「”見ろ、チューマー。レイピアの言うことは本当らしい。敵兵に、生身の人間はいないのかもしれん。”
ジャックは、人形にバズーカを向けたままつぶやいた。
”…いや、いるのだろう…最深部にな。
最深部で人形を操っている奴らを止めない限り、何度でも復活してくるぞ。”
”ACは代えが利くが、生身のレイヴンは代えが利かんからな…。遠隔操作の人形に戦わせるとは、考えやがった。”
”しかも、人形の操り手には、それなりの腕のあるレイヴンを使っているとみえる。以前戦ったことのあるACもいたが、あれは、ACだけじゃない。操っているやつも、間違いなく、本人だ。”
”…苦戦も考えねばならんな。”
その時だ。
飛来した一発の青白いエネルギー弾が、倒れた”サバーン”を撃ち砕いた。
閃光の中に、一瞬で消滅する人形。
”!”
仰ぎ見れば、そこには、ヤツがいた。
AC、”ネモリーノ”!
構えた高出力エネルギーライフルが、暗闇にギラ、と光る。
”くそっ、埋まったはずだが…復活が早い!?”
”代えのACは、そう何台もあるわけではなかろうが…!”
叫ぶや、ジャックはビル上の”ネモリーノ”に躍りかかった。
”ドゥルカマーラ”は迫り来るエネルギー弾をギリギリでかわしつつ、OBで一気に距離をつめ、至近距離からバズーカを発射した。”ネモリーノ”はコアへの直撃は避けたものの、頭部を吹き飛ばされ、大きくよろめいた。
”くたばれッ!”
”ドゥルカマーラ”は更に接近し、インサイドハッチを展開した。
しかし、それを待っていたかのように、”ネモリーノ”のブレードが突き出された。
”なに…!?”
発射寸前のインサイド吸着地雷が、”ドゥルカマーラ”の体内で爆発した。上半身を紅蓮の炎に包まれ、落下する”ドゥルカマーラ”に、更に追い討ちのエネルギー弾が続けて命中した。
”ジャック!!”
AC”ドゥルカマーラ”は爆発した。
コアを中心に木っ端微塵となった”ドゥルカマーラ”の残骸が、俺のACの足元に転がった。
焼け爛れたクレストのエンブレムが痛々しい。
首のない”ネモリーノ”は、ビルの上から俺を見下ろした。
”アトハ…アナタ、ダケ…。”
”ネモリーノ”から声が聞こえる。喋れるのか。
”貴様ッ、ヴァーテブラか?”
”ソウダ…。ナゼ、シッテイル…?”
”知らないわけはない!質問はこっちだ。何故敵対する!コロンは泣いていたぞ!”
”コロン…シラナイ…。”
”何だと…?”
”言イタイコトハ、ソレダケカ。モウイイ、死ネ。”
AC”ネモリーノ”はブレードを抜き放ち、ビル上から飛び降りた。ブレードの切っ先の狙う先は、勿論”メタスターシス”のコクピットだ。
俺はそれの腕をマシンガンで払い、振り向きざま、ブレードを打ち込んだ。”ネモリーノ”のブレードがそれに呼応し、鎬を削る二本のブレードから来る干渉波が、互いのACを揺さぶる。
”ヴァーテブラ…。出来る男と聞いていたが、見損なったぞ!”
”俺ヲ倒シテカラ、モノヲ言エ。”
”ネモリーノ”のパワーは、俺の”メタスターシス”を上回っていた。奴のブレードは、徐々にこちら側に傾いてくる。
”ちぃッ!”
俺は形勢を立て直すため、ブレードを払い、後ろへ跳躍した。だが、それを見切ったように、”ネモリーノ”は間合いを離さず、そのエネルギーライフルの銃身で”メタスターシス”を地面に押し倒した。
”ジ・エンド。”
青白くブレードが光る。
俺は、死を覚悟した。
が、その、まさに突き立てられようとしたブレードが、止まった。
頭部をなくした”ネモリ
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