那、右手の速射型ライフル“LAMPOURDE RF23”が連続で火を噴き、回避が遅れたAS−12 AVES1機を瞬く間に鉄屑へと変える。
さらに追いこむように、左腕の榴弾砲(ヒートハウザー)“BALSAMINA HH04”から放たれた榴弾が、回避運動へ移ったばかりの1体を直撃し爆散した。
(えっ、何だ?今、俺手慣れたように―)
機体を着地させたイグニスは内心驚いていた。なぜなら、タイプ0に乗っていた頃と同じように動ける自分がそこにいたからだ。
そう、これまでの戦闘は全てタイプ0“まかせ”だったのである。自らの意で戦闘をするのは、今回が初めてなのだ。
「ぐうぅぅ…、小癪な奴めぇぇ!!」
だが、その思考はフリードの叫び声で遮断される。
フリードを始めとする残る3機がブースターによるかく乱機動をしながら、ENマシンガンを一斉に放ってきた。
『ハイ・ブーストでかく乱しろッ!!』
ジュンの指示とイグニスの反応はほぼ同時だった。
ファントムは、一定間隔で一瞬かがり火を吹いて、高速で左右へジクザクに動きながら、高速後退する。
それは乱れ飛ぶパルスの弾丸のほとんどを交す動きだった。
時折当たる弾も、ファントムのボディを掠める程度だ。
『左手のブレードを使え!』
ジュンが叫ぶ。既に左手は榴弾砲からULB−13/H型レーザーブレードに切り替わっていた。
後退から前進へ。ハイ・ブースト―
眼前に2体の敵機が見える。
「いっけぇぇ…!!」
勇ましい叫び声と共に、ファントムはブレードを構える―
次の瞬間、電光石火のごとく斬撃が飛び、それらを上下に一刀両断した。
“ドォンッ”と小さな爆発が起こり、地へと墜落した2体は爆散する。
(ぐぬぬぬぬッ…、あの小僧。バケモノかよ…)
やはり小型機動兵器程度ではACに敵わぬと、ようやく実感したフリードは慌てて機体の向きを変えると、
「チクショー!!お、覚えてやがれ!!」
捨て台詞を吐いて、目にも止まらぬ早さで逃げだした。
『よくやったな。上出来だぜ、イグニス』
やがて、機影が荒野の向こうに見えなくなると、ジュンから労いの通信が入る。
「いや、俺はただ指示通りに動いただけで…。それはそうと―」
イグニスは先からカメラアイに映る人物が気になって仕方なかった。
フリードが逃げ出した直後、見たこともないボロボロの機体から一人の少女が球体のような物を抱え持ち、出てきたのだ。
イグニスは、彼女に見覚えがあった。
なぜなら、リュークの手紙を千里眼で見た時、一瞬見た“彼の過去に出てきた幼女”だったから…。
一方その頃。
「ツゥッ…!!」
アルトセーレは堪らず声を漏らした。とっさに敵機との間合いを取る。
ソルジットは各部を斬りつけられ、その白いボディの所々に痛々しい斬り傷が入る―
(おかしい…。こんなに長時間戦っているのに、まったくブレない―)
眼前にいる機体。近接に特化した機動型のAC。
ガトリングガンとレーザーブレードで構成された機体。
「どうした…?腕が落ちたか?二丁拳銃(トゥーハンド)」
堕天した戦女神(フォールン・ヴァルキュリア)と名乗るそのACは、レーザーブレードの出力口についた鉄屑を振り落とすように、左腕を大きく振り下ろした。
そして、その刃先をボロボロのタイプTRに向ける。
「私はお前と違って、先生の言いつけを守ってきたからな…」
グッと握り拳を作り、フレアは告げた。そのパイロットスーツは他と違い、まるでパワードスーツのような多くの強化機構が仕込まれている。
「―なるほど。あの“
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