だって!?」
「もう遅いッ!」
残る味方を引き連れ、二人へと襲いかかるGLK。
「街へは急襲用の殲滅兵器を派遣した!お前達はゲームオーバーだ!」
“アハハハハッ…!!”と狂ったように笑うリグシヴ。−いや、完全に狂っていた。
気がふれた、というべきか。それは息子を失ったことからなのか、それとも狂気のテロ集団を立ちあげた時からなのか、それは今となっては分からない。
ただ、分かっていることは、この狂人に二人は応戦し、倒さなければならないこと。
そして、一刻も早く街へと戻ることだった…
長い通路の先、兵士に“こちらです”と通されたイグニスとエリーゼは、ある格納庫に足を踏み入れていた。
「軽量2脚か…」
目の前に鎮座する鋼鉄の巨兵を見て、イグニスは声を上げる。
(これ…、私が昔乗っていた機体?どうしてここに?)
エリーゼは、内心驚きながら、だがそれを決して表情に出すことなく、それを見つめる。
「Phantom(ファントム)バージョンL。先代代表であった“ユーリ”はそう呼んでいた」
声がした方を見ると、女性の様にウェーブのかかった長い髪を伸ばし、白衣を着た男が立っていた。
「アンタは?」
「クラークソン・S・クラリオン。僕の事は、クラークソンと呼んでくれ」
そう自己紹介しながら、イグニスの前にやってきた彼は、イグニスを頭のてっぺんからつま先まで視るような仕草をして、そして、彼の後ろへ回ると、
「ふむ…」
と、一人相槌を打ちながらそうつぶやいた。
「何だよ、人をじろじろ見て…」
目くじら立て、イグニスはクラークソンに言う。
「いや、ブラッド姉妹が君を“救世主”のように言っていたからね。どんな男か気になっていたんだ」
と、はにかみながらクラークソンは答えると、イグニスの後ろにいたエリーゼへ視線を向け、
「でも、なんとなくだけど普通の感じじゃないね。ちょっと変わった空気持っているよ、君。そして、隣の貴女も−」
目付きを一瞬鋭く変え、そう続けた。
「…それはどういう意味かしら、ミスタークラークソン」
それにサラリと笑顔で訊き返すエリーゼ。どことなくだが、顔が引きつっているように見える。
「あぁ、気に障ったら謝るよ。色々とあるとね、変な習性がついてしまって…」
“あはは”と苦笑いしながらクラークソンは平謝りする。先の言葉は何かの確信犯だったのだろうか?
「ところで、これの説明をしてくれるんじゃないのか?」
場に流れ始めた気不味い雰囲気を読み取ってか、イグニスは強い口調で話を切り出した。
「そうだね、今は一刻を争うんだ。手短に説明する−」
そういうとクラークソンはイグニスをACのコクピットと案内した。
開かれたコクピットハッチでイグニスは、半身だけ入れるようにして、コクピットの中を覗き込んだ。
その中は、タイプOと同じく普通のACにはないサブコンソールが取り付けられていた。
「このACは、元々此処で発掘された技術研究用らしき機体にユーリが武装を取り付けたものだ」
「だから、余計なものがついているわけか」
“タイプOと同じか”とイグニスは小さくため息をついた。
「まぁ、元々は研究用だからね」
「−戦えないわけじゃないんでしょう?」
エリーゼの問いにクラークソンは“問題ない”と手短に答えた。
「じゃあ、これには私が搭乗します」
「「えっ?」」
その言葉にイグニスとクラークソンの声が重なった。
「イグニスは“戦闘専門”じゃない。これから戦場に戻るのに、プロが乗っていないとACもただの人形よ」
“昔から、餅は餅屋といいますし”と
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