・・」

嗚咽を混じらせながら、浩志は言葉を吐き出した。

「しゃーないよねー。ヒーロー様にそこまで言われちゃあねー。おっけー。おしっこして」

しかし、しょこらはちょっとした細工をしていた。

身体の曲がり方に工夫していたのだ。

結果・・・。

ぶううううぅぅっっ。

おしっこをしようとして、力を入れた浩志の尻から、大きな音が発せられた。

「いっやーん。くっさーい!!」

げらげら笑って、しょこらが指を指す。浩志は、かぁぁっ、となりながらも、頑張ってお

しっこをだした。

じょろじょろ・・・はじめは勢いがなかったが、徐々に勢いよく、さながら噴水のように

飛沫を飛び散らせながら、おしっこが出てくる。

ぴくぴくっ、と動いて、おしっこが終わると、浩志の身体はリングによっておしっこの中

を引きずりまわされた。床にこすりつけられるようにして、引きずり回される。リノリウ

ムのような感触の床なので、痛みはないが、屈辱感は言い知れない。美しい髪も、顔も、

そのたくましい肉体も、全てアンモニアの匂いに染められてしまう。

「ほらー、なめなめしないと〜、いつまでたってもその状態だよ」

浩志は、涙を流して、時々、おえっ、と吐きそうになりながら自分から出た黄色の液を舐

め取った。唇から出た赤い舌は、それだけでエロティックである。犬のように這いつくば

り、ぴちゃぴちゃと音をたてて舐めとる姿は、まるで奴隷である。情けない姿を見せた浩

志を、リングはやっと空中に持ち上げた。

「あ、そうそう、言い忘れてたけど」

しょこらは満面の笑みをたたえ、浩志に宣告した。

「私個人の持ち物として、だけど。ビデオ、とってるから」

「!!!!???」

浩志は絶望に打ちひしがれた顔で、嗚咽した。

「写真はダメだけど、ビデオならよかったみたい〜」

踊りながら、くるくる回って楽しげに、しょこらは言った。

「さて、次は何して遊ぼうかな〜」

「こんな・・・こんなことして・・・遊びだって!?」

「その子たちはそう言ってた。遊びだって、ね」

「ちがう!!ちがうちがうちがう!!君はどうなんだ!!しょこらはどうなんだ!!楽し

いのかっ!?俺をこんな目に合わせて楽しいのか!?」

「楽しい・・・?楽しくは、ないよ。でも・・・そういうひどい子達に生きる権利がある

とか言って、守ろうとするその心が嫌い。それは虐げられるものにとってはどんな感情な

のかも知らずに、闇雲に守ろうとして、仕返しする側の暴力をなくそうとするその態度が

嫌い。死んでいい人間や死すべき人間なんてこの世にあふれてるのに、そういう安っぽい

ヒューマニズムで語る心が嫌い。話せば分かり合えるなんて幻想を抱いて、自分のくそ役

に立たないヒューマニズムを満足させて、問題の本質を見ないその態度が嫌い。汚いどろ

どろした部分なんて人間の誰しもにある。そういうとこを見ずに人間賛歌をお題目にする、

馬鹿げた心情には反吐が出る。そういうものを、めちゃくちゃにしたい。自分は何を言っ

てて、それによってどういう想いをする人間がいるのか、それを知らせたいだけ」

語気を荒げたしょこらは、涙を少しだけ流した。

「それだけだよ」

本当は、なぜ彼にそれを知らせたいのか、それは伏せて、しょこらは言った。

しょこらは、もう一度、霧で浩志の身体を洗った。アンモニア臭は消え、美しい肌が元の輝きを取

り戻した。

「さて・・・」

しょこらは、浩志の双丘の割れ目に舌をちろり、と入れた。

「は・・・」

