帰って来た黒い影

とりあえず、外で動きを止めた少女がわめいている声は微かに聞こえる物のとりあえず、朝居た縁側にたどり着くことが出来た。
なぜ鬼の少女は自分を此処に通そうとしなかったのであろうか、ムーンは靴を脱いで縁側に足をかけながら、ゆっくりと考えるのであった。
自分が朝に居たであろう障子からは光が無く、中には誰も居ないことが分かるが、朝居た場所へと戻ったわけだ。
どうするかと考えたが、とりあえず、縁側に面する部屋で明かりをつけている場所は無かった。
ムーンは障子を開けて中に進み、自分が朝に寝ていた場所に入るのであった。
部屋は四方、襖で絞め切れられているが、正面から微かに光が漏れているのが見えた。
ムーンはそっちの方に足を進めて襖を開けようと近づくのであったが、先に何者かによって襖が開けられるのであった。
「・・・え」
「あら、ムーン帰ってたの?」
「・・・ああ」
ムーンは呆けたような声を出しながらも、少し歩を下げるようになってしまう。
それもそのはず、扉を開けたのは霊夢で勝手に部屋にあがったのでまたどやされると思っていたからである。
しかし、予想に反して霊夢は今まで見たことがない笑顔でムーンに対して声を掛けて中に招き入れようとするのであった。
ムーンは怒られるのを覚悟していたが予想外の言葉に少し反応が送れてしまい視線を逸らして頬を掻いて静かに言葉に応えるのであった。
「あ、そういえば萃香(スイカ)には会わなかった?」
「スイカ?西瓜?」
「鬼の子供よ?」
「ああ、それなら境内に縛り付けた。」
「縛り付けた?良くやったわね。」
「そろそろ解いてやったほうがいいか?」
「そうしてやって。」
霊夢は踵を返して明るい部屋に戻ろうと入ろうとしたとき、霊夢はムーンに対して気がついたかのように言葉を言うのであったが、ムーンは最初、何を言っているのか分からなかったので漫才のボケのようになってしまった。
霊夢は半分、突っ込むように、ムーンに対して言葉を追加するのだが、本人は理解したのか済ました声でとんでもないことを言うのであった。
霊夢の方はと言えば、特に驚かずにムーンに対して感心したような口調で言葉を言うのであった。
ムーンもその言葉に対して呑気に言葉を返すのであったが、霊夢が離すように言えば右手の指をパチンと鳴らすのであった。
外はもう暗く、夜を迎えようとしていた。
霊夢は踵を返して、部屋に戻りムーンはそれに従うような感じでゆっくりと進んでいくのであったが、部屋には囲炉裏と1人の人物が居るようであった。
囲炉裏にはイメージ通りの釣り鐘に下には木炭が焼けており、典型的な日本の囲炉裏部屋であった。
霊夢の方はムーンを案内した後に、違う場所の襖を開けて土間の様な場所に移動したようであった。
「あや?貴方が外来人ですか?」
「・・・誰だ?」
「申し遅れました、私は文々。(ぶんぶんまる)新聞の、射命丸文(しゃめいまるあや)です。」
「シャドウ・ムーンだ」
青年は部屋に完全に入った。
しかし霊夢が何故、こんなに機嫌が良くなっているかと言うことが気に掛かっていたが、先ほどから部屋にいた人物に話しかけられれば、青年は思考を止めて、興味を向けて居る少女と囲炉裏を挟んで対面する位置に敷いてあった座布団を座りながらも、言葉を静かに返すのであった。
自分に興味を向けて居るのは、黒髪ショート、赤い瞳、赤い山伏風の帽子を被り、フリル付きの黒いスカート、白い半袖のシャツの少女であった。
今日で名乗るのも3回目だと思いながらも青年は静かに形式的な言葉を言うだけであった。
「んで、新聞記者が俺に何の用だ?」
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まろやか投稿小説 Ver1.50