全国牌将位決定戦


 4月8日、9日、第23回 全国牌将位戦決勝大会が麻雀サロン「シルバー」にて行われた。
 今年度の開催地は横浜、開催地枠を含めて予選1位、田中靖久、2位、八木忠雄、開催地枠代表の古川茂盛の3選手が出場した。今年度は人数調整のためゲスト枠が特別に設けられ、プロ経験もある女性代表として一ノ瀬萌選手が紅一点での出場となった。
 横浜からはここ10年優勝者が出ていない事もあり、3名の代表には例年以上の意気込みがあった。しかし、現在の牌将位である大阪の駒井康夫選手はここまで2連覇しており、今大会には3連覇の期待がかかっていて簡単には負けられない。もちろん他の地区代表も栄冠を手にするため代表となり出場しているので甘くはない。
 決勝大会は全10回戦、初日は6回戦まで行われ、二日目の2回戦で決勝進出の4名と順位決定戦の卓組を決める。決勝卓、順位決定戦卓となる9、10回戦は共に同卓2回戦となるので、全選手、最後まで気の抜けない戦いとなった。
 決勝に勝ち上がったのは大会初日、2日目と抜群の安定度を見せ、8回戦まで唯一のオールプラスの畑田定昭選手(大阪)がトータル1位。2位には田中靖久選手(横浜)。3位には前日からの順位をキープした楠 俊通選手(東京)。4位には、牧 秀樹選手(京都)の4名。
 決勝(9回戦)起家から田中靖久選手61.2P、牧 秀樹選手36.7P、楠 俊通選手43.5P、畑田定昭選手86.8Pの並び。1位の畑田定昭選手と4位の牧 秀樹選手までのポイント差は50P、同卓での2回戦で3位 楠 俊通選手、4位 牧 秀樹選手は自ら2連勝し、確実に畑田定昭選手、田中靖久選手を沈められるかがカギとなった。
(以下敬称略)



 決勝(9回戦)東1、2局は起家の田中、畑田、楠が好発進。逆に4位の牧は連続失点で苦しい出だしとなった。東3局、出遅れていた牧が楠からアガリ、親番を迎えた楠が田中とのリーチ合戦に打ち負け今度は楠が連続失点。先手を取りたかった楠、牧両名が出遅れてしまい打撃戦の展開ながら静観を決め込む畑田を捕えることは出来ない。
 南2局、田中、牧、楠に3者3様のチャンス手が入る。

決勝(九回戦) ドラ
田中  (ダマ)
  
 (リーチ)
(楠は高目3色の3面張、田中、牧はドラが対子)


 このぶつかり合いは親番牧が制す。見事を引き寄せ4,000オール+1,000。このアガリで牧は原点近くに戻し、畑田にやっと一太刀浴びせた形となった。1本場は流局、ノーテン罰符とはいえ畑田は連続失点。しかし8回戦までオールプラスの安定感を見せてきた畑田は焦りを見せない。反撃のきっかけを掴みたい楠がリーチに出ると、すかさず捌きに出てリーチ棒を加えて5,500。連続失点をすぐさま回復し次局も役牌暗刻を生かして局を進めて親を迎える。
 南4局、次戦を見据えた牧、楠が共にリーチ。親の畑田は慎重にオリ、ダブ南を叩いて捌きに出ていた田中が捕まり3,900の放銃。3,900までならトップに残り、自ら引き勝てば最終10回戦がグッと楽になると考えて前に出たのだろう。これが思惑通りとなりトップ田中で9回戦を終えた。
1位 田中 15.6P、2位 畑田 6.6P、3位 牧 △4.3P、4位 楠 △17.9P



 決勝(10回戦、最終戦)
 東1局、親、楠のスタートは流局。辛うじて親番を維持した楠だったが、続く1本場は手が入らない。逆に他3人がテンパイから捲り合いとなった。

決勝(最終戦) ドラ
畑田 (リーチ)
  
田中
をヤミテンからツモで待ちとしてリーチ

 この捲り合いを制したのは畑田、牧から安目のを出アガリ2,600+300に1,000。畑田の勢いは衰えを見せない。
 親番となった畑田が仕掛けて追加点を試みると、このままでは終われない楠、牧の二人から続けてリーチが入る。ここは前局失点した牧が意地を見せ、海底でvを引き3,000、6,000+1,000。

 ツモ ドラ

 このアガリで親被りした畑田がラス目に落ちると次局、親を迎えた田中にチャンスが訪れる。

 ドラ

 この手をリーチに出ると高目は山に浅く4,000オール。一気に畑田を突き放す。1本場、畑田との並びが理想となった田中は手が重いと見るや慎重にオリると、牧が仕掛けて田中の親を落した。東4局、流局を挟んで1本場、3人にこれといった手が入らない中、テンパイから手変わりを待っていた牧が安目をツモ。大トップが条件で親番ともなればチャンスを生かしたいとばかりにフリテンリーチに出た。

