10.『逃走戦』

※初めに
本作品は、アーマード・コアXを元にした二次創作作品です。
原作にはない設定、用語、単語が登場する他、筆者のフロム脳で独自解釈した世界観の見解が含まれます。


ARMORED CORE X
Spirit of Salvation


10.『逃走戦』


 開拓の港に朝が訪れた時、イグニスらはその町の郊外にある寂れた港にいた。
 当の昔に放棄されたここに、フィオナらが乗ってきた船があるというのだ。
 フィオナ曰く、街はその街を統制する“代表”の支配下にあり、“代表”は彼女らを狙っているという。
「―そうなると、ソイツらの目的はリュークと同じってことか?」
 ジュンの問いかけにフィオナは振り返らずコクリと頷いた。
「もしかしたら、カギとなる“エリーゼ・バーンズ”さんが、街に居るかもしれないので、私達も仲間に彼女を探すように頼んでおきました」
 “彼女らと合流して島へ出発です”とフィオナは続けて答え、手に球体の様なモノを持ったまま、辺りを見回している。
「ところで、フィオナちゃん。それって、もしかして…。あのACをコントロールしていた“セティア”か?」
 イグニスは、すかさずフィオナが持っていたソレに左手を触れ、
「そうですけど…って、ちょっと!?」
 目を閉じ、その球体の正体を見極めた。
「…なるほどな。そういうことか」
 目を開き、イグニスはその言葉にオドオドするフィオナを見る。
「機械と、肉体の融合―。それがあの島に隠されたモノの正体か」
「イグニス。貴方は、一体…」
 “訳ありの探索屋だ”とだけ告げ、イグニスは気配を感じその方を見た。
 視線の先、自分よりも若くフィオナよりは年上そうな風貌の、二人の少女が立っていた。
「フィオナ。貴方、関係ない人を連れてきましたのね」
 イグニスらを見るなり、その背の小さい、薄青色の髪をした少女は銃を向けた。
「言ったはずよ。関係ない人は巻き込むな、って」
 その隣褐色の髪をした勝ち気な顔をした少女も同じく銃を向ける。
「おいおい、ぶっそうじゃねぇか」
 それに答えるかのように、ジュンとレオナも銃を構えた。
「ノルン、ティオ、やめて!この人達は、リュークの関係者です!」
 慌てて両手を上げフィオナは二人へ自制を促す。イグニスも同様に二人へ視線を送る。
 すると、ジュンが“任せる”と目で返してきた。
 交渉は、自分がしろ、ということだろうか。意を決し、イグニスは二人へ語りかける。
「俺の名は、イグニス。俺達は彼女の言う通り、リュークの関係者だ。正確には、俺達もリュークを探している。協力してほしい」
「貴方達を信じられる物的な証拠はある?」
 褐色の髪の少女―ティオは銃口をイグニスへ向けながら、言葉を返した。
「…“魂の電子化”。“Δシステム”。””エリーゼ・バーンズ”。君達も探しているんじゃないのか?」
 イグニスの言葉に青髪の少女―ノルンの顔が歪む。“なぜそれを知っているの?”と。
「俺の頭の中にどういうわけか、それに関係した機械が埋め込まれている。どうしてこうなったのか俺にも分からない」
 ゆっくりと右手で自分の後頭部を指差しながら、イグニスは言葉を続けた。
「だからこそ、俺は知りたいんだ。この一連の技術が何を齎すものなのか。どうして人を狂わせるのかを!」
 イグニスが叫んだ後、しばしの沈黙が辺りを包んだ。
 緊迫した重い空気が流れた後、
「…分かりました。信じましょう、あなたを」
 口を開いたノルンは、ゆっくりと構えていた銃を下ろした。
「ノルン、いいの?」
 ティオも“いいの”と答えるノルンに
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