peace government

リンの親父さんの部屋から出て、ジャックとエヴァンジェと別れた俺はリンにPGを案内してもらうことになった。
「それじゃ、行きましょう。案内するわ。」
どうやら否定権は俺には無さそうだが反抗を試みた。
「俺、少し疲れたからベッドで寝たいんだけど。」
先を歩いていたリンがゆっくり振り返り俺を見た。
その仕草に少しドキッとした自分がいるから余計反抗したくなる。
「寝るのは構わないけどアッシュが寝るとこはベッド無いわよ。」
「な、なんで?」
「・・・だって、私と同じ部屋だから。」
意識が一瞬飛んだ気がした。俺がリンと同じ部屋で寝るのか?
「なんでだよ?こんなに大きい本部に空き部屋がないってどーゆーことだよ?」
「仕方ないでしょ?無いんだから。」
少しの沈黙のあと、俯き俺の足元辺りを見つめながら呟いた。
「・・・私と同じ部屋は嫌なの?」
ここまで言われたら俺もいつまでもわがまま言ってられない。それに
「そんなことない。リンと一緒の部屋なら安心して寝れる。」
幼馴染みのリンと一緒なのは楽しいからな。
本心から伝えるとリンは顔を上げ少し頬を赤らめながらコホンと咳き込むと、さっきまでのようにまた冷静なリンに戻った。
「なら良かった。それじゃ、先に部屋に行きましょう。」
スタスタと先を歩くリンに黙ってついていくことにした。
リンの緊張が解けている気がして心なしか笑顔に見えた。
その時だった。
『緊急事態発生。緊急事態発生。』
本部全体に鳴り響くサイレンの音と共に放送がかかった。
「な、なんだ?」
「落ち着きなさい。」
状況が全く理解できない俺達は放送を聞き逃さないように集中していた。
『領域内にACが侵入。警備隊は直ちに出動せよ。繰り返す・・・』
警備隊・・・MT部隊の事だろう。しかし、相手はAC。まともには戦えないだろう。
同じことを思っていたのかリンがアイコンタクトをとってきた。
「よし、リン。格納庫へ案内してくれ。」
「もちろんよ。こっち、ついてきて。」
リンが駆けた後を俺もついていった。
「くっ・・・。索敵班は何をしていたの?」
リンは冷静さを欠いているように見えた。
「今は格納庫へ急ごう。くい止めなきゃな。」
リンは少し俯いていた。
「急ぎましょう・・・。」
俺達は格納庫へ急いだ。



12/03/18 19:25更新 / N-BYk

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まろやか投稿小説 Ver1.50