 切りリーチ ドラ


 これを見事にを引き寄せ6,100オール。がしかし次局、ドラの対子はあるがやや苦しい手牌に仕掛けでアガリを見いだそうとする。終盤やっとのテンパイから海底にhを投げると楠から声がかかり8,600と手痛い失点。
 南1局、ここでラスを引けば全てが水の泡となる畑田がダブのシャンポンでリーチに出ると、親を維持したい楠から高目のが投げられ8,000を出アガリ再び浮上してくる。迎えた親番で安全圏まで戻したい畑田だったが、4巡目に田中のリーチ。手が重く捌くことも出来ない畑田は田中の手が安いことを願うが、結果は2,000、4,000。またも親被りをさせられてしまう。田中の親でアガリ返しておきたい畑田は渾身の力を込めてテンパイからリーチに出るが、

 ドラ

 この待ちは既に田中、楠の手に収まっており山には1枚も残っていなかった。
 この後、畑田の待ちを対子使いにしたメンホンチートイツを楠がツモアガリ3,000+6,000+1,000。再び畑田がラス目に落ちてしまう。
 最終局、この親番でアガリ続けるしかない牧の手は重くテンパイまでが精一杯、畑田もテンパイしもう一度ラス抜けして田中との点差を埋めればまだ・・・
 1本場、田中はそんな畑田を見ながら慎重に牌を選ぶ。連チャンさせないため、牧にさえ甘い牌を打たないように。最後は牧から手が開かれることなく流局。
 初日から驚異の9連対を見せていた畑田を最後の最後で捕えた田中が、開催地となった横浜に10年振りに牌将位の栄冠をもたらした。
 来年度の開催地は北海道、若き牌将位が再び横浜に牌将位の栄冠を持ち帰ることが出来るのか? 期待したい。

全員の集合写真

 文責 下村裕樹


牌将位決定戦成績

番号 氏 名 地区 一回戦 二回戦 三回戦 四回戦 五回戦 六回戦 七回戦 八回戦 小 計 九回戦 十回戦 合 計 順位
4 田中 靖久 神奈川 △ 20.5 15.4 25.6 5.5 △ 10.1 △ 7.6 24.2 28.7 61.2 15.6 5.4 82.2 1
3 畑田 定昭 大阪 6.3 8.5 16.9 12.4 0.8 13.2 7.8 20.9 86.8 6.6 △ 26.7 66.7 2
11 牧  秀樹 京都 △ 17.1 26.3 16.9 △ 33.8 6.6 5.8 32.3 △ 0.3 36.7 △ 4.3 27.6 60.0 3
8 楠  俊通 東京 △ 7.7 4.2 △ 16.1 33.6 30.3 △ 10.4 3.3 6.3 43.5 △ 17.9 △ 7.3 18.3 4


番号 氏 名 地区 一回戦 二回戦 三回戦 四回戦 五回戦 六回戦 七回戦 八回戦 小 計 九回戦 十回戦 合 計 順位
6 古川 茂盛 神奈川 △ 5.3 25.7 △ 1.4 16.3 22.7 △ 19.1 △ 22.8 △ 4.2 11.9 21.6 19.4 52.9 5
2 下元 年世 大阪 20.7 △ 31.4 38.6 △ 33.4 △ 10.7 36.5 22.8 △ 29.9 13.2 32.8 △ 28.7 17.3 6
5 八木 忠雄 神奈川 4.1 △ 14.0 4.4 △ 17.0 △ 20.4 8.2 △ 8.4 12.5 △ 30.6 △ 12.9 10.3 △ 33.2 7
1 駒井 康夫 牌将位 15.9 △ 20.4 △ 16.2 33.2 △ 4.7 17.5 △ 31.7 12.6 6.2 △ 41.5 △ 1.0 △ 36.3 8


番号 氏 名 地区 一回戦 二回戦 三回戦 四回戦 五回戦 六回戦 七回戦 八回戦 小 計 九回戦 十回戦 合 計 順位
9 穴澤 晃一 東京 18.4 △ 11.3 △ 5.1 △ 4.8 △ 25.3 25.1 △ 9.4 △ 22.4 △ 34.8 19.6 △ 20.4 △ 35.6 9
7 神田  剛 北海道 6.8 △ 36.6 △ 9.5 18.0 28.7 △ 5.8 △ 7.8 △ 33.1 △ 39.3 △ 2.0 △ 6.2 △ 47.5 10
12 一ノ瀬 萌 神奈川 △ 19.4 42.1 △ 27.7 △ 17.8 △ 24.6 △ 43.9 △ 18.1 20.3 △ 89.1 11.1 22.9 △ 55.1 11
10 藤田 克之 宮城 △ 2.2 △ 9.5 △ 38.4 △ 12.2 6.7 △ 20.5 6.8 △ 12.4 △ 81.7 △ 28.7 3.7 △ 106.7 12




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