決戦

その時、”ダークネススカイ”の右腕に一発のグレネード弾が命中し、巨大な爆光と共に”ダークネススカイ”の巨体が揺らぎました。
”アディーナ1号機”はその隙に着地、体勢を立て直します。

丘の上には太陽を背に、2機のACが立っていました。
一機はフォーラさんの”アディーナ2号機”、そしてもう一機はアルピニー准尉の”ジャンネッタ”です。
コロンさんを救ったグレネード弾は、”ジャンネッタ”のキャノンから発射されたものでした。
”アディーナ2号機”が丘を滑り降り、”アディーナ1号機”の傍に駆け寄りました。

『フォーラちゃん!来てくれたのね!?』

『コロン先輩…無事だったのですね?私…!』

『フォーラちゃん、細かい話は後。まずはこいつを何とかしなきゃ!』

『はい!』

感動の再会の挨拶もそこそこに、2機の”アディーナ”は”ダークネススカイ”に向かって駆け出しました。
二人に通信が入ります。”ジャンネッタ”のアルピニー准尉です。

『この化け物には、遠距離からのエネルギー兵器は通用しませんわ。よろしくって?』

『了解!』
コロンさんとフォーラさんは声を合わせて答えました。
しばらく離れていたとはいえ、寝食を共にした二人です。息はぴったりでした。

「来るのか?そうか。俺を殺すというのか。やれるものならな…。」
低い声で笑うチューマー。
”ダークネススカイ”が2機の”アディーナに向かって大きく両手を広げました。
雨霰と降り注ぐグレネード弾をすり抜け、2機の”アディーナ”は右と左から”ダークネススカイ”に接近します。
”ダークネススカイ”の両腕から、2本の巨大なブレードが展開しました。

「…死ね。」

チューマーは薄笑いを浮かべ、”ダークネススカイ”の2本のブレードを、それぞれ左右の”アディーナ”に振り下ろしました。

が、その時、1機のACが”ダークネススカイ”の正面に躍り出ました。
”ジャンネッタ”です。

「なに?」

チューマーの意識が、一瞬、正面の”ジャンネッタ”に集中しました。
”ダークネススカイ”のAIがそれに呼応し、両手のブレードの軌道を修正、2本のブレードはそのまま”ジャンネッタ”に振り下ろされました。

『お二人さん、後はお任せしましたわ。…』

アルピニー准尉のその通信を最後に、両腕と両前足を切断された”ジャンネッタ”は火を噴きながら落下していきました。
その間に、2機の”アディーナ”は”ダークネススカイの上に取り付いていました。

『いくわよ、フォーラちゃん!』

『はい、コロン先輩!』

2機の”アディーナ”はそれぞれのエネルギーライフルを、”ダークネススカイ”の頭頂部に突きつけました。
密接状態からの射撃では、”ダークネススカイ”のエネルギーシールドも無用の長物です。
2条のエネルギー光弾が”ダークネススカイ”を縦に貫きました。
”ダークネススカイ”の頭部が吹っ飛び、スパークします。
2機の”アディーナ”はジャンプし、地面に着地しました。

推力を失った”ダークネススカイ”は大音響と共に落下し、地響きを上げて爆発、四散しました。
爆光が、2機の”アディーナ”を照らします。

「…終わったのね?あ、フォーラちゃん!?」

”アディーナ2号機”が”ダークネススカイ”の残骸に向かって歩いていきます。
10/02/27 09:53更新 / YY

[2]前へ|[5]前編へ [6]続編へ
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50