読了:2005.10.15
レビュー:2005.10.17

氷の森 / 大沢在昌  (講談社文庫)  

「自分に利するために、、ためらいも、恐怖も、後悔もなく、人を傷つけ、それきり忘れてしまえるような人間だ。―近い将来に、俺の周囲に現れるのかも知れん」
私立探偵緒方はディスコで行方不明になった女性堀江みつきの捜索を依頼され、その行方を追っていた。みつきはその後解放されたが、緒方の事務所に殴りこんできた、みつきと一緒にいた男外岡秀志が殺害されて発見された。
その時一緒にいた男が緒方に会いたいと言っていると知り合いのやくざに誘われた緒方。
だが緒方がたどりついた時には、その男も既に死んでいた。
何かが動き出している。とてつもない敵が・・・。
事故死した恋人の行動を知りたいという男性の依頼と同時進行で緒方は秀志殺害の裏を探るが・・・。

うーん、展開は面白いんだけどなあ・・・。
オチが少し「あり?それで終わり?」っていう感がなくもない。
こう・・・一番最後の最後の盛り上がりに欠けたような気がします。
割と事情は複雑に入り組んでいて、少しずつほどけていく過程はドキドキしますよ。



読了:2005.10.6
レビュー:2005.10.10

野獣駆けろ / 大沢在昌  (講談社文庫)  

海外での傭兵経験をもつ高松は、傭兵稼業から足を洗った現在六本木の遊び人であり、経験を生かしたノンフィクションライターだ。
高松はその腕っ節の強さを買われ、出版社に勤める友人に、何者かに命を狙われている大物作家のボディガードを依頼される。
それを断わり、夜の街で遊んだ高松が帰宅すると、先ほど会ったその友人の死体が自宅のドアの前に転がっていた。
原因を突き止めるため、一度は断ったボディガードを買って出るハメになった高松は、傭兵仲間の清水と共に同業者でありプロの殺し屋である男たちと対決することに・・・。
作家の命を狙ったのは一体何者なのか。そしてその動機とは・・・。

ハードボイルドですねー。
追い、追われ、殺し、殺され・・・(殺され?^^;)
展開は結構早いですね。ただ大沢作品で時々思うのは、「こいつは○○だ」とかってのに、物的証拠つーかそういうのはいらんのですな(笑
状況証拠のみで確信を得てしまう・・・。ま、推理小説じゃないんで、良いんですけど。
そのおかげで展開も早いってのもあるかもしれないし。
読みやすいです。
するっと読めます。


読了:2005.10.XX
レビュー:2005.10.30

北の狩人 上・下 / 大沢在昌  (幻冬舎文庫)  

眠らない街、新宿。
新宿の街で男を引っ掛け、ぼったくりバーへ連れて行くバイトをしている女子高生杏がその日引っ掛けたのは、北の国からやってきた謎の男だった。方言丸出しの田舎臭いその男は、純粋な澄んだ目をしていて、無意識の内に杏は惹かれる。
男・・・雪人は歌舞伎町で十年以上も前に消えた暴力団のことを嗅ぎ回っていた。
12年前に起こった警官殺し、秋田での殺人事件と新宿の暴力団とのつながりとは・・・。

何かねえ・・・終わり方はさわやかってわけじゃないんですけど。
雪人の人柄かなあ・・・妙にねえ、さわやかな印象なんですよ、これ。
朴訥とした人柄でねえ・・・いいなあ(笑
ちょっと他の大沢さんのキャラと違う感じですね。もろ硬派って感じでそのくせ可愛い、みたいな。
面白いです。


読了:2005.9.25
レビュー:2005.10.4

砂の狩人 上・下 / 大沢在昌  (幻冬舎文庫)  

数年前にある事件を起こして刑事を辞め、千葉の港町でひっそりと暮らしていた西野の元に、警察のキャリア時岡と旧知である新井が訪れた。
暴力団組長の子供ばかりを狙った猟奇殺人事件が発生しており、このままでは犯人を捜して血眼になった暴力団によって、新宿を中心に血の雨が吹き荒れる・・・。
犯人は警察関係者ではないかと推察し、極秘に捜査を行うために『狂犬』西野は再び新宿の街へ解き放たれた。
暴力団と警察、中国人と公安そして海外から呼び寄せられたプロの殺人集団が入り乱れ、謎が謎を呼ぶハードボイルド小説。

面白かったです。
目が離せなくなるんですよね。スピード感があるから。
展開や犯人が読めないから、どうなるのかと先が気になって仕方ないです。
大沢氏は頭良いんですね・・・。
結末は結構悲劇的かもしれない・・・あと何か・・・時岡がな・・・何かな・・・。
ちょっと展開に、うまく言えないけど不満なものはなきにしもあらずかな・・・。
でも面白いです、かなり。



読了:2005.6.1
レビュー:2005.6.1

闇先案内人 / 大沢在昌  (文春文庫)   第20回日本冒険小説協会大賞受賞

やばい事情を背負った「客」を逃がす「逃がし屋」。
関東でナンバー1と言われる「逃がし屋チーム」を率いる葛原の元に突然舞い込んだ依頼は、よりによって商売敵とも言える警察庁幹部からのものだった。
「ある国から極秘に入国した重要人物の行方をつきとめ、極秘裏に逃がせ」。
断れば葛原のチームは命を狙われ、葛原は殺人犯として捕らえられることになる。
チームのメンバーを守るため、そして自身の「譲れないもの」の為に葛原は依頼を受けることに。
入手した情報を辿り、大阪へ向かう葛原だが、「重要人物」には関西ナンバーワンと言われる逃がし屋がついていることがわかった。
そして複雑に絡む工作員、在団特務、ヤクザそして警察・・・。
事態の裏側にある本当の目的とは・・・。

面白かった!
これ、映画化しないかなあ。映画化したらかなり面白そうなんだけどなあ・・・。
カーチェイスあり、銃撃戦あり、頭脳戦あり情報戦ありで、複雑でアクションで面白いです。
読み進めば進むほどハマる。
ま、ちょっとアタマ弱いので、国際政治とか組織とか絡んでくるあたり、こんがらがっちゃってわけわかんない部分あったんだけど・・・しくしく。
これは大沢氏が悪いのではなく、間違いなくわたしの頭が悪いのです・・・。
改めてゆっくり読めばもう少しわかるかな・・・。
オススメです。

「一流の仕事には、何も残らない」
                         (河内山)