第6話

ルを蹴り、華麗に避けながら、タイプDとの距離を詰める。
 その間にAtroposとKlothoと呼ばれる高度なシステムプログラムは、この戦いを終結させる戦術を導き出していた。
「『タイプ0、攻撃開始』」
 エリーゼの命令に従うように、ボロボロのタイプ0はガトリングガンを壊れたタイプDの胸部へ向け掃射しながら、自身もその進路を胸部へと向けた。
 主砲であるプラズマ砲が壊れ、今はそれを支えていた架橋部だけとなったタイプDの胸部。
 そこが現状でこの巨大兵器を倒せる唯一のチャンスだった。そこだけ他よりも『装甲が薄い』。
 やがて、タイプ0が近接戦域へと踏み込む。直線的な機動となり、弾丸のごとくタイプDの胸部へと突っ込む。
 その身は飛んでくる弾丸でボロボロに朽ち果てながら、それでもシステムの命令するプログラムに忠実に従い、グライドブーストのまま、右足を大きく着き出し、構えた。
 刹那、激しい打撃音と共に機体が、タイプDの胸部へ突き刺さる。
 グライドブーストからのブーストチャージ。タイプ0のフルパワーブーストチャージがリクシヴの時と同様に装甲を歪ませ、内部機構を露わにさせる。
 弾幕の嵐が一瞬止む。大きくタイプDがその巨体を仰け反らせる。
「『ありがとう。そして、さよなら…』」
 ファントムのライフルがロックオン。ロックオンするのは、タイプDへとめり込んだAC“タイプ0”。
 放たれた弾丸がタイプ0の白き装甲を射抜き、刹那爆散。
それを受けたタイプDの内部機構は、断末魔の様な機械が壊れる音を上げ、街の地面へと倒れこんだ。
 そして、激しく何回も爆散。
最後に周囲に強い衝撃波を齎すとともに大きなきのこ雲が上げ、その巨体は果てた…。
「………」
 我に返ったエリーゼは、眼前に広がる光景に言葉を失っていた。
“コレは、自分がやったことなのか?”
 目の前に広がる巨大な炎。爆散し、燃え盛る敵機。もはや廃墟と化した街。
「私…、ヒッ―」
 気づけば、日が落ちようとしている。
その光景を見ながら、薄ら映った自身の横顔に気づき、彼女は顔を歪ませ、声にならない悲痛な声を上げた…。

 その日。
 Phantom Childrenと呼ばれる異教徒テログループは崩壊した。
 しかし、それと同時に”陽だまりの街”と呼ばれる街は壊滅的な損害を受けた…。

 そして、一つの戦いの終わりは、また新たな戦いの始まりでもあった。

6.『最後の攻防戦(後篇)』




あとがき
すみません、大変遅くなりました(滝汗
な〜かなか、落ち着いて、かつコレに集中して書く時間が取れず
amp;悪いだらけ癖が出てしまい…―、もう反省しまくりです。
とりあえず、今回で"陽だまりの街"編は終わりです。
次回からは、新作『RDの奇妙な大冒険』が始まりますw
…ウソです。酔っ払いの悪い冗談です(ォィ
改めてこれからの展望を話しますと、次回から主観をイグニスやエリーゼからある人物に移して、その人中心で物語を描こうと考えています。
その中には、かつて10年近く前に私が書いていたAC小説作品のネタや人物も入れるつもりです。(ごく一部の分かる人しか分からないネタですみません)
ただし、私が社会人となり、それなりに時間経過して、物の見方やとらえ方も変わっているため、恐らくそのまま使うことはないと思います。
まぁ、とにもかくにも、次回は10月末〜11月上旬頃投稿予定です。
12/09/25 22:36更新 / F.S.S.

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まろやか投稿小説 Ver1.50