※初めに
本作品は、アーマード・コアXを元にした二次創作作品です。
原作にはない設定、用語、単語が登場する他、筆者のフロム脳で独自解釈した世界観の見解が含まれます。
ARMORED CORE X
Spirit of Salvation
9.『混迷の港』
とにかく走った―
エリーゼは、街の入り口まで来て、背後から聞こえた轟音にふと振り返った…。
街から見て、丘の向こう、立ち上る小さな黒いきのこ雲。
正面にあったゲートがけたたましいサイレンと共に開き、中から一斉に戦闘兵器の集団が飛びだして行った。恐らく街を警備する者達だ。
“リューク―、いや、『彼女』は、無事かしら…?”と、ふとエリーゼは思った。
そして、ふと脳裏に分かれる直前の、彼女の言葉を思い出す。
『今はワタシを信じて行けッ!ワタシも必ず行くからな!!』
そう、彼女は勇ましく力強く言った。そして、自分もそれを信じた。
エリーゼは、まるで当たり前のように開いていたゲートから中へと入った。
周りは、何事かと騒々しく兵士達やこの街の市民らしき人々が騒いでいる。
その中を、彼女はまるでその街の住人であったかのように、自然に人混みへと溶け込んでいった。
大型ローダー車は、その荷台へ破損した謎の機体を乗せ、一路目的地である“開拓の港”へ向かおうとしていた。
野良ミグラントに襲われ、大破された機体に搭乗していた少女は、自らを“フィオナ・ベルダンディ”と名乗り、イグニスらに礼を告げると皆へ“陽だまりの街へ行きたい”と告げた。
休憩室に案内されたフィオナは、レオナが出した飲み物と食べ物を一心不乱に飛び付いた。
「え〜と、つまり…?フィオナちゃんは、“陽だまりの街”へ向かっていたわけだな?」
ジュンは、まるで“あの時のイグニス”のように食事するその少女へ、優しく振舞いながらそう訊ねた。
「はい。あそこに、“リューク・ライゼス”と名乗る人がいると聞きまして。その人の所に身を寄せようと島を脱出したのです」
ステラやネロらとあまり変わらぬ年頃の少女は、ピタリと食事をやめ、はっきりと大人びた口調で答えた。
「そうか…。実は、俺達はその“リューク・ライゼス”を追って、その“島”とやらに向かっていたんだ」
それを聞いたフィオナの顔が凍りつく。
「そんな!?あそこが今どんなところか御存じではないのですか!?」
“ガタッ”と乱暴に椅子から立ち上がる、フィオナは二人へ噛み付くように聞き返した。
「ちょっと落ち着きなさい。私達は、今彼が話したように貴方のいう“リューク・ライゼス”と名乗っているその人物を追っているの」
それを宥める様にレオナがフィオナの肩に優しく手をやり、彼女を椅子へ座らせる。
「リュークは、“陽だまりの街”から重要人物を連れ去って俺達の前から失踪した。詳しいことは、そこにいる影を引いた兄ちゃんに聞けばいいけど、何でも“Δ”トリニティシステムという得体のしれない何かに関わることらしい」
ジュンの説明を聞いたフィオナの目付きが変わる。そして、小さく“どういうこと?お母さんが封印したはずじゃ”とつぶやいた。
「とにかく俺達の事情はこういうわけだから、一緒にリュークを探すのを手伝ってもらえないかな?」
そして、続けてジュンは彼女にそう告げる。
「―分かりました。そういうことならば仕方ないですね」
やや残念そうに、フィオナは答えると、席を立った。
「私、少し乗ってきた機体へ荷物を取りに行ってきます。島へは私が案内しますので…」
“あそこは特殊な場所ですから”と皆へ告げ
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