第一話 再開と結成

「ここが、PGの本部か…。」
軍服をちょっと洒落た感じに着こなし、紅い髪をなびかせている。
「そうよ。ここが貴方のホームでもあるのよ、アッシュ。」
透き通るような、凛とした声が後ろから聞こえた。
「俺の、ね…。リンはここの配属なのか?」
「貴方がブラブラしてる間に、私は少佐になったのよ?」
「別にブラブラはしてねーよ。俺なりに戦ってたんだ。」
「そう…。さあ、ついてきて。」
少し大きめの門が音をたて開いた。
リンは無言のまま清楚な廊下を歩いていく。
俺もリンの後に続いてついていった。
PG…ピースガバメント(peace government)
リンが所属する軍だ。傭兵派遣会社も兼ねていたり、自分達のとこにレイヴンを起用もする。

そう、俺はこの数年レイヴンとして戦ってきた。
数年前の災害からはじまった企業戦争。
あの日俺は歩兵だった。俺一人に出来ることは限られていた。だから、あの日から俺は望んだ、もっと大きな力が欲しいと…。俺は、家族も同然なリンとリンの親父さんにも何も言わずにレイヴンになった。
「最近実力派のレイヴンがいるって聞いたから雇ったんだけど貴方だったなんて。」
「意外だったか?」
リンはこっちを見ずにドアの前で立ち止まり悲しそうに嘆いた。
「まだ貴方は戦うと言うの…?」
「リン…?」
リンの横顔は切なげで、どこか綺麗だった。
「さあ、入って。」
リンの指示通りドアを開けて入った。
そこには、よく知っている顔がいた。
「おお…。アッシュ、よく来てくれた。」
彼の名は、ガイ・セシル。
リンの親父さんで、俺の義父でもある。
PGの総帥で、戦場に赴くことはほとんどない。
「総帥、レイヴンを一名連れて参りました。」
「うむ、ご苦労だった。」
「お父さん…、アッシュは…!」
「わかっている。いいから下がりなさい、リン。」
リンは黙ったままドアを閉め、壁際に立っていた。
「アッシュ。君に頼みたいのは他でもない、戦争の終結に導くため戦って欲しい、我がPGでな。」
「義父さん、いくらなんでも一人ではどうにも…。」
戦争とは物量なのだ。いくら力があっても数に圧倒されれば負ける。
「そんなことはわかっている。だから、ユニットを結成したんだ。リン、二人を呼ぶんだ。」
リンは頷き、外に出た。
「二人って誰」
ですか。と言いかけたとき、リンが戻ってきた。
「連れてきました。」
振り返るとそこには、二人の青年がいた。
「はじめまして、ジャックだ。よろしく頼む。」
「はじまして、エヴァンジェと言う。よろしく。」
どちらもクセがありそうだった。
「俺は、アッシュ。よろしく。」

するとジャックが頷きながら、
「君ならばヤツを倒せるかもしれないな。」
エヴァンジェはライバル意識を持ったのか,
「ドミナントは私だ!」

ドミナント?何の話だ?
ヤツって誰だよ?

「その二人にリンを加えた四人のユニットで作戦に参加してもらう。」
「よろしく、アッシュ。」
リンが手をさしのべた。
俺はその手を取りしっかりと握り
「よろしくな、リン。」

ここに、一つの奇跡が集まった。


12/01/22 09:25更新 / N-BYk
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