でしょう!?心臓マッサージ、代わって!」
「な、なんで私が?」
「つべこべ言うなッ!!」
コロン君の迫力に押されるままに、リンダ君は、少年の冷たい小さな胸に両の手のひらを乗せた。
冷たい。
ぞっとするような冷たさ。
少女のころの、両親の死のおぼろげな記憶がよみがえる。
この冷たさは、自分たちがもたらしたもの。
リンダ君の背中を、どっと冷汗が流れた。
医師は、険しい顔のまま、モニターをにらみつけている。
そして、ふ、と顔を上げた。
「残念ながら、回復の見込みはありません。
ティム=クラビット君、7月15日、15時30分、死亡確認とさせていただきます。」
リンダ君は、こわばった表情のまま、その手を止めた。
少年の母親はわなわな震えながら、少年のその血まみれの体を抱きしめた。
「ティム…!目を開けて!ほら、自分で息しなさい!お母さんの言うことを、いつも聞いていたでしょ?
ティム…!」
母親は、その場に崩れ落ちた。
歯を食いしばったコロン君の頬を、一筋の涙が伝う。
「あの…ACのパイロットは…。」
リンダ君はおずおずと問うた。いつもの元気はない。
「…2階の病棟よ。元気だから、勝手に連れて行きなさい。」
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