13.『終焉/破壊の牙』

叫んだ。
 ―そして、悔やむ。
 悔やむ…
 悔やむ!悔やむ!悔やむ!悔やむ!悔やむ!悔やむ―
 ―悔やんでも、悔やみきれない!!
 ―守れなかったのだ。
 彼との約束を。
 彼の娘を。
 そして、この島も。
「―ワタシは…、なんて…なんて非力な人間だ…」
 ガクッと力なく項垂れ、悔し涙を流しながら、かすれる声でアルトセーレは自分を責めた。
“…そうだな”
“お前は昔からそうだったな…。不器用なのに、背伸びして、失敗する”
 耳元に聞こえたその声に、アルトセーレは顔を上げた。
“だけど、強くなろうと努力しているお前を、俺は知っている”
 そして、左肩の付近に、彼の気配を感じる。いや、この機体全てから彼を始めとする島の仲間たちの気配を感じ取れる。
“まだ全てが終わったわけじゃない。お前は誰だ…?”
 ふと足元に、フィオナが爆発に巻き込まれる直前、握っていた二つの大型拳銃が転がっているに気づいた。
「ワタシは…」
 そして、それをそれぞれ右手と左手で拾いあげ…
“内に眠る本来の自分を解放してやれ。この機体『ヴァンツァーファング』なら、お前の力を余すことなく体現してくれる”
 それを無意識にシートの両側にある挿入口へ差し込む。
「…私は、貴方の名を継ぐ者―リューク・ライゼス」
“頼んだぞ…、英雄…。お前が俺達の希望だ”
 その途端、左右二つの大型拳銃が操縦桿へと変形し、
「はい…」
連動して変形したコクピットシートが彼女の両手・両足を拘束した。

「この!亡霊がぁッ…!!」
 スモークマンにとって、その瞳はトラウマだった。
 彼の人生において最も屈辱を味わらされた男―『R』こと、リューク・ライゼス。
 その昔、仁徳に目覚めたその青年兵士は、それまで栄光の道を歩んできたスモークマンから全てを奪った。
「まだ死んでもなお!その意思で邪魔立てするか!?」
 グローリー・スターが変形する。3連バースト機能付きスナイパーキャノン USC−26 ITHACAを構え、それを躊躇することなく放った。
 激しい金属音と共に放たれた3発の弾丸が、灰色の機体の装甲を砕く―
「!?」
 だが、砕いたのは甲冑のような“装甲”のみ。その機体はよろめきながらも、なおしっかりと地面を踏みしめ、立っていた。
 そして、その甲冑な全身に亀裂を走らせ、装甲が砕ける。
 刹那、中から紅白で象られたACヴァンツァー・ファング(以下ファング)が現れた。
 UCR−10/L AGNI、KT−4S3−2 NARVA2、ULG−10/A DENALIで構成されたその機体が主へ告げる―
『セーフモード解除、パイロット認証完了。システムオールグリーン』
「…スモークマン。私はもう“アルトセーレ”じゃない」
『メインシステム。戦闘モード、機動します』
「アンタは…、今日ここで!リューク・ライゼスが墜とす!!」
 目覚めたファングが左右の腕をそれぞれ上下に振り上げ、足を開き、武術のように構えた。
 それはかつて自分が“2丁拳銃(トゥーハンド)”と呼ばれる由縁となった型(カタ)の構えだった。
 その両アームには、究極までにカスタマイズされた専用のハンドガン。
 右に、より破壊力のある銃弾を撃てるようにカスタムされた高火力型ハンドガン―OXEYE HG25改”レイヴンハント”。
 左に、より速い弾速と貫通力を持つ弾を撃てるようにカスタムされた3連バースト連射型ハンドガン―SOPHORA BHG 16−2改”クロウズハント”。
 それら2丁を構え、地を蹴り、ブーストダッシュ。
 ファングが背に蒼き火を点して、矢のご
[2]前へ|[3]次へ
ページ移動[3 4 5 6 7 8 9]
[7]TOP [9]目次

まろやか投稿小説 Ver1.50