そして、“この物騒なものを退けてもらえるかしら?”とエリーゼは言葉を続けた。
「…そうか。だが、悪いができない。お前が現れたおかげで思い出したんだ。私が“此処へ来た訳”、やるべきことを−」
エリーゼがその言葉の意を確かめようと振り返った瞬間、腹部から全身へ雷に打たれたかのような強い電流が流れた。
声を出せぬまま、エリーゼはその場へ倒れる。
そして、朦朧とする意識の中、最後に彼女が見たのは、その写真に映る唯一笑っていないあのメイドだった。
「ワタシには、見えるんだ。置いてきた、亡霊の影が」
意識を失い、倒れたエリーゼを見ながらその人物は言う。
「…もう、茶番は終わりだ―」
そう告げ、その人物は急いで身支度を始めた。
その者は、かつてアルトセーレ・ブルーライネンと呼ばれていた。
7.『亡霊の影』 終
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