戦場を駆ける鴉

砲撃の雨、もとい嵐を掻い潜り、数機のACが降り立った。
同時にAIがミッションの開始を告げる。

『戦闘モード起動』
相手は所詮レジスタンス、戦車や、戦闘ヘリを用いたところでACが相手では役不足だ。ライフルとマシンガンで弾丸の嵐を敵に浴びせる。
視界に入る敵全てを撃破・・・とその刹那、ACを素早く反転させ切り返し、敵の戦車の砲撃を避け、空中からミサイルを浴びせた。パイロットはなにか叫んでいたのか聞き取れず爆破した。
『スキャンモードに移行』
戦車には勿体なかったかと思いつつも目的地を急ぐことにした。

今回のターゲットはレジスタンスリーダーの撃破。
今までも企業と戦争をしていただけあってその腕前はかなりのものだとか・・・。
そのとき通信が入った。
『レイヴン諸君、ご苦労。』
直ぐ様、あの女性オペレーターが応答に入った。
『これは、社長。わざわざご苦労様です』
社長・・・、恐らくは企業の社長だろうが口振りからして仲が悪いのだろうか?社長は気にしない様子で話始めた。
『我々はこの下らないレジスタンスとの戦いを今日をもって終わりとしたい。そのために諸君の力が必要だ。よろしく頼む。』
その言葉にオペレーターは感情をださずに
『自分が招いたこの戦いを他人によって沈めさせようとするのは社長がレイヴンのためにわざわざ仕事を作っていらっしゃるんですよね?』
なんて皮肉なことを言った。
『賢しい女は趣味じゃないんだがな。とにかく成果を期待する。』
そのときはじめて
『恐縮です♪』
オペレーターが殺意を持ったと感じた。

荒廃した街を抜けるとそこはまるで広場だった。
そこには二機のACと対AC用と思われる大型ヘリが三機。
「仲間か?加勢してくれ!」
「気を付けろ!避け・・・。」
ろ。という前にエネルギー砲が片方のACの頭部からコアを貫いた。
「リックーーー!!!くそが!!殺してやるーー!」
その時、両サイドのヘリが迎撃体勢をとっていた。
「・・・!」
声を掛ける暇もなく機関砲で蜂の巣にされ地に堕ちた。
『大したことないな〜。次はお前か?』
『ガラクタにしてやるよ。』
俺はあくまで冷静だった。
「・・・。」

『戦闘モード起動』

『そいつらを撃破しなさい。』
オペレーターからの無慈悲な命令。
その命令に
「了解。」
と、ただ応とだけ告げ、ブースとを吹かした。
熱の色が赤から青へと変わる。
『馬鹿め!!』
敵の機関砲が火を吹く。
それを造作もなく避け、ライフルを浴びせる。
その流れ弾が後ろのヘリのミサイルに当たり爆発。
『な・・・?』
その爆発に飲み込まれるもう一機。
『にーー!?』

鉄の残骸が空から堕ちてくる。
「二機撃破・・・。残るはお前だけだ・・・。」
ライフルをエネルギーライフルへと持ちかえる。
『紛れ当たりが!死ねーー!』
エネルギー砲を放つがその軌跡は空しく空に放たれた。

壁伝いにジャンプしコックピットにエネルギーライフルを突き付けた。

「・・・お前が堕ね。」

蒼白の光が一直線に貫通しそのまま空中で爆発した。

『スキャンモードに移行』
他愛もない。口だけの弱者は・・・。
『いい腕ね。そのまま次のポイントに向かって。』

そして鴉は駆けた。

その光景を
『・・・へぇ。あのルーキーねぇ。』
ただじっと見つめていたヤツがいた。

その口元は歪んでいた。













12/02/04 23:21更新 / N-BYk

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