苦い過去

時間を巻き戻せれば、と考えることが今でもある。
まあ、誰にでもあることなのだろう・・・
理由は様々だろうが、主にターニングポイントをやり直したいというのがあるだろう。
自分の場合は、それになるのだろう。
アレはもう、何年前の話だろうか・・・
俺がまだAKマスターアームズに所属する前の話で、あのシティの動乱が起こる前の話。
ちょうど、レジスタンスがシティに蜂起する頃の出来事だったか・・・
あの時の事を俺は忘れることはないだろう。
ところで皆はシュペルノーヴァ家を知っているだろうか・・・
知らない人のために言っておくが、シティで代表に次ぐくらいの権力を持っていた家柄だ。
勿論のこと、一族全員がミグラントで、相当の勢力を誇っていたグループでもある。
シャドウ家は、そこに代々仕えてきた家系だ。
俺とサンも例外ではない、いつからかACに乗り、グループを支えてきた。
「今のところ異常は無いな。」
「そうだねー。」
摩天楼が敷き詰められたかのようなビル街。
レジスタンスが攻めてくるかもしれないと言う情報を聞いて俺は防衛任務に着いている。
サンも例外ではなく、一緒に任務についている。
中量二脚と軽量逆関節である2人の機体は川の傍に直立している。
通信で俺はサンと他愛も無い会話をしているところであった。
「ちょっと、しっかり守りなさいよ?」
通信からは命令するような女性の声が聞こえてくる。
2人のちょっと後ろの建物の上に居るのは、左にスナイパーキャノンとスナイパーライフル、右にスナイパーライフルとリコンジャマーを持った赤い四脚のスナイパー機だった。
この口うるさい女性の名前はシュペルノーヴァ・F・ルナ・・・
察しの通り、シュペルノーヴァ家の長女で俺とは幼馴染の様な関係だった。
「分かってるよ。」
「敵が来るまでは、ゆっくりさせてくれよ、ルナ。」
サンは、注意の声にキッパリと言葉を返した。
ムーンの方もサンと同じ様な調子で静かに言葉を言った。
どっしりと構えていると言った感じだろうか・・・
「全く、ヤバい状況なのに良く冷静で居られるわよ。」
ルナはハァと息を吐いて2人の冷静な感じの言葉に対して呆れていた。
「所詮はレジスタンスだ。ACなんて持ってないさ。」
「それにシティ側に着くミグラントばっかりみたいだよ?」
ムーンは冷静にルナに対して理論的に言葉を言った。
サンも兄の言葉に付け足す様に言葉を言う。
この2の情報は確かに事実だった。
レジスタンスは雑多な兵器しか持っておらず、ミグラントも勝つべくして勝つだろうシティの方に加担している。
「どうかしらね。」
ルナは何か嫌な予感でもして言うのか不安げに言葉を返した。
此処だけの話、シュペルノーヴァ家の皆は警戒心が強く、危機察知能力がかなり高い。
だから、此処までのし上がって来れたのかもしれない。
「攻めてはこないだろう。あくまで敵は代表らしいしな。」
「そうだよ。」
ムーンは不安げなルナに対して安心させる様に言葉を言う。
サンも同調してルナを安心させるつもりのようだ。
無関係の勢力にレジスタンスが攻め込んでくるなどと言うことは、道理的にあり得ない・・・
あり得ないはずだったのだ。
「何だ!?」
「へ?・・・え!?」
突如鳴り響く敵の接近を告げるけたたましい警告音。
いきなりの事にムーンは慌てて、計器のスイッチを入れてシステムを立ち上げる。
慌てている所為か、余り手際よくシステムを立ち上げる事が出来なかった。
サンも慌てているのか、変な声を出すことしか出来なかった。
「ACよ。2機。」
ルナは既に的確にシステムを立ち
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