読了:2005.4.1
レビュー:2005.4.1
傀儡后 / 牧野修 (ハヤカワJA文庫)        第23回SF大賞受賞作品(だったかな^^;)

20年前の隕石衝突で大阪付近は危険地域に指定された。
そして今、若者たちの間では、『ケーター』と呼ばれるコミュニケーション方法が流行していた。
骨から伝わる振動でネットを通じて意思を通じ合い、奥歯で操作をする。
『コミュ』と呼ばれる彼らはナマ声では会話をしない。
それら『コミュ』を狩る『デス・メル』、そして蔓延しているドラッグ『ネイキッド・スキン』、行方不明になっていく人々・・・。
不思議な世界で起こる謎、そして意識の変容・・・人々はどこへ行こうとしているのか・・・?

・・・とか偉そうに書いてみたものの、実はほとんど読んでません(爆)
やー・・・最初はねえ・・・世界観飲み込むのはなかなか難しかったものの、結構面白そうで、ややもするとどっぷりハマるかもとか思ったんだけど・・・。
まず「コミュ」に馴染めんッ!!
って別に馴染む必要もないんだけどさ。
ナマ声と「コミュ」は「」か『』かで区別されてるだけだから、気にしなきゃ大して読みにくくもないんですけど。
ただこの「コミュ」であるってのはストーリー的に結構重要なのかなと思い、したら意識しちゃって、んでもって意識しちゃうと「ナマ声でしゃべれッナマ声でえええッ」ってな気分になってきちゃったり・・・ま、いいんですけどね、それは。
それより何より「あ、もう読み進められない」と思ったのは・・・そのぅ・・・や●いの匂いが・・・ちょっと・・・。
男×男っていうシーンが既に2箇所くらいあって・・・どうしても生理的にイヤだというか・・・想像したくないのに想像しちゃって気持ち悪くなるっていうか・・・。
そんなこんなで挫折しました。
しかも第1章で。
んでも、世界観とかストーリー的には納得しちゃえば面白いんじゃないかなあ、とか思ったり。
そんなこんなで好き嫌いじゃないかと思ったりします、単純に。


読了:2004.6以前
レビュー:2005.3.10
そして誰もいなくなった / アガサ・クリスティ  清水俊二訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 

招待を受けてオーエンなる人物からインディアン島へ呼び寄せられた年齢も性別も正確もまちまちの10人。
ところが島へ到着してみると、招待者のはずのオーエン氏は姿を現さなかった。
代わりに、召使に下されていた指示によってかけられたレコードから恐ろしい言葉を聞かされる。
助けを求められない絶海の孤島で、姿の見えない殺戮者によって、マザー・グース「10人のインディアン」になぞらえた殺人が次々と起こる・・・!!
犯人は10人の中にいるのか?いるとすればそれは誰なのか。そしてその目的は・・・?


あまりと言えば、あまりに有名な作品。そして誰もが知っているミステリの女王アガサ・クリスティ。
初めて読んだのは、あまりに昔でいつのことだか忘れてしまいましたが、とりあえずミステリを読んでそのトリックに感動さえしたのはこの本が初めてです。
元々翻訳モノが好きではない上に(だってそもそもの言語が違うんだもの。ムリがあるとは思わない?やっぱり。言い回しとか不自然だし・・・芝居がかって見えるし・・・)、横文字の名前は覚えられないので、海外ミステリは滅多に読まないので、わたしにしてみると異色ですが(笑)
やっぱり、面白いです。



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読了:2005.3.1
レビュー:2005.3.1
閉鎖病棟 / 帚木蓬生 (新潮文庫) 

家族にさえ疎まれ、社会から弾き出された精神科患者たちの暮らす精神病院。
それぞれの症状を抱えながら、閉鎖病棟の患者達は仲間内で支えあいながら生きている。
入院仲間の昭八ちゃんや秀正さん、敬吾ちゃん、そして不登校の為病院に通っている外来患者の島崎さんは、チュウさんにとって大切な仲間だ。演芸会を行ったり、俳句を書いたり、散歩に出たり、穏やかな日々を送っていたが・・・。
病院内で起きたある殺人事件。その事件の裏側にあったものを知っている者たちにとって、その事件はあらゆる意味で大きな転機となった・・・。
自分の罪を見つめる者、これからの未来を掴んで歩き出す者・・・。
自分の生き方を見つめ、他人の生き方を見つめ、そしてそっと手を伸ばす優しさ。
現役精神科医が描く、ヒューマン・ドラマ。

