ではない。俺は素早く狙いをつけ、遠距離ではあったが、立ち上がった者達の脳天を次々に撃ち抜いた。パン、パン、と乾いた銃声が響く。ところが、彼らはすぐには倒れなかった。ふらふらと数歩歩いた後に、ガシャンという妙な音をたて、動かなくなった。
コロンは、右肩のアーマーを砕かれたものの無事だった。
よほど恐ろしかったのか、顔は真っ青で、肩で大きな息をしている。
『こ、この人たちも…、人間じゃ、ない。』
床に倒れているのは、六体の”人形”だった。
関節をあらぬ方向に曲げ、もう動かない人形たち。異様な空気が周囲を支配していた。
『とにかく、ここはおかしい。コロン、急ぐぞ。』
俺とコロンは廊下を壁伝いに進み、二階を目指した。
途中、数度の待ち伏せに合ったが、これもまた”人形”だった。
散らばり転がる人形を踏み越え、二階にたどり着くと、ジャックとリンダが反対側からやってくるのが見えた。西側ルートは、俺たちより熾烈だったらしい。ジャックは左肩口から血を流し、リンダは足を引きずりつつ、がたがたと震えていた。
『コロン、チューマー!』
リンダの目には涙が浮かんでいる。倒れても立ち上がってくる敵というものは、百戦錬磨の軍人を震え上がらせるに十分だった。
『ジャック、リンダ。生きていたか。』
『そうそう死ねんよ、チューマー…。コロンも無事のようだな。』
そして、俺たちは、目的と思われる部屋の前に立った。
戸に開けられた小さな窓から、薄明かりが漏れている。
中から、女の声がした。
『あなた達を、待っていました。さあ、お入りください。』」
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