びちゃびちゃ音が鳴るように舐め始め、浩志の穴が緩むと、舌を入れる。ゆっくりと指も使う。

「さっきからHな刺激になれちゃってるからねえ。こんなになってる。使ったことない

なんて思えないほどのスムースイン。でも、やっぱり締め付け具合がいいね〜」

ぐちゅぐちゅ。ずぽずぽ。

「さーて、いよいよ挿入しちゃいます〜」

「く・・・」

もはや抵抗せず、目を瞑る浩志。

ずぷり。

浩志の秘所に、しょこらの屹立したものが入った。

「あ・・・ああんっ・・・」

「う・・・あ・・・気持ち・・・いいっ・・・」

浩志は、驚くほど素直にしょこらを受け入れた。浩志の中の、温かく、ぬるぬるとした感

触に、しょこらは今までにない興奮を覚えた。

「す・・・すごい・・・こんなの・・・初めて・・・」

「う・・・気が・・・変になりそうだ・・・っ」

浩志はまるで、バックが初めてとは思えないくらい、感じていた。びゅくびゅく透明な液

が浩志の先端からほとばしる。

「う・・・で・・・でちゃいそう・・・」

「う・・・あ・・・ああああああああっ」

しょこらは、いったん腰の動きを止めた。

「さて、と・・・浩志さんもそろそろイカせてあげるよ」

しょこらの手の中で碧の光球が生まれ、浩志の身体に吸収される。

「これで覚醒剤の力はなくなるはずだ。そして・・・」

今度は白い光球が浩志に入る。

「浩志さんの力は、今から精液に凝縮される。浩志さんのヒーローエナジー、僕がもらう

からね」

「な・・・」

抵抗しようとした浩志だが、リングに抑制された。

「そうはさせないよ」

すぐにしょこらは深々と浩志を突いた。

「ああああああああああーーーーーーーっ」

浩志は余りの快感に涙を出して、叫んだ。

しょこらは、激しく浩志を突きたてた。どくどくとあふれ出る浩志の先走り。しかし、ヒ

ーローエナジー放出の時間は、もう目前だった。

「う・・・あ・・・僕・・・もういっちゃうよぅっ」

「う・・・あああああああーーーーっ」

どくどくどくっ。浩志の中でしょこらが果てると同時に、浩志もヒーローエナジーを放出

した。勢いよく溢れ出すその液は、しょこらのリングに吸い込まれる。

ぴくぴくと切なげに亀頭をもたげる浩志自身を、しょこらはぱくりと咥えた。

独特の生臭さと、男の匂いと、極上で純粋なエナジーをたっぷり堪能する。口の中で思う

存分弄び、先ほど放出したエナジーを一滴残らず吸い上げると、しょこらは満足そうに口

を離した。

身体中ぼろぼろにされた上、生命力の源まで吸われてしまった浩志は、気絶していた。

憔悴しきって、目を閉じた顔に、乱れた髪がかかっている。汗でべっとりと顔に貼り付い

てしまった髪。それでも、浩志はなお美しく、かっこよかった。

 

このまま浩志のそばにいると、責める感情を失ってしまいそうだ。

しょこらは、服を着て、気分転換にもとの世界に1回戻ることにした。

鏡の世界から浩志は出られない。砂時計の示す時間は、まだまだたっぷりある。

 

ばしゅんっ

もとの世界に戻ったしょこらを黒い稲妻が襲った。すんでのところで、しょこらのピアス

からバリアが発動し、難を逃れる。

しかし、同時に襲った黒い竜巻が、しょこらを捕らえた。

「うわああああああっ」

引き裂かれるような痛みと苦痛にさけぶしょこら。

渾身の力をこめて、竜巻から脱出したが、しょこらの力はもう底を突きかけていた。

「ちくしょう!!どうせこんなことをするのはヴァリエルくらいだろう!!出て来い!!

