第三羽 氷龍-ICE DRAGON-

互いに放ったレーザーは虚空へと放たれ闇に消えた。
機体にかする程度などまるで蚊に刺された程度のようにしか考えず、ひたすらフィンレイの機体を追う。
激しい銃撃戦。その間には誰も入ることは許されない。
「良い腕だ。敵として会うには惜しいな。」
「氷龍か、名前負けはしてないようだな!」
距離を保ちながら互いに牽制する。
暫しの沈黙。互いの動きを読み合っている。互いの銃口が僅かに上がる。
それが再び戦いのゴングとなる。
レーザーライフル、チェインガン、グレネードランチャーにレーザーブレード。攻撃に特化した、対AC及び大型兵器向けの装備がアッシュの機体のコンセプトだ。
対するフィンレイはマシンガン、ガトリングマシンガン、ミサイルそしてレーザーキャノンと言った平均的装備だが攻撃において隙がないマシンガンと、マシンガンに比べ隙はあるが火力が高いガトリングマシンガンを装備し瞬間的火力も併せ持つ、対ミッション及びACを想定する。
ミサイル、レーザーキャノンによる遠中距離からの攻撃とマシンガンによる近距離攻撃は数多のレイヴンを落としてきた。だが今回は左腕にmoonlightを装備していてより万能型に仕上がっている。
ブレードを振るった後の軌跡は蒼白く淡く光りさながら龍の息吹のようだ。
「まるで龍の牙だな。」
フィンレイは鼻で笑い機体を素早く反転させる。
「その龍の牙の錆びにしてくれる!」
フィンレイの機体が飛翔するかのようだ。
その戦場での冷徹さと龍が如く猛々しさから氷龍と呼ばれる。
アッシュも最新のブレードで迎え撃つ。
「リーチならこっちの方が2倍だ!」
アッシュのブレードがフィンレイを捉えた・・・筈だった。
目の前まで迫ってきていたはずのフィンレイの機体は左方向に急旋回し死角をとられた。
見えなくてもわかる。
ブレードによって震える大気が機体を通して身体に伝わる。
「終わりだ!」
「・・・!」

ドックン、ドックン、ドックン・・・。
ピー、ピー、ピー・・・。
耳に張り付くような鳴り響く危険を警告するアラート音と自分の心臓音。
気づけばAPはもう3割を切っていた。
・・・ドックン、ドックン・・・。
・・・ピー、ピー・・・。
もうこんなになくなってたのか、早く帰って修理しないとな。
あ、そう言えば新しい任務が入ってるかチェックしないと。
・・・ドックン・・・。
・・・ピー・・・。
「・・・オルガ。」
久しぶりだな。
元気してたか?
・・・、・・・。
・・・、・・・。

視界が蒼白い光に覆われ、白い世界へとへ飲み込まれていった。










12/09/16 19:17更新 / N-BYk

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まろやか投稿小説 Ver1.50