の外で綺麗な金髪をかき上げているのは、リンダさん。
「お前が死んでればよかったのにな。ああ、結局、私は最後まで脇役か。」
後部座席で毒づくのは、サングラスのジャックさん。
「まぁまぁ。皆、こうやって笑っていられるんだから、万歳でいいでしょう?」
助手席でころころと笑っているのは、フォーラさん。
潰れていた右目はぱっちり開き、輝く黒髪は綺麗なロングになっています。
「そうよね。」
と、笑顔のコロンさん。
「レイピアさんが、ミクリッツシティーで待ってるわ。彼女は今、そこで医院を開いてるの。
フェアレちゃん、あなたに仕事を手伝ってもらいたいんだって。
お望みなら、あなたの強化人間手術も解除してくれるんだってよ?」
「は、はい!喜んで!」
私は、リンの手を引いて、車に飛び込みました。
「みんな…みんな…、本当に…!
無事で嬉しいです。また会えて、本当に良かったです!」
「やめてよ〜。照れくさいじゃない。」
照れ笑いのコロンさんに、私は抱きつきました。
暖かい。
私がずっと遭いたかった暖かさが、やっと、私の所に戻ってきました。
レイヴンたちの戦いで、たくさんの人が傷つき、死んでいきました。長かった戦いは終わり、今、人々が待ち望んだ平和が訪れています。
コロンさんとフォーラさんは、レイピアさんの医院でお手伝いを、
リンダさんとジャックさんは、ミクリッツシティーの自警団を、
チューマーとノデュールさんは、世界の各地を旅し、その土地の復興に力を貸しているんだそうです。
車は走りだしました。
地平線の彼方へ。
ふと、私は振り返りました。
私たちが後にした店の横に、一人の女の人が立っています。
その人は、私たちに微笑み、小さく手を振っています。
車は走り、その人はあっという間に小さくなり、霞んでいきました。
でも、私には、その人が誰か、わかりました。
私と同じように成長した、フェアリ。
本当なのか、幻なのか、それはわかりません。
でも、私は、フェアリは生きているのだと、信じたいのです。
ありがとう、レイヴンたち。
Fin.
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