方法はわかっていました。
「初めまして。私、フォーラです。よろしくお願いします…。」
フォーラさんはコクピットの中で、コンソールパネルに向かってそっとささやきました。
コンソールパネルの明かりが、まるでフォーラさんを歓迎するかのように、ぽっと灯りました。
「行きましょう、約束の場所へ。」
予備の”アディーナ”…いえ、これからは”アディーナ2号機”と呼ぶことにしましょう…は、小さな駆動音を上げ、月明かりの中をゆっくりと歩き出しました。
向かう先は、アルピニー准尉の待つ、ウェルファーマシティーの闘技場です。
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”アディーナ2号機”がウェルファーマシティーに入った頃から、急にあたりが暗くなってきました。
月が沈んだのです。
それまで瞬いていた星たちも、雲に隠れて霞んでいきます。
闘技場が見えてきました。
影で真っ黒に見える、ドーム状の施設。
昼間は様々な競技で賑わっているこの巨大な施設も、今はカーンと静まり返り、真っ暗な闇に包まれています。
その闘技場の裏手が、ぽっかりと開いています。
”アディーナ2号機”は、少し立ち止まったあと、その真っ暗な闘技場の中にゆっくりと足を踏み入れました。
…その闘技場の中央に、1機のACが鎮座していました。
黒い、四脚型のAC。
アルピニー准尉の”ジャンネッタ”です。
”アディーナ2号機”の通信機が低くうなり、ノイズ交じりの女の声が聞こえてきました。
『まさか、本当に来るとは思ってなかったわ。お馬鹿さん。』
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