これはねえ、まず背表紙のあらすじ読んで、殺人事件が結構メインに来るのかと思いました。
つーか、まあ殺人事件が話の中に起これば、普通はメインに来るでしょ?
けどこのお話の中では、あくまで殺人事件は出来事のひとつで、事件そのものよりも重要なのはなぜ事件が起こったのか、そしてそれによって何が変わっていったのかとか・・・そういうことかな。
何となく予想していたのとは全然違う内容で、とにかく淡々と描かれているので(あと視点となる人物が突然変わったりするので)、なかなか入り込むことは出来なかったのですが、重いです。
何だろう・・・うまく言えないのですが、何か胸の中にずしっと来るものがあるような気がします。
これは、後々まで何度も繰り返して読んでみると、その度に見える何かがあるような味わい深い作品であるのではないか、と思ったり。
そんな感じです。

読了:2004.6以前
レビュー:2005.2.20
パラサイト・イヴ / 瀬名秀明 (角川ホラー文庫) 

いつもどおり大学の薬学部へ出勤した永島の元に一本の電話が届いた。
妻の聖美が交通事故に遭ったという。
慌てて病院へ駆けつけた永島に告げられたのは、妻聖美の脳死だった。
体は生きているのに、既に死んでいる・・・まだ結婚して2年しか経っていないのに、愛する妻聖美の笑顔は永遠に失われてしまったのだ・・・。
そんな永島の心に希望の灯を灯したのは、聖美がドナー登録をしていたということだった。
ドナー・・・聖美はまだ、「すべて」死んだわけではない・・・。
腎臓を提供する代わりに、聖美の肝臓を取り出した永島は・・・。

瀬名さんって「バケモノ」系好きですよねえ・・・。
わたしはオチにバケモノ出てくると結構引いてしまうので冷静に読んでしまうタチなんですが(リングなんかもそーだった)。
とりあえず言えるのは・・・この本、難しいです!!
医学的な要素が多すぎて、正直何かいてあるのか全然わからずに読み飛ばすこともしばしば・・・。
きちんと読んで理解できる人はもっと面白く読めるのでしょう。
確か真田広之さんと葉月理緒菜(こんな字だっけ?)さんが主演で映画化もしてるので、そっちの方がわかりやすいのかも。
観てないけど。



読了:2004.6以前
レビュー:2005.2.19
ふたりめの蘭子 / さかいともこ (白泉社 花丸ノベルズ) 

全てはのり巻きが始まりだった・・・。
突然のり巻きが食べたくなった高岡卓は、買い物に行った帰りに偶然クラスメートの自殺現場に出くわしてしまう。
川に飛び降りる和宮蘭子を助けるべく飛び込んだ高岡だが、巻き込まれてしまい・・・。
目が覚めるとそこは病院だった。
見知らぬ夫婦、なぜかその場にいるクラスメートの水野俊。
そして・・・。
なぜか「蘭子」と呼びかけてくる。
17年間高岡卓として健全な男子高生をやってきたのに、突然和宮蘭子になってしまった・・・!?

これは中学くらいの時に読んだのかなー。
念のために言っておきますが、絵に惹かれたんです。
挿絵が、めっちゃ可愛かったんです。
・・・って何を言い訳しているのかというと。
「そのスジ」のお話が好きな人なら面白いかもしれない。
いや、却って物足りないかもしれない。
・・・うーん、つまりその・・・微妙にヤ○イもの入ってるといいますか・・・。
見た目だけ考えれば正常なんだけどね^^;
つまりそーいうことです。
ちなみにわたしは、同性愛モノというのは非常に苦手です。
そういう嗜好の人を否定はしないが、何も敢えて本やら何やらで見るほど好きではありません、というか、好きではないです。
でもまあ、面白くなくはないかな、これは。
なんてったって、絵が可愛い(笑)
ちなみに、ストーリー性自体はそんなにないかも・・・。


