!?」
思わずジュンが叫んだ。
「レナさん!セティアさん!」
イグニスが叫ぶ。
山頂へと辿りついたファントムとタイプTLの前に、大破した2機の特機と、不気味にグラインド・ブレードを唸らせながら宙に浮いたフォールン・ヴァルキュリアの姿があった。
「遅かったな、雑兵ども。先生が島の全てを掌握した。この島は我々の物だ」
「てめぇ、何をふざけたことを―」
ジュンは怒りの表情でそう言いかけて、刹那唖然とした。
後ろの建物が見る見ると形を変えていく。それだけではない。
大地が割れ、そこからまるで触手のように機械の枝が四方八方へと伸び始め、それらは壊れた2体の特機を瞬く間にその一部へ取り込んだ。
「クソッ!イグニス!機体を浮かせろ!」
それを見たジュンの叫び声と共に2体のACは、地面から飛びあがった。地面が大きく隆起し、割れ、中から機械の大地が姿を現す。
島が歪に形を変えていくのに、それほど時間はかからなかった。
ソルジット部隊と戦っていたティオとノルンも機体ごと、敵であるACソルジットの軍勢ごと、それの一部に呑みこまれる。
島の山が、まるで大きな大樹のように姿を変える。
「これは…。これが、ロスト・アイランドの本当の姿だというの?」
島の近くに停泊していた空母のブリッジから、ベルセフォネは目の前に広がる光景に愕然とした。
もはや、それは自分が思い描いた物に程遠い姿・形を為していた。
『ベルセフォネ代表、聞こえるか?』
通信機のスピーカーからスモークマンの笑みを含んだ声が聞こえてくる。
『貴方は私達に積極的に協力してくれた。おかげで貴方の功績は素晴らしいものになった』
その言葉を聞いて、恐怖する。自分はとんでもない、恐ろしいことへ加担してしまったのではないか、と。
『これはワタシからのそのお礼だ。遠慮なく受け取ってくれたまえ』
「未確認機多数!熱源多数確認!」
スモークマンの通信が途切れると、同時にレーダーを見ていた兵が悲鳴に近い叫び声を上げた。
「何ですって!?迎撃しなさい!」
「駄目です!間に合いません!」
レーダーが空母を囲むように反応で埋め尽くされている。そこから無数の熱源がこちらへと飛んでくる。
それは、エンデュミオンの触手の末端が、その形をミサイルポッドへ変え、放ったものだった。
「スモークマン!!貴方騙したな!!」
ベルセフォネが悔しさを滲ませた叫び声を上げた次の瞬間―
彼女らが乗る空母は一瞬にして、突如上がった業火によって海の藻屑と化してしまった。
「全ては計画通り。この力でこの世界を制する日も近い…!」
グローリー・スターはその金属の大木の中枢付近にいた。大きなテーブル状の全てを見下ろせるその場所で、スモークマンは昂揚気味に独白する。
「先生!」
フォールン・ヴァルキュリアがその近くに寄りそるように近づいてきた。
「先生!これが、貴方の求めていた“失われし技術”なのですね!?」
嬉しそうに話かけるフレアに対し、スモークマンは無言で右手を動かした。
「先生?」
グローリー・スターがその多脚を瞬時に変形させ、スナイパーキャノンの銃口を正面に居るフォールン・ヴァルキュリアへと向ける。
「フレアよ。今日まで部隊を率いてよく戦った…。おめでとう、お前は2階級特進だ」
スモークマンの右手が動く。
数コンマ狂いなく、グローリー・スターのスナイパー・キノンが火を噴き、フォールン・ヴァルキュリアの頭部、コアと右腕の付け根、そして、腹部を抉り取るように貫いた―
“どうして…”
フレアはその言葉を発することもでき
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