13.『終焉/破壊の牙』

とく飛び出した。
「グッ…!」
 以前乗っていたソルジット・タイプTRよりも鋭い加速にリュークは一種戸惑う。しかし、そこに恐怖はない。安心して踏み込んでいける。
 矢のごとく、一直線に多脚のACへ立ち向かう。
「なめるな!小娘ェ!!」
 再び行われるスナイパーキャノンの速射。さらにショルダーのKEミサイルを3発放ち、瞬く間に弾幕を形成する。
 飛んでくる音速の弾の軌道が、手に取るように見える。
 3発の銃弾を右へと飛び、左肩をかすめるようにして交わすと、続いて飛んできたミサイルの一発目を左へドリフトターンしながら避け、2発目をOXEYE HG25改”レイヴンハント”で撃ち落とす。
 爆発するその2発目を抜いて、上から急速落下するように現れた3発目のミサイルをハイ・ブーストでくぐり向けるように回避し、さらに間合いを詰めていく―
「チッ!こしゃくな!」
 狙撃モードを解除し、後ろへ退避しながらグローリー・スターは左手のライフルをファングへ向けて、乱射した。
「行けるッ!踏み込める!」
 自分へ言い聞かせるように叫びながら、リュークはダイナミックに、そして、アグレッシブに機体を縦横無尽に動かす。
 飛んでくる弾を掠めるように回避しながら、時に機体の左手に握られているSOPHORA BHG 16−2改”クロウズハント”を放ち、銃弾を銃弾で相殺し、間合いをさらに詰めていく―
 それは、まるで銃弾と炸薬を共に、“舞い”を踊っているかのようだ。
 スモークマンはそれに、焦りを募らせた。
 狙撃手として、自身を頂点と信じていた彼にとって、目の前の光景は信じがたい光景だったからだ。
 “ドンッ”と爆発に近い音をたてた瞬く間に、敵機が眼前に迫る―
 刹那の電光石火。グライド・ブーストからのブースト・チャージ。
 華麗に跳びあがったファングの右足蹴りが炸裂する。
「―ッ!?バカな?!」
 コアを蹴られたグローリー・スターは、大きく上半身を仰け反らせる。肢体を繋ぐシャーシであるコアが大きく軋んだ。
 間髪いれず痛んだ装甲を砕くように、OXEYE HG25改”レイヴンハント”の銃口が火を噴き、グローリー・スターの頭部に風穴が空いた。
 そして、追撃と言わんばかりのゼロ距離での左回し蹴りによるブースト・チャージが入り、グローリー・スターはまるでボールのように大きく蹴り飛ばされた。
「バカな!?お前は…、私の知る2丁拳銃(トゥーハンド)ではないのか…!?」
 火花散り、亀裂の入ったコクピットのモニター。スモークマンは、息を荒げ、未だに目の前で起きていることを信じられない。
 なんとか起き上がらせた機体の数百メートル正面、忌々しい相手の銃を構える姿がモニターへ映る。
「おのれッ!!」
 ファングは左腕を一直線に伸ばし、SOPHORA BHG 16−2改”クロウズハント”を構えていた。
「リューク―――!!!」
 “終わりだ”
 リュークは小さく呟いた。その刹那、放たれた3発の弾丸が一直線にコアへ向かって飛んでいく。
 強度の落ちた装甲を射抜くには、それだけで十分だった。
 三つの火線を胸に受け、グローリー・スターの上半身が、電気を受けたように跳ねあがった。
 そして、ボンッと小さく炎を上げ、握っていたスナイパーキャノンとライフルを落とし、そのカメラアイから光が消える。
 まるで糸が切れた操り人形のように、その多脚の狙撃機は沈黙した。
 倒した相手を無言のまま冷たく見送り、リュークは機体と共に向きを変えた。
「リューク!」
 ジュンの力強い呼び声と共に、ジュンのソルジット・タイプ
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まろやか投稿小説 Ver1.50