読了:2005.3.18
レビュー:2005.3.18
虚貌 / 雫井脩介  (幻冬舎文庫)

岐阜県美濃加茂市。
解雇に恨みを抱いた元従業員3人に社長一家が襲われるという事件が起きた。
社長夫妻は惨殺され、娘は暴行未遂を受け窓から転落、下半身不随の挙句に後日自殺。息子はガソリンをかけられた上に放火され、全身に激しい火傷を負った。
事件後、犯人グループは速やかに出頭、逮捕に至り事件は解決したかに見えた。
あれから20年。
気の弱い荒に、巧妙に主犯を押し付けた事件の首謀者時山と坂井田は数年前に刑期を終え、既に出所している。
当時未成年だった湯山は服役することもなく、現在は東京でカメラマンとして成功しようとしていた。
そして無期懲役だった荒が仮出所を果たし・・・。
事件は始まったのだ・・・。

面白かったです。
途中からは引き込まれるように読んでいましたね。
何せ、つながりそうでつながらないパズルのピースがあちこちに散らばっているんですよ。
「これはこうかな」「この人はこうじゃないかな」と思ったりはするんだけど、実際それらがどうつながっていくのかがわからない。
犯人も読めないし、手口もわからないし、ただわかっているのは20年前の事件の復讐なんだろうということだけ。
けれどそれが「誰による」復讐なのかも途中でわかんなくなってくるし、「この人はどう絡んでくるのかなー」とか。
トリックそのものは是非がわかれるところですね。解説にもありましたけど。
「そんなんアリ!?」と思う人もいるかもしれません。が、わたしは別に・・・何とも思わなかったかな。
っていうか、ドラマ化するってハナシも聞いたし、そのトリックが出来るんなら、映像でどの程度の完成度でそのトリックを作るかが非常に見ものです。
ただ・・・事件の細かい真相がわからないのが、寂しいな・・・。
アタマ悪いから、教えてくんないとわかんないんだよね・・・。
犯人も・・・「で、結局この人で良かったの?」っていうか・・・馬鹿なの?わたし。

「犯人に告ぐ」よりはわたし的に面白かった。


読了:2004.11.10
レビュー:2004.11.10
火の粉 / 雫井脩介  (幻冬舎文庫)

梶間勲は裁判長として最後の裁判に臨んでいた。
被疑者である武内真伍は、夫婦と幼い子供を惨殺したとされる被害者一家と親しい友人づきあいをしていたが、武内が送ったネクタイを
使用していなかったとして衝動殺人を犯したとされている。
しかし、武内は自分も暴漢に襲われたとして背中に重傷を負っていた。
背中の傷はとても自分でつけられるとは思えない―争点となったその怪我について、解答を導けるものはおらず、勲は被疑者に無罪判決を
出した。
そして二年後。
退官して、大学教授をするようになった勲の隣家に、武内が越してきた。
果たしてこれは偶然なのだろうか。
じわじわと梶間家に入り込んでくる武内。
あの時、自分は狂気に冒された殺人鬼を世間に解き放ってしまったのだろうか・・・。
果たして無罪か、有罪か・・・。

ドキドキしました。
途中イライラしながらも(笑)、けど自分自身「こうじゃないかなあ」という推測が完全には成り立たなくて。
結果が読めなかった。
面白かった。
狂気と冤罪と人付き合いと・・・難しいですね。



読了:2004.12.2
レビュー:2004.12.7
犯人に告ぐ / 雫井脩介  (双葉社文庫)

卑劣な連続児童殺人事件発生―
しかし捜査は困難を極め、犯人の目星がつかないままに、最初の事件から1年が経過しようとしていた。
新たな警視監として神奈川県警に戻ってきた曾根は、足柄署の検挙率の高さに目をつけ、そこから捜査官を呼び戻す。
呼び戻された捜査官巻島は、過去神奈川県警所属時に曾根の指揮下で追っていた児童誘拐事件で失態を演じていた。
そして再び戻ってきた神奈川県警で、行き詰っていた連続児童誘拐事件に、前代未聞の捜査方法で取り組む。
警察とメディア、そして世間をも巻き込んだかつて類を見ない公開捜査が始まった・・・!!

面白かったと思います。
ただ個人的には・・・クライマックスがなあ・・・盛り上がりに欠けたよーな気が・・・。
まあ、「最後は涙!」と言う人もいるので、これは読み手の受け方次第なのでしょう。



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