橋本公山

 

「おめでとう。」形式的な挨拶。
ここ2、3日、ハシモトコウザンはうんざりしていた。
200m背泳ぎ優勝、世界水泳出場決定。
立て続けに嬉しい事が続いたが、その後は母校での学長との挨拶、マスコミの取材攻勢
、これまでの生活が突然の激変を遂げる。

「体調が優れないな・・・。」
練習できない苛立ち。彼は水泳できない苛立ちを何とか抑えるため、下着代わりに
競パンを穿いていた。もちろん、母校のユニフォームである。ピンクのSPEEDOである。

この競パン独特の締め付け感は、彼に言い様の無い落ち着きを与えていた。
「水泳やりたい。けど今は競パンで我慢だ。」
どうしようもない気持ちを、競パンの締め付けにより、"分散"していた。

何とか一時の時間を作り、彼は久しぶりにプールで泳ぐことができた。
「ひさしぶりだな。けど、誰もいねぇや。」
すでに夜8時、殆どの水泳部員は寮などに帰ってしまい、ここに居るのはコウザンだけだった。
彼は無造作に衣服を脱ぎ捨てる。
すでに競パンを穿いているので、そのままプールに飛び込んだ。

「やっぱりいい・・・。」コウザンは水の流れを肌で感じ、安心感を抱いていた。
水の流れは何時ものようにコウザンの鍛え上げられた肉体に程よい刺激を与えながら
通り過ぎる。

しかし、コウザンは泳ぎながら、何か身体に"刺激"を感じていた。
それはいつも感じている水の流れではなく、粘っこい、何か、"身体に触れられている"
感覚だった。「あれ? 何か、変だぞ?」本人が気付いた瞬間、
水が突然、粘性の固体に変わり、コウザンの手足に絡みつき始めた。
「ごほっ、ぐあぁつ!」突然の事に咳き込む。そして突然プールの真中のコースロープの上に
乗せられてしまった。「何・・どうな、ってるんだ?」混乱するコウザン。
必死に身を捩るが、粘性の水が拘束をより一層強いものにする。

やがて、左右上下から粘性になった水が、人間の手足のようにコウザンの身体をなぶり始めた。
「はぐっ・・やめ・・・はぅああっ・・・」
鍛え上げられた身体にあちこちに加わる淫痛。
胸板、腹筋、首筋、尻、太腿の付け根、ありとあらゆる性感帯に加わる。
時に胸板の先につく、小さな頂きを液体が針のように変形し、突付く。
更に、数少ない腋の下の毛を引き抜く。
"最大の急所"を捕らえられたコウザンは、
「はぁあああぐああ!」プール中に響く大きな声で悶える。
痛みと快感に拘束された彼は抵抗すら出来ない。

コースロープに寄りかかり、悶える光景は、日本選手権で素晴らしい泳ぎを終え、コースロープ
に寄りかかり、優勝の余韻に浸っている、あの時の光景と同じだった。
ただ一つ違うのは、"表情が歪んでる"という事だけだった。

そして、その液体は、いとも簡単にコウザンの競パンをずり下ろし、
既に赤黒く充血し容積を増した
彼の秘所を露にした。腹筋を打ち付けるくらいに大きく硬く容積を増した肉柱もあっという間に
水に巻き込まれ、人間の手のように、いや、ソレより気持ちよい痴撃が加わり始める。
「はぁ、ああぅ、ぐああ・・」

やがて液体は彼の尻孔に侵入し、出たり入ったりを繰り返す。
とてつもない光景だった。日本選手権優勝者が"水に犯されていた"。
「はあ、あぐあ、ぎああ、あああ!!」
女のやる時でさえ上げた事の無い喘ぎを、繰り返すコウザン。
その顔には先ほどまでの悲壮感や怒りの表情は無く、完全に快楽におぼれる、
一匹の雄に成り下がっていた。

そして、
「ああぁあああ!!」一際大きな叫びとも喘ぎともつか無い声を上げると、
彼の見事なまでの頂きは白い噴火を始めた。溶岩は奇麗な円弧を描きながら、
プールの水に吸い込まれる。

意識朦朧としているコウザンは息も絶え絶えにコースロープから降りると、
何とか泳ぎながら、プールサイドに上がり、力なく横たわる。
彼の顔からは何時もの精悍さは無く、焦点の定まらない瞳で天井を見上げる。

プールは何事も無かったかのように静かな波を立てる。
コウザンの放った"白い花"を浮べながら・・・・。