卑怯者!!」

げらげら笑う声とともに、醜い面相をした怪人が現れた。

「ご名答!!しかし、随分とレッドロッカーでお楽しみのようじゃないか?ん?」

「貴様に関係ない!!」

「いやいや、それがあるんだよ。君を今、ここで殺せば奴は永遠にあの世界から出られな

い。そうすれば、我々の勝利は目に見えてるじゃないか」

「な・・・させてたまるか!!フラゴリ・ペスカ・グラニータ!!」

呪文を唱えると、浩志が空中に現れた。が。

びゅんっと黒い網が浩志を絡めとり、ヴァリエルの前にさらった。

「浩志さん!!」

「う・・・」

しょこらの声に気づき、目を開ける浩志。しかし、目の前には、ヴァリエルがいた。

「貴様・・・ヴァリエル!!しょこらに何をした!?」

「ははは・・・あれだけのことをされて、まだ奴の心配か?自分のことを心配した方がい

いんじゃないのか?」

「くっ・・・」

浩志は歯噛みし、網をほどこうとするが、いかんせんびくともしない。

「ふはははは、無駄だ。貴様が変身したところで解けはせぬわ。先ほどのしょこらの魔力

がまだ残っているようだな・・・。面白い。貴様のエナジーを全て吸い取ってくれよう」

「なっ・・・!!」

浩志は絶句した。

「そんなことさせない!!」

しょこらは、走りよろうとしたが、魔力障壁に阻まれ、行くことはできない。自分の魔法

を解こうとしても、一向に解けない。

「はははは・・・無駄だよ、しょこら。さーて、レッドロッカー、貴様の最期だ」

「畜生!!貴様いったい何をするためにこんなことをするんだ」

「私は世界の王になる。支配するためにな!おまえはそのための力になるのだ。光栄なこ

とと思って、死ね!!」

「貴様は、やはりしょこらとは違う!」

「!?なにを訳のわからぬことを・・・。当然だろう。奴は敗者、私は勝者、違うに決ま

っているだろう」

ヴァリエルの口から舌が出て、それは細い管となった。

「私はまどろっこしいことが嫌いだ。直接、吸い尽くしてやるわ」

「っく・・・ぎゃあああああああああああああーーーーー!!!」

管となった舌は、直接浩志の尿道に入っていった。

あまりの痛みに気絶する浩志。睾丸がみるみるうちに小さくしぼんでゆく。

「やめろやめろやめろー!!せめて、僕の手で殺させろーっ!!貴様なんかに浩志さんを殺され

てたまるかーっ!!」

ヴァリエルは後ろをむいた。

「ほう・・・面白い。貴様がこいつを殺すのか。愛するものを手にかけるというのか」

管をしゅるりと口に戻し、ヴァリエルはにやぁっと笑った。

浩志は、泡を吹いて、目を大きく見開き、口も大きく開き、よだれをたらしながら失神している。血

尿をだらだらと流しながら、もう、虫の息である。

「おまえに殺されるくらいならな」

しょこらは鏡で作られたロッドを手にしている。先端部分は鋭くとがっており、刃になっている。

「くはははは!!こいつは傑作だ。レッドロッカーの顔が見ものだな!ひどい目に合わされても助

けようとした敵に、殺されてしまうとはな。最高のショーじゃないか!」

げらげら笑いながら、ヴァリエルは浩志に、動けないが目を開くには十分、という程度の回復魔

法をかけた。

「言っておくが、ここでは回復魔法は使えん。助けようとしても無駄だ」

「もとよりそんな気はない」

しょこらは、浩志の前に立った。

「しょ・・・こら?」

「ごめんね・・・でも、ヴァリエルに殺されるくらいなら・・・僕が・・・」

浩志は泣きそうな顔をした。

「そん・・・な・・・」

「ぎゃはははは。レッドロッカー、貴様の思いも無駄だったようだな!!」

「・・・さよなら」

ざく。

しょこらは浩志の心臓にロッドを突きたてた。

「う・・・がはああああっ・・・」

しかし、その瞬間だった。

「リバース!!」

しょこらが叫ぶとともに、ロッドは虹色に光り、浩志の身体を包んだ。

まばゆいばかりの光があふれる。

鏡のロッドは鏡の世界の属性のもの。そして、呪文は本当の意味で浩志を元の世界に戻すも

の。鏡の世界でぼろぼろにされた浩志はどうなるか。

力関係の逆転が引き起こされ、とてつもなく強力な力が浩志に注ぎ込まれた。

「ななななななにぃぃぃぃーーーーっ!?」

浩志は、目を覚ました。まぶしい光に包まれて。

リバース。元の世界にreverseすること。そして、re-birth。生まれ変わること。

「よかった。死ななくて」

「しょこら・・・」

「今なら、ヴァリエルを殺せる!さあ、浩志さん、変身して!!」

ブレスを浩志は装着した。

「チェンジ・ウルトラ・ソウル!!レッドロッカー!!」

「貴様の力など・・・あれ・・・?」

ヴァリエルが先ほど吸い取ったヒーローエナジーは発動しなかった。どころか、普段より

も力が出なかった。そう、先ほどまでのヒーローエナジーは鏡の国の属性。元の世界では

負のエナジーを背負う。焦るものの、もう遅い。

「蒼い稲妻!!紅い陽炎!!」

「ぐぎゃああああっ!!」

「そしてトドメだ!!マグマ!!!」

「ぶしゅうううううぅっ!!!」

ヴァリエルの身体が跡形もなく消え去る。

 

そして、浩志としょこらだけが残った。

「あはは。もう、僕に勝ち目ないね。・・・好きにしていいよ」

「そうか・・・」

浩志はしょこらに歩み寄った。

「もう、もう、構わなくていいし、殺しても構わない。あんなことしたんだから・・・も

うっ・・・」

浩志はしょこらの唇を、キスでふさいだ。

「な・・・」

「正直言って、俺はさっきされたことは、嫌だった」

「・・・」

「でも、しょこらが言ったことや、しょこらにそう言わせただけの君の周りの環境は俺に

とって十分考えるところがあった」

浩志は、しょこらを抱きしめた。

ぼろぼろとしょこらの目から涙があふれた。

「それに、最後にはきちんと助けてくれた。だから、もういいよ」

「浩志さぁん・・・」

「それと・・・傷ついた魂を癒したい」

浩志はまっすぐ、しょこらの瞳を見て言った。

「・・・だけど・・・僕、きっと、浩志さんのこと、恋人として見ちゃう。一緒にいたら、

浩志さんは恋愛できないよ」

「いや、できるさ」

「できない!!だって・・・僕は浩志さんのこと大好きで・・・浩志さんに恋人なんかで

きたら傷つくもの」

「それが、しょこらでも?」

「・・・え?」

しょこらは浩志を見上げた。

「男同士ってのも悪くないな。俺も、しょこらを攻めてみたいけど、ね」

「・・・ばか」

浩志はにっこり笑った。

「どうかな?」

「・・・あの、こんなひねくれ者ですけど、よかったら・・・」

「俺にとっては、可愛いしょこらだよ」

最上級の笑顔で。浩志は、しょこらに口づけた。

 

ちなみに。

「なんなんだよ、おまえらーーーーーっ」

待ち合わせの場所に1時間遅れて来たブルーロッカーの雅治(福山雅治)が、驚きの叫び

をあげたのは言うまでもない。