読了:2005.2.4
レビュー:2005.2.5
リカ / 五十嵐貴久 (幻冬舎文庫)  第2回ホラーサスペンス大賞受賞作品

愛する妻と娘を持つごく普通のサラリーマン本間。
だが平穏すぎる生活に刺激を求め、大学時代の後輩の勧めるままに出会い系サイトを始めてしまう。
その中で出会った女性リカ。
印象では「会うならこの人だ」とまで心に決めた本間は、順調にメール交際を進め、ついにリカと会う段取りをつけた。
手始めに携帯電話の番号を教えると、かかってきたリカの声はあまりに可愛らしく、すっかりリカにハマる本間。
だが、それが恐怖へのスタートだったのだ。
・・・この女、どっかおかしいんじゃないか・・・?
繰り返し鳴り続ける携帯電話の呼び出し音。
決めてもいない待ち合わせ場所。
話してもいない会話について語られるメール・・・。
この女は、キケンだ。
しかし、本間がそう気が付いた時には、全ては遅かったのだ・・・。

ストーカーものです。
常軌を逸したリカの行動は怖い・・・。というか、オチが怖〜〜〜〜〜い。
どんでん返しどんでん返しの展開に、畳み掛けられるようにぞく〜〜〜っとします。
吐き気を覚えるような描写はあんまりなかったなあ・・・。
でも怖かった。
ただ、出会い系サイトで浮気相手を探すような男をそもそも軽蔑してるので、「ザマ〜ミロ」的な感が少し・・・(苦笑)。
「自分で蒔いたタネだろッ」みたいな・・・。
実際、まあこれは極端な例にしても、あってもおかしくないですよね。
世の中の男性に読んでもらって教訓及び反省にしてほしいですね(笑)



読了:2005.2.2
レビュー:2005.2.2
砂の器 / 松本清張 (新潮文庫)

蒲田駅操車場で、他殺死体が発見された。
鈍器でめちゃくちゃに顔を潰され、あげくに電車が走り出したら顔が吹き飛ぶように置かれていた死体。
身元は不明なままだったが、男の服装から前日蒲田駅近くのバーで飲んでいた男だと判明した。
当時バーにいた店員及び客の証言から、男は30前後くらいの男と2人で来ていたと言う。
東北訛りの言葉、そして会話の間から聞こえた「カメダ」という言葉だけを手がかりに警察は捜査を開始。
被害者と共にバーにいたという男が果たして犯人なのか?被害者の身元は?
警視庁の老練の刑事今西が、所轄所の若い刑事吉村と共に奔走する・・・。


「踊る大捜査線」に影響されて読みました^^;
んでも、「踊る・・・」で得た知識は全て放棄して読まないとダメですね。惑わされるだけです。
「本格推理小説」って書いてあったけど、それはどうだろう・・・?
だって推理しようにも手持ちの札が少ないよ・・・これは推理小説じゃなくて、やっぱし刑事モノです、どう考えても。
こっちから見ていると容疑者となる人物が少なすぎるし、トリックっていうものが特に仕掛けられているわけでもないので。
「押売りの撃退法」がわかっちゃうと、犯人一発でわかっちゃうし・・・(笑)
わたしはそのテの知識は仕事柄多少あったので、即効わかってしまいました・・・。
ただ、あちこちで散らばった糸がどうつながるのかは、ちょっとわかりませんでしたけどね。
時代背景も、もちろん全然違うので(だって昭和48年だ・・・生まれてないし・・・)その辺も重要ポイントですね。
事件に戦災が絡むなんて想像がつかない・・・。
そういう意味で、難しい本ではありました(現代の本が、過去をリアルに知らない人が読む前提で昔の時代背景で書かれているのとは違って、時代に即して書かれているので、こちらがさっぱりわからない、想像が難しいようなことがアタリマエに書かれていたりする。当然だが)。
「面白い!」というのとはちょっと違うけれど、興味深い読み物として読ませていただきました。
もう1冊くらい、読んでみたいような気もします、松本清張さん。