十二国記 / 小野不由美 (講談社文庫)

わたしは本を読むのが好きなんですが、ここ近年で一番どっぷりハマったのがコレ、小野不由美さん著『十二国記シリーズ』。
テレビでもやってるみたいなので(わたしは見たことないんですが)、知ってる人も多いかもしれませんね。
出会いは、たまたま友達が「これ最近読んでるんだけど、面白いよ〜」と何気なく言って、「ふぅん」なんつって手にとって・・・と言う、あまりと言えばあまりに他愛のないものだったのですが。
最初の2冊を買ったその週には、今出ている全巻を取り揃え、1度読んだだけでは飽き足らず、1クール後に再度1巻に戻ってもう1周するというハマりっぷり。
買ってまだ1年ちょいしか経っていないと言うのに、もう何度も何度も読み返してしまいました。
ざっと紹介するので、ぜひぜひ読んで見てくださいね。



月の影 影の海 上

普通の女子高生の陽子の元へ、突然「ケイキ」と名乗る謎の青年が現れた。
ケイキの使役する妖魔に導かれ、月影の門をくぐって異世界へ連れてこられた陽子。
ケイキはなぜか妖魔に追われており、妖魔の襲撃を振り切る最中で陽子はケイキとはぐれてしまう。
陽子が手にしているものは、剣と不思議な玉だけ。
とりあえず人里へ降りた陽子だが、突然捕らえられてしまった。そして役人の元へ護送される途中に妖魔に襲われ、辛くも山の中へ逃げ込んだ陽子だが、食べるものもなく、人を信じることも出来ずに一人、山の中を彷徨う。
山の中には妖魔が徘徊しており、陽子は必死で戦い続けるが、遂に力尽きて・・・。

最初は泣き叫んでたりしてる陽子の成長っぷりが見ものです。



【月の影 影の海 下】

力尽きて倒れているところを、ネズミのような半獣楽俊に救われた陽子。
事情を察した楽俊は、雁国へ行けと言う。
楽俊を伴って、とりあえず雁国を目指す陽子だが、旅の鳥中、妖魔の襲撃に遭い楽俊と離れてしまう。
なんとか雁国へたどりついた陽子が漏らした言葉から、ケイキの正体が明らかになった。
同じ倭国―日本を故郷とする延王、延麒に目通りを願った陽子は、そこでこの一連の顛末を知ることとなる・・・。

果たしてケイキの正体とは。
そして陽子は一体何者なのか。
元の世界へ、戻る方法は見つかるのだろうか・・・。






風の海 迷宮の岸

十二国記の世界には、十二の国があり、十二の王とそれを支える十二の麒麟がいる。
生まれる前に『こちら』へ流されてきた泰麒は『あちら』へ連れ戻される。
麒麟が生まれ育つ聖なる山、蓬山。
泰麒はたくさんの女仙に囲まれ、暮らし始めるが、やがて山にたくさんの人が訪れて・・・。

陽子とは違い、生まれながらに『麒麟』という人間ではない生物である泰麒を待ち受ける苦難と、それを乗り越える強さが緊張感を誘います。
これを読むと、麒麟のことや王選定の仕組みなどがだいぶ理解できるようになりますね。





東の海神 西の滄海

延麒六太が十八年前に出会った子供、更夜。ようやく緑になってきた雁国首都関弓に、更夜が訪れた。
だが、更夜の目的は・・・。
雁国に再び戦乱が訪れる・・・。六太の記憶は、尚隆と出会った倭国での戦乱の記憶と行き来する。

「月の影 影の海」で陽子を助けた雁国王尚隆と雁国麒麟六太の出会いと、そして雁が大国となる前のお話。
大国となってからでは計り知れない尚隆と六太の心情や混迷が描かれています。





風の万里 黎明の空


無事慶国の王座を取り戻し、戴冠式を済ませた陽子だが、右も左もわからない国でついこの前まで女子高生だった女王が国を治めるキビシサに直面。
王とは?民とは?
慶国女王陽子と、慶国国民の様々な思惑が交錯する。 陽子の強さを感じます。

海客としてこちらで流された鈴は、涙ながらにつらい日々を耐え忍んでいた。そこへ入った報、「慶国新王は、海客の女王だ」。
同じ年頃の海客の女王なら助けてくれるに違いない・・・。
一方芳では王が弑逆によって倒れた。その公主祥瓊は仙籍を剥奪され農村へ。そこで耳にした慶国若い女王の登極。
私が失った何もかもを手に入れた少女・・・許せない。
それぞれの思いを抱えた少女達が同じ目的で慶国へと向かう。
そしてそこで見た慶国の実態は・・・。





図南の翼

十二国のひとつ恭。王が倒れて十数年、国は妖魔が跋扈する地となっていた。
殊晶はまだ幼い少女ながら、その利発さゆえに王の資格を問うべく麒麟の元へと昇山する。
黄海に詳しい「朱氏」と呼ばれる頑丘を護衛に雇い、多くの昇山の者たちと、逢山へ旅する殊晶だが、考え方の違いに納得のいかない殊晶はついに頑丘の元を飛び出した。
進む道は朱氏たちさえ迂回する、強力な妖魔の縄張りの中・・・。
同じ道を旅する者たちが、一人、また一人と端から消えていく・・・。

妖魔の巣、黄海を卓越した知恵と勇気で乗り切っていくさまは脱帽です。
個人的には一番好きなお話。
「東の海神 西の滄海」で登場したある人物が出てきた時、ちょっと感動で胸が熱くなりました。






黄昏の岸 暁の天

長年の悲願、新王当極を果たした戴国。しかしその夢も長くは続かなかった。
命からがら慶国金波宮に駆け込んできた泰国将軍李斎から話を聞いた陽子。
行方不明の王と泰麒を救うべく、延王に助力を請い立ち上がるが、それは思いの外困難な事業で・・・。
次に紹介する「魔性の子」とあわせて読むと、物事の表裏が見えて面白いです。


            



魔性の子(外伝? 新潮文庫です)

行方不明になっていた泰麒は、元々『こちら』の生まれ。
危機に際して、無意識に『こちら』へと戻ってきてしまっていた。
しかし、麒麟として妖魔を従えていた彼は・・・。
他の十二国記シリーズと違って、『こちら』の世界で物語が展開していきます。

教育実習のため母校へやってきた広瀬。
だが受け持ったクラスで奇妙な事件が次々と起こる。
耳にした噂は・・・−高里は祟る・・・。
しかし、広瀬は周囲に馴染めない高里に共感を覚え・・・。


            



華胥の幽夢

本編では描かれなかった、様々な国の様々な歴史。 「図南の翼」で登場する宗国の風来坊が、再度登場。 短編集です。

泰麒が漣を訪問した際の話「冬栄」、峯王を討った月渓の思慕と悲しみを描く「乗月」、陽子と楽俊のほっと息をつくひと時「書簡」、沈みゆく才国の官吏達に視点を当てた「華胥」、奏国の風来坊利広と某国の風来坊(笑)の邂逅を綴った「帰山」の5話を収録。


一覧に戻る
十二国記好きへの100の質問
読了:2004.6以前
レビュー:2004.7.13